六ヶ所再処理工場でまた被曝事故が発生-分析建屋で2件目-

六ヶ所:六ヶ所再処理工場でまた被曝事故が発生-分析建屋で2件目-

■六ヶ所再処理工場を運転する日本原燃本は、6月24日午後、再処理工場の分析建屋において、19歳の下請け作業員がプルトニウムを含む放射性物質を吸い込み、内部被曝したことを発表した。

■被曝したのは19歳の下請け作業員で、24日朝から分析建屋内の分析室で再処理工場から送られた試料の放射能濃度を調べる作業を、全体で22あるうちの第15分析室で行っていた。作業は日本原燃の職員と下請け作業員の2名で行われていたようだ。分析試料は、別のフードのある部屋での作業を終えビニール袋に入れられこの分析室に運ばれた。請け作業員は測定試料をビニール袋からピンセットで取出し、測定器に入れる作業を行っていた。分析試料が行程のどこから送られたものか、詳細は不明。

■11時45分頃、下請け作業員が分析室から退出ために放射能測定を行ったところハンドフットモニターの測定で、両手と右足に放射能汚染が確認された。全身のガンマ線測定、肺モニタの測定では被曝は確認できなかったが、鼻の粘膜を調べる鼻スミヤテストで、α線(アルファ線)が0.7Bq(ベクレル)確認された。作業中に、何らかの理由でプルトニウムを含む放射性物質を吸い込み、内部被曝したと考えられる、詳しい被曝線量は現在検査中だが、2ミリシーベルトをこえる量を被曝した可能性が高いと日本原燃は公表している。
(2ミリ以上は県へ報告義務、5ミリ以上は国へ報告義務がある)

■報道によれば、事故の発生した分析室の床からも、放射性物質が検出されている。ところがこの分析室はマスクの着用が義務づけられていなかったため、作業員はマスクをしていなかった。両手、足、床などの汚染が確認されており、相当広範囲が汚染された可能性がある。

■日本原燃は「作業員は医師の診断を受け異常がない」としているが、影響がでるのは今後の問題である。長期間にわたって作業員の健康を慎重に観察してゆく必要がある。

■六ヶ所再処理工場での被曝事故が、5月20日の事故のに続き再び分析建屋で発生した。今度の事故は、前の事故が起こった部屋で処理された分析試料の、次の行程である。日本原燃は、5/20の被曝事故発生によってフードまでは暫定的にマスクの着用を指示したようだ。しかし今回の事故でも、問題の分析室ではマスク着用に必要はないと主張している。被曝事故が起きたばかりの分析建屋内で、なぜ簡単にあらたな被曝事故を起こすのか。前回の事故をどのように反省しているのか。
 
■今度の事故で、19歳の下請け作業員は、数ミリシーベルトのプルトニウム等を内部被曝したと推定される。これは大きな被曝事故である。さらに問題は、作業員の手、足だけでなく、事故の発生した分析室の床でも放射性物質の汚染が確認されていることだ。事故原因の解明が急務だが、その前に日本原燃が当然行うべき作業の内容、方法、そしてプルトニウムを含む放射性物質を扱う危険な作業であることが、キチンと作業員に教育・訓練されていたのか? 作業指示の方法、放射線教育などに大きな欠陥があるのではないか。また一緒に作業していた日本原燃職員の作業状態、汚染・被曝状況について何も公表されていないのはなぜか?事故にどのように対応していたのか?詳細を公表するべきである。
日本原燃の被曝管理、安全管理の在り方が根本的に問われている。

■関連情報
【日本原燃】
www.jnfl.co.jp/press/pressj2006/pr060624-1.html
www.jnfl.co.jp/daily-stat/topics/060525-recycle-01.html
【東奥日報】
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/0624/nto0624_14.asp
【朝日新聞】
www.asahi.com/national/update/0624/TKY200606240423.html
【毎日新聞】
www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060625k0000m040074000c.html
【読売新聞】
www.yomiuri.co.jp/national/news/20060624i115.htm
【原子力資料情報室:5/20の被曝事故他について】
cnic.jp/394
cnic.jp/389
cnic.jp/376