【原子力資料情報室声明】女川原発1号機の廃止を歓迎する。他の原発も速やかに廃止すべきである。

【原子力資料情報室声明】女川原発1号機の廃止を歓迎する。他の原発も速やかに廃止すべきである。

2018年12月27日

NPO法人 原子力資料情報室

12月21日、東北電力は女川原発1号機を廃止するとして、発電事業変更届出書を経済産業大臣宛てに提出した。9月27日の定例会見で原田宏哉社長が「廃炉を検討している」と表明してから2ヵ月足らずでの正式な廃止である。実際には早くから廃止すると決まっていたのだろう。ともあれ廃止されたことは歓迎したい。

福島第二原発1~4号機については、6月14日に東京電力ホールディングスの小早川智明社長が内堀雅雄福島県知事との会談で「具体的に検討したい」と言明しているが、なお具体化していない。とはいえ福島第二原発の廃炉を免れることは、できようはずもない。現に12月5日の総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会原子力小委員会などに出された資源エネルギー庁の資料では、女川原発1号機も福島第二原発1~4号機も、「決定済・検討中」とカッコ書きはあるものの「廃炉」とされていた。

福島原発事故の前に54基を数えていた日本の原発のうち、20基が既に廃止確定ということになったのである。さらに新規制基準適合性審査を申請していないものが9基あり、女川原発でも3号機について申請されていない。申請できないのは、「新規制基準のハードルの高さを実感していた」と10月26日付の電気新聞が報じている女川原発2号機を含めて、審査と追加工事に要するコストと時間を考えれば、とうてい引き合わないことが、いよいよ明白になってきているからだ。

審査に合格して再稼働にこぎつけても、電気事業の自由化の進展の中で投下コストを回収することは難しいばかりでなく、事故に限らず、より大きなリスクを招くことになりかねない。未申請の9基はもとより、申請中から再稼働中まですべての原発を速やかに廃止してこそリスクを免れることができると、改めて訴える。

女川原発(左:2号機タービン建屋・2号機,中央:1号機,右端:3号機) 2018.11 撮影:片岡遼平