緊急作業時の被ばくに関する規制に関する関係規則等の改正等(試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則等の一部を改正する規則)に係る意見

原子力規制委員会が実施したパブリックコメント「緊急作業時の被ばくに関する規制に関する関係規則等の改正等(試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則等の一部を改正する規則)に係る意見募集について」に対して以下の意見を応募しました。


 

 

意見:

緊急作業における被ばく限度を250mSvに引き上げる緩和の改正せずに、現行の100mSvを維持するべきである。

 

理由:

①    「改正」案では原子力災害特別措置法にいう10条通報ならびに15条通報に該当する事態が発生した時点で250mSvまでの被ばくを許容することになる。より少ない被ばく線量(例えば100mSv以内)での事故対応が可能であっても、法が許していれば、その手段が選択されずにいっそう高い被ばく作業が選択されていくことになる。これは労働安全衛生法などに掲げる労働者保護の立場に著しく背く対応である。

②    想定される最悪の事故とこれへの対応を労働者保護を十分に考慮して、緊急時の被ばく限度を決めるべきところ、実用炉から使用施設、輸送まで並べて250mSvとしている。

③    しかも、福島原発事故の経験を踏まえて、重大事故対応など、規制が強化されている状況であるのだから(現行で十分とは言えないが)、緊急作業の被ばく限度を引き上げずに対応が可能なはずだし、対応が可能なように規制を強化するべきだ。被ばく限度を緩める対応は、行政が取るべき施策ではない。これまでの規制強化の流れと逆行していう。

④    放射線防護措置教育ならびに緊急作業訓練を受けた者で、書面で申し出た者が緊急作業に従事するというが、上司の命令が絶対であるような実際の現場では、本人の意思というより強要に近い状況になることが強く想定される(自由意志で申し出る労働者がいることを否定しないが、すべてがそうだとは限らない)。

⑤    炉規法等では緊急作業の定義がなされておらず、これによって厚生労働省所管の電離放射線障害防止法等と齟齬が生じている。これでは現場が混乱することになる。なお、厚労省の改正案では緊急作業100mSvを原則とし、これを超える恐れがある場合に特例緊急被ばく限度として250mSvを導入しようとしている(労働者保護の立場からこの改正にも同意しかねる)。

以上