『原子力資料情報室通信』387号短信
『原子力資料情報室通信』387号短信(2006.9.1)
※情報は執筆時点のものです
■女川原発周辺海域でヨウ素131検出
東北電力と宮城県との環境放射能測定基本計画に基づき、同電力が採取して測定した環境試料の1つアラメ(海藻の一種)からヨウ素131が検出された。東北電力から県への報告は3週間ほど後の8月2日だった。このとき測定されたのは発電所放水口付近の2ヶ所で採取されたアラメで1kgあたり0.22?0.23ベクレルだった。その後の追加分析ではこれまでのところ、8月9日と12日に採取したアラメなどの試料で最も高かったのが0.33ベクレル/kgで、原発西方12kmの佐須浜での試料だった。また、15km離れた石巻市雄勝の名振でも0.21ベクレル/kgが検出された。
さらに調査の過程で原発敷地内の浄化槽からもコバルト60やマンガン54、ヨウ素131といった放射性物質が検出された。本来は放射線管理区域の水が流れ込まない構造である。
また、女川2号炉は気体廃棄物系配管の減肉穴あき事故で7月16日から定期検査に入っている。このときの漏洩水の行方はどうだったのか。8月3日に巡視中の運転員が発見したとされる漏洩もある。この漏洩(約2リットル)では国への報告義務を超える580万ベクレルに達していた。このとき側溝からも漏洩水が見つかっている。ヨウ素131は半減期が8日と短い。これが検出されたことは先ず原発から放出されたと疑うべきであろう。
■六ヶ所再処理工場・アクティブ試験第2段階開始
六ヶ所再処理工場のアクティブ試験は、8月12日から第2ステップが開始された。試験計画としては約1ヶ月遅れ、日本原燃は10月以降にMOX粉末を回収する予定としている。6月に分析建屋で発生した19歳作業員のプルトニウム被曝事故などで、工場の安全確保に対する不安が高まった。青森県議会、六ヶ所村議会の集中審議でも日本原燃の姿勢に多くの批判が出た。青森県は7月、サイクル施設の安全監視強化のため、元動燃事業団幹部などの専門家5人を県の技術顧問として委託した。
■スウェーデンのフォルスマルク1号で電源喪失事故
7月25日、スウェーデンのフォルスマルク原発1号炉(BWR/100.8万kW/1980年12月運転開始)で、運転中の電源喪失事故(外部電源の喪失を経て内部電源も一部喪失)が起きた。この日13時20分頃、送電線メンテナンス中のショートを発端として外部電源を喪失したが、UPS系統の故障のため非常用ディーゼル発電機4台中2台も失敗した(約23分経過してから手動回復)。制御棒の部分挿入、再循環ポンプ8台中4台トリップ、タービントリップを経て、全スクラムした。制御室では制御棒位置や水位などの正確な把握が困難になったほか、原子炉の水位と圧力が下がり、燃料上部1.9mまで水位が下がった(ECCSによる注水が行なわれた)という。詳細はhttp://www.
ski.seやhttp://www.forsmark.comを参照のこと。
※386号は短信休載