六ヶ所再処理工場ウラン試験強行に抗議する
日本原燃、電気事業連合会、原子力委員会、経済産業省の六ヶ所再処理工場ウラン試験強行に抗議する
2004年12月20日
原子力資料情報室
日本原燃が六ヶ所再処理工場のウラン試験のための、劣化ウラン、模擬燃料集合体の輸送を開始した。試験は、12月21日開始と伝えられている。私たち原子力資料情報室は、工場稼働のためのウラン試験開始に、厳重に抗議する。
使用済み燃料からプルトニウムを分離することが、再処理工場の目的である。しかし日本の電力会社は、今日すでに利用計画を示せないほどの大量のプルトニウム在庫を抱え、その量は約40トンに達している。これほど大量の余剰プルトニウムを抱えながら、なぜ六ヶ所再処理工場を稼働させなければならないのか。
六ヶ所再処理工場とMOX工場だけで約12兆円、さらに輸送費等付随する費用が見込まれる。工場の計画公表そして着工時(1991年)でさえ、これらの費用は一貫して秘密とされてきた。しかもこの数字は、稼働率100%、工場の事故・トラブルなどは全く想定していない。工場が運転を開始すれば、膨大な費用負担が発生することは誰の目にも明らかである。これだけの大事業のコストを、なぜ国民に知らせないまま進めててきたのか、そして「原子力発電は安い」のなら、なぜこの六ヶ所工場の膨大な費用負担を国民に転嫁しようとするのか。
JCO臨界事故(死亡2名)、美浜3号機配管破裂事故(死亡5名)、東海再処理工場アスファルト固化施設火災爆発事故、高速増殖炉もんじゅの技術開発の挫折等、数え切れないほどの大事故、連発するトラブルがある。青森県の調査(2004)でも、原子力施設の安全性に不安を感じている人は、県民の8割以上に達している。六ヶ所再処理工場で、使用済み核燃料貯蔵プールの不正溶接問題を始めとして、多くの技術的問題やトラブルが明らかになっているからである。「安全第一」という国や事業者の対応が、安全を確保する姿勢ではなく、再処理工場の稼働を急ぐためのものであることを、多くの人々が見抜いているからである。なぜ、この不安に誠実に対応しないのか。
多くの市民がもっているこれらの根本的な疑問に対し、日本原燃、電気事業連合会、原子力委員会、経済産業省、日本政府、すべての責任者たちが、何も答えないまま、六ヶ所計画を強行しようとしている。六ヶ所工場を稼働させ、さらに使用済み燃料は中間貯蔵するが、その先は何も分からないという、このような無責任な政策は、使用済み燃料対策、廃棄物対策をただ先送りし、問題を混乱させるものであり、国民の誰にも支持されないものだ。私たち原子力資料情報室は、日本原燃、電気事業連合会、原子力委員会、経済産業省が、核燃料サイクル政策の破綻を認め、六ヶ所再処理工場計画を放棄することを、改めて強く求める。