リトアニア政府、ヴィサギナス原発計画を凍結へ
リトアニア・エネルギー省は11月24日付のリトアニア国家エネルギー戦略のガイドライン1において、計画されていたヴィサギナス原発計画を凍結することを勧告した。ガイドラインでは「市場環境が変化して費用対効果が高くなるか、エネルギー安全保障上、必要な状況となるまで、計画を凍結する」とされた。
ヴィサギナス原発計画は、日立GEニュークリアエナジーが改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を建設する予定だったが、2012年の国民投票で原発建設が否決されて以来、計画は中断していた。一方で、リトアニアはかつて総発電電力量の8割を占めたイグナリナ原発はチェルノブイリ原発と同型の軽水冷却黒鉛減速炉(RBMK)だったため、2009年までに廃炉となっており、エネルギーの確保が大きな課題となっていた。そのため、ヴィサギナス原発計画は、国民投票で否決されて以降も繰り返し蒸し返されてきた。
現在、原発建設計画が進行中の国々は複数存在するが、中国は、すでに国内に3つの原発メーカーが存在しており、今後、海外メーカーが参入するには困難が伴うことが予想される。トルコでは、政情の不安定さから、原発建設には大きなリスクを伴うこととなる。米日では今後複数の原発を新設するような状況にはない。進展があるとみられるインド・イギリスでも課題は多い。インドでは、日印原子力協力協定が締結されたとしてもメーカーに対して求償することを可能とする原子力損害賠償法が存在している。イギリスでは、日立・東芝がそれぞれ、原子力事業者を買収して原発建設計画を進めているが、両社ともに出資者を募集しているものの、状況は芳しくない。今回の凍結は、ベトナムでの原発建設計画の中止とともに、日本の原発メーカーにとって、大きな痛手となるだろう。
RECOMMENDED KEY GUIDELINES OF THE NATIONAL ENERGY STRATEGY OF LITHUANIA