E.F.コノプリャ氏を悼む
E.F.コノプリャ氏を悼む
ベラルーシ科学アカデミー放射線生物学研究所所長でチェルノブイリ事故調査科学委員会議長として活躍されたエフゲニー F.コノプリャ氏が2月14日、脳梗塞でお亡くなりになりました。享年70歳。
ベラルーシ科学アカデミーはチェルノブイリ事故による周辺住民の健康被害を主張し、事故の影響は大したことないとするソ連中央やIAEAなどの学者と対立してきた。コノプリャ氏はいつもその先頭でがんばった。事故から5年目の1991年5月、IAEAが開催した国際チェルノブイリ・プロジェクト(重松逸造委員長)報告会で、「汚染地域の住民に健康への影響は認められない」という結論に対し、果敢に抗議し地域住民の健康被害を訴えた。
私は、92年にベラルーシと日本の科学者で小さなシンポジウムが開かれ、故高木仁三郎さんとともに参加したとき、はじめてお会いした。当時、国会議員でもあった氏は精力的に活動していた。同年8月、原水禁大会参加のため広島に来られ、東京でも当室主催で会議を開き、活発な議論があった。
94年10月、当室が日本側の事務局を担い、ベラルーシ科学アカデミーともにシンポジウム「核災害の急性・晩発性影響:広島・長崎とチェルノブイリ」を開催した。
いつも被災地住民に対し心を砕き、誠実な科学者であった。心から、ご冥福をお祈りします。
(渡辺美紀子)