不透明さを増した「プルトニウム利用計画」は「妥当」ではない!

抗議声明

不透明さを増した「プルトニウム利用計画」は「妥当」ではない!

2006/1/24
原子力資料情報室

 1月24日、原子力委員会は、電力11社と日本原子力研究開発機構が公表した「六ヶ所再処理工場で回収されるプルトニウムの利用計画について」(以下「利用計画」)を「妥当なもの」と判断した。今回の判断は六ヶ所再処理工場のアクティブ試験開始のため拙速に出されたものであり、プルサーマル計画の現状を無視した不当なものであると考え、私たち原子力資料情報室は厳重に抗議を表明する。
 
 原子力委員会決定「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について(2003年8月5日)」では、「電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的(利用量、利用場所、利用開始時期及び利用に要する期間の目途を含むもの)を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表すること」としている。公表された「利用計画」では、2005年度と2006年度の六ヶ所再処理工場のアクティブ試験で分離される約1.6トン(核分裂性)のプルトニウムについて、プルサーマルでの利用という目的を示したが、多くの電力会社が利用場所を明示せず東京電力にいたっては原発名も挙げていない。利用開始時期については平成24(2012)年度以降としているだけである。このような不透明な「計画」を原子力委員会は「妥当」としたのである。
  
 今日、日本の電力会社と日本原子力研究開発機構が国内外に所有するプルトニウムは、約43トン(全プルトニウム)(海外約37トン、国内約6トン)となっている。それは1999年から開始するとされてきた今までのプルサーマル計画が、各地の住民や自治体の反対によって事実上頓挫しているからである。さらに六ヶ所再処理工場がアクティブ試験を開始しそのまま操業を続けると、2012年までに約42トン(全プルトニウム)のプルトニウムが分離され貯蔵されることになる。2012年の時点で、日本は実に約85トンもの膨大なプルトニウムの在庫を抱えることになる。約85トンもの膨大なプルトニウムの保有が、適正な在庫と言えるのであろうか。
 
 「利用計画」を原子力委員会が「妥当」とする根拠に、電力会社が今後地元理解を得る努力を行なうことがあげられている。しかし東京電力が原発を所有する福島、新潟両県では、一度与えられたプルサーマル計画の事前了解が白紙撤回されている。それは東京電力が地元の信頼を裏切り、原発の安全性を偽ってきたためである。関西電力は原発の安全管理を怠り、5名の死者を出すような美浜原発の大事故を起こし地元の信頼を失っている現状である。「利用計画」に実現性はない。両社は六ヶ所再処理工場の最大の契約者であり大量のプルトニウムを所有するにもかかわらず、地元でプルサーマルの申し入れさえできないという現状を原子力委員会は全く無視していると断ぜざるをえない。
 
 原発立地地点の住民だけでなく多数の市民は、原子力発電やプルサーマル、核燃料サイクルの安全性や必要性に対して多くの懸念を持っている。電力会社ががむしゃらにテレビコマーシャルを流し、国が多額の補助金をばらまくことによって原発を推進する時代はすでに終わっている。人々は原発のない社会を望んでおり、核燃料サイクルは必要ないと考えている。原子力委員会はプルトニウム利用をめぐる現状を厳しく見つめ、「利用計画」を妥当とする判断を撤回するべきである。

■関連情報
【デーリー東北】
www.daily-tohoku.co.jp/news/2006/01/25/new06012502.htm
www.daily-tohoku.co.jp/kakunen/news2006/kn060125b.htm
【東奥日報】
www.toonippo.co.jp/kikaku/kakunen/new2006/0124_3.html