【原子力資料情報室声明】原子力規制委員会の海洋放出認可に強く抗議する
2022年7月22日
NPO法人原子力資料情報室
7月22日、傍聴席から抗議の声が飛び交う中、原子力規制委員会は東京電力が計画する処理水の海洋放出に関する変更申請を了承した。このことに原子力資料情報室は強く抗議する。
6月17日まで実施していたパブコメには1,233件もの意見応募があった。規制委はこれを回答しやすいように都合よくまとめた上で、これまで通りの考え方を繰り返すだけの回答となっている。その考え方を変えることはなかった。
例えば、放出される放射性物質の総量を示せ、という意見に対しては、放出前に(1万立方メートルごと)示すとのこれまで通りの姿勢だが、これでは放出が終わるまで総量が示されないことになる。
また、長半減期の核種による環境影響に関しても、規制を満足する放出だから、人と環境に対しての影響が十分に小さいことを確認している、としている。海底への放射性物質の蓄積に関しても、海水中の濃度と均衡すると仮定して評価しているから問題ないとしている。
回答するなら、提出された論点に関して、少なくとも、いつの審査会合でどのように議論したのかをしめすべきであろう。これでは何のためのパブコメなのか理解に苦しむ。
なによりも、海洋放出に対する漁業者団体の理解・合意が得られていない。福島県漁連は今年の年次総会において海洋放出に反対する特別決議をあげている。本日の決定により東電は設備工事に入っていくと考えられるが、そうすれば対立や溝をいっそう深めていくことになる。規制委の決定はあまりにも無責任と言わざるを得ない。