原子力資料情報室声明:原子力委員会人事、転倒した手続きの問題点

原子力委員会人事、転倒した手続きの問題点

2014年2月14日

NPO法人 原子力資料情報室

 

 2月14日、政府が提示した原子力委員会の人事案(岡芳明委員長、中西友子委員、阿部信泰委員)が国会で承認された。我々は、この人事案についても問題があると考えているが、それ以前の問題として、現在、改組が検討されている原子力委員会の設置法改正案の国会への上程・可決以前に人事案が国会で提示され、可決されるという、現政府の手続き軽視の動きに懸念を表明する。

 原子力委員会は、委員定員が5人(常勤3人、非常勤2人)であるところ、現在は、それぞれ任期切れとなっている3名の委員(近藤駿介委員長(任期は2013年1月5日まで)、鈴木達治郎委員長代理(任期は2012年12月31日まで)、秋庭悦子委員(任期は2012年12月31日まで))が、後任者が選任されなかったために、職務を継続してきた。

 これまで、政府は原子力委員の任期が切れているにもかかわらず、原子力委員会はあり方を含めて検討中であるとして、人事案を国会に提示して来なかった。しかし、今国会上程予定の原子力委員会設置法改正案の提示や議論を経ることなく、現行の原子力委員会設置法の定数に満たない人事案を提示し、国会は同意した。

 そもそも、任期が切れているにもかかわらず、人事案を国会に提示して来なかったこと、さらに今回、原子力委員会設置法改正案すら示すこと無く、人事案を提示したことについて、政府は手続きを軽視しているというそしりを逃れることはできない。

 福島第一原発事故で市民の信頼を失った原子力行政において、適正手続の確保は、信頼を回復していくための最低限の要件であろう。政府は速やかに原子力委員会設置法の改正案を公表し、また原子力委員の適格性についても、市民に対して、明確に説明すべきである。

以上