続報:再処理工場・せん断機に油圧制御ユニット漏えい事故
続報 : 再処理工場・せん断機に油圧制御ユニット漏えい事故
約30リットルは堰(せき)から溢れ出た! 漏えい検知装置もなし!
◆六ヶ所再処理工場で1月1日に発生したせん断装置からの油の漏えい事故について、日本原燃は1月4日、漏えい個所は油圧制御ユニットの油圧供給配管継手部と公表した。漏えい量は、約750リットルとしている。
◆日本原燃発表の図のように、せん断機と油圧制御ユニットは隣り合わせのセルに設置されている。破損個所は制御ユニットの切り替え弁と配管をつなぐ継ぎ手部分である。運転員が「煙が出た」と判断したのは、「煙のように油が噴き出して霧状になった」可能性が考えられる。これは、今まで考えられていたような継ぎ手部分の緩みではなく、継ぎ手自体が破損したことが原因のようだ。試験中の重要部品が破損したことは、施設全体の機器、部品類の品質管理、安全管理の問題を改めて問うことになるだろう。
◆事故に関する当室の照会に対し日本原燃は、漏えいした油が装置の下に設置されている堰から溢れ出ていたことを明らかにした。漏えい量約750リットルのうち、約720リットルが堰内に、約30リットルが堰から溢れていたというのである。堰の容量を越えた量が、オーバーフローしていたのだ。約30リットルで済んだのは、全くの偶然である。
◆ドラム缶4本分にも相当する大量の油が漏えいした原因には、さらにたくさんの問題があることは明らかだ。この油圧制御ユニットは高放射線区域のため運転時作業員はいない。ところがこの堰には漏えい検知の警報が設置されていない模様だ。その上、点検目視(巡視)は1日に1回しか行われていない。これらの要因が大量の油漏れ事故を起こした可能性が高い。
◆このセル内での大量の漏えい事故など当然想定されていない。もし継ぎ手の損傷が大きな傷だった場合、もっと大量の油が漏えい、オーバーフローし、さらに危険な状況が生み出された可能性も否定できない。
◆なぜ漏えいが想定されている装置に、漏えい検知機が設置されていないのか。
これは、「大量の漏えいはありえない」という日本原燃の安全軽視、経済性優先の姿勢に問題がある。さらにそれを是認している国の安全審査の問題でもある。
◆1月1日午後6時前後に発見された事故は、24時間前の巡視以降、いつ発生したのか、何時間くらい経過して発見されたのか、セルの中で何が起こったのか、わからないことだらけである。克明な原因究明と安全対策の再検討が必要だ。さらに日本原燃が正確な事故情報を積極的に公開する姿勢を欠いたまま、アクティブ試験を再開することは許されるべきではない。
◆この事故は法令報告対象ではないが、原子力安全・保安院は1月8日、日本原燃に対し発生原因と再発防止策を11日までに報告するよう異例の指示を出している。
◆日本原燃 :【B情報】前処理建屋における油漏れについて
www.jnfl.co.jp/daily-stat/topics/080104-recycle-b01.html
◆関連情報
【東奥日報】
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2008/20080104192445.asp
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2008/20080108214118.asp
[img]https://cnic.jp/files/080104-recycle-b01.gif[/img]
日本原燃ホームページより