柏崎刈羽原発の審査書案のパブコメに異議の意見を集中しよう
原子力規制委員会が柏崎刈羽原発6、7号機の審査書案に対してパブリックコメントを求めている。期間は11月3日までである。
規制委員会は東京電力HDの原発にたいして、福島原発事故に鑑み事業者としての適格性についても審査した。今回のパブコメでは従来のものに加えて、事業者に対する適格性に関する規制委員会の判断も含まれ、2本立てになっている。
規制委員会は東電の適格性を判断するために7月10日に7項目の「基本的考え方」を示し、東電はこれに対して8月25日に文書回答を寄せた。7項目は例えば、福島第一原発の廃炉を主体的に取り組み、やりきる覚悟と実績を示すこと(①)、経済性より安全性追求を優先することや安全性の向上(③、⑤、⑦)などである。これに対する東電の回答は「廃炉、賠償をやり遂げる」決意を示したに過ぎず、実績など具体性がないものである。にもかかわらず、規制委員会は「運転を適確に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と二重否定という奇妙な結論を下した。
しかし、東電の隠ぺい体質は2002年に明らかになった「東電トラブル隠し」以降も改まらず、福島原発事故の「メルトダウン隠し」の指示の存在が5年間も隠されていたこととか、柏崎刈羽原発に設置した事故時の対処施設である免震重要棟の耐震不足が3年間も隠されていたことが明らかになっている。また津波対策として設置した防潮堤が液状化現状により強度不足になることなども設置後に分かった。
新潟県で行なわれている福島原発事故の原因究明が未確定な状態で運転を再開しようとすること自体が経済性の優先の証左である。また、耐震不足や液状化などは起こるかもしれない最大の地震動の過小評価に起因するが、これも稼働優先の姿勢の現れである。隠ぺい体質に加え安全より経済性を優先している東電に柏崎刈羽原発を運転する適格性がないことは明白である。
パブコメに応募して、規制委員会の判断に異議を集中しよう。
さらに、もう一つの審査書案について、異なる科学的な見解が示されている柏崎刈羽原発5〜7号機の直下の12本の断層について東電の主張のみで判断を行なっている点は大きな問題だ。10月9日に柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会の活動10周年の集いがあったが、その席上、地元の地質学者らでつくるグループが現地調査と火山灰分析などを行ない、それらが活断層であるとの結果を得て、規制委員会に考慮・判断を求めていたことが報告された。しかし、審査書案にはその指摘を考慮した経過が見られない。規制委員会は東電の主張のみで判断したことになる。この点に関して、規制委員会に異なる科学的な主張についても十分に検討を行ない、科学的に納得できる結論を出すことを、パブコメで求めることも欠かせない。
意見募集のホームページは下記でご覧下さい。
search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198292003&Mode=0