タニムラボレター No.033 放射性セシウムの溜まりやすい箇所
4月、局所的に高い放射線量が観測される地点を発見しました。いわゆるホットスポットです。原発事故から4年以上もたった後に発見されたのですから、他にも同様の場所が人知れず存在している可能性があります。今号では、明らかとなったホットスポットの状況について説明します。
当該エリアは東京都内の草地で、ホットスポット以外の空間放射線量は、地上1mで0.06~0.11、地上5cmで0.09~0.12マイクロシーベルト/時(μSv/h)程度でした。その草地は幅7.4mのアスファルトの車道に接しています。車道と草地の間に側溝などはなく、草が車道側にすこし伸びて直接つながっています。車道との境界には厚さ1cm程度の土壌と草の根が混在する層があります。車道は草地の間を通っていますが、西に向かってわずかに傾いていました。東側の草地は東に向かって上り坂です。
地上5cmの空間放射線量を測定したところ、アスファルトの車道との境界線上で0.33、そこから西に10cm離れた地点で0.50、20cmで0.45、30cmで0.40、40cmで0.34、50cmで0.30(いずれもμSv/h)でした。境界から遠ざかるほど線量は低くなり400cm離れると周辺と同じくらいの値になりました。車道の上と東側の草地では0.07μSv/hでした。西側の草地は他と比べて7倍も高い放射線量が示される箇所がありました(下図)。
最大値を示した地点においても、地上1mでの放射線量は0.12~0.13μSv/hほどでした。なお、環境省の除染基準は0.23μSv/hですので、それより低い線量です。
この場所がホットスポットとなった原因は、福島原発事故時に放出された放射性物質がアスファルトの車道の上に降下し、雨と一緒により低い西側の草地に流れ込んだことと考えられます。そして境界付近の土壌に濾し取られたのでしょう。車道の長辺方向においても当該エリアが最も低くなっており、とくに広範囲からの雨水が集まりやすい場所でした。
事故から4年が経過したにもかかわらず、新たなホットスポットが発見されたことに驚きました。地形を観察しながら放射能汚染が高いと思われるところを積極的に調査する姿勢も必要だと考えます。
(谷村暢子)