「「日本電気協会「原子炉格納容器の漏えい率試験規程」(JEAC 4203-2004)に関する技術評価書(案)」に対する意見の募集について」への意見

「「日本電気協会「原子炉格納容器の漏えい率試験規程」(JEAC 4203-2004)に関する技術評価書(案)」に対する意見の募集について」
www.meti.go.jp/feedback/data/i50930fj.html
への意見

参考
パブコメ結果
www.meti.go.jp/feedback/data/i51205cj.html
「隔離弁の増し締めについては、当院が福島第一原子力発電所第1号機に対して平成14年11月28日に実施した「原子炉格納容器漏えい率試験」の立入検査において確認しております。これは、原子力安全委員会の規制調査においても確認されています。その後、平成16年5月に、定期検査として同プラントについての「原子炉格納容器格納容器漏えい率試験」を実施しており、この際に増し締めが行われていないことを確認しております。」

上澤千尋(原子力資料情報室)

1.日本電気協会「原子炉格納容器の漏えい率試験規程(JEAC 4203-2004)に関する技術評価書(案)
の27~28ページ.

「試験状態の模擬」の条件変更(緩和)に反対する.

「試験状態の模擬」について,従来のJEAC4203-1994規定では,隔離弁がシリーズに2個設けられている場合は,外側隔離弁だけを閉鎖して,格納容器漏えい率試験を行なう条件としていたところ,JEAC4203-2004年版規定では,「想定事故後の弁解閉状態を模擬」するとしながら,内側および外側の両方の隔離弁の閉鎖を試験条件としており,このことを保安院が妥当とした点は,単一故障の仮定の要求を反映しておらず,安全設計審査指針および安全評価指針の遵守していないという点からみて,賛成できない.

「発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関する審査指針」(平成2年8月30日原子力安全委員会決定)の「5.2 安全機能に対する仮定」の(2)で,「解析に当たっては,想定された事象に加えて,『事故』に対処するために必要な系統,機器について,原子炉停止,炉心冷却及び放射能の閉じ込めの各基本的安全機能別に,解析の結果を最も厳しくする機器の単一故障故障を仮定した解析を行わなければならない」と定められている.原子炉格納容器隔離動作は,「放射能閉じ込め」機能として,冷却材喪失事故の解析で評価が実施されており,この時の最も厳しい単一故障の仮定は,原子炉格納容器隔離信号系の故障であると承知している.

この仮定をしても隔離動作が行なわれるように,「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」(平成2年8月30日原子力安全委員会決定)では,隔離信号ラインの2重,原子炉格納容器隔離弁を2重に設置すること(多重性)をもとめている.2つある信号系統のうち,1つの信号系統の故障を仮定すると1つの系統に接続されたグループの隔離弁すべてが閉まらないことになる.全体漏えい試験では,格納容器バウンダリがなるべく広くなるように,内側隔離弁を開,外側隔離弁を閉としたのが単一故障の想定であった.今回上述の改訂を妥当としたことは,この考え方に反する.

2.日本電気協会「原子炉格納容器の漏えい率試験規程(JEAC 4203-2004)に関する技術評価書(案)
の29~30ページ.

隔離弁の増締めを実施した事実の公表とその法的処置,および再試験をもとめる.

「隔離弁の閉鎖方式」に関して,9月27日の「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 原子炉安全小委員会(第16回)」において,荒川統括安全審査官が「一部のプラントでは試験時の増締めが実施されていた」と発言したが,増締めが実施されていたプラントの名称と実施時期,保安院でそれを確認した時期とそれへの対応の実態を公表することをもとめる.さらに,隔離弁を増締めしない状態で,該当するプラントの漏えい率試験の再実施を行うことを求める.