再処理工場:せん断機から油漏れ事故発生

六ヶ所再処理工場:年末年始もアクティブ試験を継続中
1/1 せん断機から油漏れ事故発生

◆2008年1月1日、日本原燃六ヶ所再処理工場の使用済み燃料せん断機で油漏れの事故が発生した。事故当時はせん断作業中で、現在せん断は中止され、事故原因の調査が行われている。

報道等によれば、事故が起きたのは六ケ所再処理工場の前処理建屋3階にあるせん断機油圧装置B室。18:05頃、巡視員が「煙が見えた。油漏れもある」として、119番通報があった。六ヶ所消防署から消防車が出動したが、20:47同署は火災はないとしている。

事故の起こった場所は放射線管理区域内だが、この事故による放射能等の外部への影響はないと公表されている。

事故では、せん断機の駆動用の油が約800リットルが床に漏れた模様だ。巡視員は、せん断機の油から煙が出ていることを確認したとしている。日本原燃は報道に対し、「機器に何らかの損傷があり、煙が出た可能性がある」、「煙のように見えていたのは、油が噴き出して霧状になっていたものかもしれない。」、「せん断作業復旧の見通しについては現時点では何とも言えない」としている。

◆六ヶ所再処理工場の前処理建屋では、使用済み燃料をせん断(ぶつ切り)し、せん断片を膿硝酸に溶かすなどの作業が行われる。せん断装置のラインは2系列(A系、B系)設置されており、今回の事故はB系のせん断機で起きたようだ。せん断は油圧を利用して使用済み燃料を切断する仕組みになっていて、この油が漏れた模様。漏れた油の量は約800リットル(ドラム缶約4本分)という大量だ。

◆日本原燃の『トラブル事例集』にせん断機の漏えい事故の例として下記解説がある。
しかし今回の事故のような、装置で煙が発生したり、霧状で大量の油が漏れるような想定にはなっていない。克明な原因調査が望まれる。
【No.2-01:せん断機油圧ユニットからの油の漏えい】
www.jnfl.co.jp/cycle-recycle/re_siken-tandt/pdf/2-01.pdf

◆年末年始もアクティブ試験を継続中
日本原燃は、アクティブ試験の第4ステップが予定の日程を大幅に超過していること、さらにアクティブ試験工程の変更などによってこの年末年始に1日も休まず工場の運転を続けている。各建屋別の作業内容は下記参照。このような日程優先の過密ななスケジュールは、工場の作業員に過大な負担や疲労を与えることは確実である。さらに事故原因調査や再発防止策が十分に行われない可能性さえ危惧される。

六ヶ所再処理工場の年末年始の作業について
www.jnfl.co.jp/daily-stat/topics/071228-recycle-01.html
www.jnfl.co.jp/daily-stat/topics/071228-recycle-01.pdf

◆この事故は、日本原燃の公表基準では、【B情報】とされ、翌平日以降にホームページ上に公表されることになっている。しかし同社のホームページは工場が稼働中であるにもかかわらず、昨年末の12月28日以降更新されておらず、この事故の日本原燃による公表は1月4日以降になる。年末年始や週末に係わる情報公開のあり方を、再検討するべきである。

◆関連報道
【東奥日報】
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2008/20080101233338.asp
【読売新聞】
www.yomiuri.co.jp/national/news/20080101i412.htm?from=main4
【毎日新聞】
mainichi.jp/select/jiken/news/20080102k0000m040033000c.html