原子力発電の経済性に関する考察

原子力発電の経済性に関する考察

勝田忠広、鈴木利治

公益事業学会第55回全国大会(2005年6月12日)用配布資料

目的

 原子力発電に関して、経済性は非常に重要な意味を持っている。他電源と比較して設備投資が大きく、また核燃料サイクルという複雑で巨大な燃料システムを持つ原子力発電は、その経済優位性を持って存在意義が示されてきた。

 例えば、総合エネルギー調査会(現・総合資源エネルギー調査会)原子力部会第70回の報告『原子力発電の経済性について』(1999年12月)によれば、原子力発電は5.9円/kWhであり、LNG火力の6.4円/kWhに対してその経済性が示されている。また総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委員会第8回の報告『モデル試算による各電源の発電コスト比較』(2003年12月)によれば、原子力発電は5.3円/kWhに下がり、LNG火力の5.7円/kWhと比較して他電源と比較して経済性に遜色ないと示されている。

 このような政府の試算については、大きく二つの問題が存在している。一つは客観的な評価が本当に行われているのか不明なことであり、もう一つは、総括原価方式が無くなる一方で電力自由化の範囲拡大が行われるという状況変化に対して、どれだけ即応能力を持っているのかという評価が行われていないことである。

 本論文では、これらの二つの問題について検証を行い、原子力発電の経済性について問題提起を行う。まず発電コスト試算を独自に行い、従来の政府試算との比較を行う。続いて、政府試算で議論されていない「電力自由化」の中での原子力発電の他電源との比較を行う。最後に、以上の経済性に関する検証結果から原子力発電の問題点を明らかにし、原子力発電をどのように位置付けるべきかを提示する。