【公開質問】各党の核兵器政策、とりわけ米国の先制不使用宣言への対応について

2021年10月25日

NPO法人原子力資料情報室

米バイデン政権は現在実施中の「核体制の見直し」で、先制不使用・唯一の目的宣言を検討していると見られています。このような宣言は核兵器使用の敷居を高め、核戦争のリスクを削減することに繋がると期待されています。しかしオバマ政権下で同宣言が検討された際には、日本の反対が宣言断念の重要な理由の一つになったと報じられていました。

このため、8月9日に米国の核問題専門家・団体など(21人・5団体)が、そして9月7日には日本の22団体と個人44人(原子力資料情報室を含む呼びかけ5団体・5人、賛同17団体・39人)が、主要政党の代表者に以下の2点を要請する表記の公開書簡を発出しました。(詳細はウェブサイト核情報関連記事

・バイデン政権が先制不使用・唯一の目的政策を宣言することに反対をしないと明言すること。
・このような政策が日本の核武装の可能性を高めることはないと確約すること。

しかしながら、衆議院議員選挙2021(公示日2021年10月19日/投票・開票日10月31日)での各政党の核兵器政策において、特に先制不使用政策について言及している政党は皆無でした。

そこで、当室は10月20日、自由民主党、公明党、立憲民主党、日本共産党、日本維新の会、国民民主党、社会民主党、れいわ新選組に以下の質問を送付いたしました。


バイデン政権は、2022年1月に策定完了予定の「核態勢の見直し(NPR)」の中で、核戦争のリスクを減らすために、米国は先には核兵器を使わない/米国の核兵器の唯一の目的は米国自身、国外の米軍、あるいは、同盟国に対する核攻撃を抑止し、必要とあれば、報復することにある、と宣言することを検討するだろうと報じられています。

一方、日本は、米国の核の傘の下にある国の中で核武装能力の最も高い国だとの見方が米国内にあり、日本の意向は、米国が先制不使用の検討にあたって、非常に重要な要因となります。実際、オバマ政権が先制不使用を検討した際、「日本の反対を無視すると日本が核武装してしまうかもしれない」との懸念が主要な理由となり断念したとの報道がありました。
そこで、この宣言に対する貴党の見解をお伺いします。

1.貴党は米国が先制不使用を宣言しようとする際、今回は反対しないと明言できますか?
2.貴党はこのような政策が日本の核武装の可能性を高めることはないと確約できますか?

選挙期間中、ご多忙とは存じますが、ご回答いただけますと幸いです。
なお、頂いたご回答は公表させていただきます。ご了承ください。


本件に付き、各党からの回答があり次第、順次公表いたします。

以上

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