女川原発 : 低レベル廃棄物検査装置の設定ミスか? 不正か?
■東北電力と日本原燃は、2月中に予定されていた女川原子力発電所から六ヶ所村の低レベル廃棄物埋設センター(最終処分場)への、廃棄物の輸送を延期すると発表した。搬出予定だった低レベル廃棄物960本で、延期の原因は、廃棄物の放射能が正確に測定されていなかったこと、使用されたセメントの試験を実施していなかっためだ。
■東北電力と日本原燃の発表は、搬出延期の理由について両社とも、「搬出先との調整(東北電力)」、「搬出元との調整(日本原燃)」とだけしか説明していない。しかし実際は、廃棄物の放射能が正確に測定されておらず、実際の値より著しく低いデータとなっていたというものだ。両社の発表には、この問題について説明責任を果そうとする姿勢はなく、むしろトラブルの実態を覆い隠そうという意図が感じられる。東北電力と日本原燃は、早急に把握しているすべての事実を公表するべきである。
■情報を整理すると、
1)日本原燃が事前に低レベル廃棄物のデータを受け取り、281本の廃棄物について測定値の異常を東北電力に指摘した。
2)指摘を受けた東北電力は、女川原発の低レベル廃棄物の放射能検査装置の設定値(?)が誤っていたことを確認した。測定された値のうち、炭素は実際の1/1000、トリチウムは実際の1/4となっていた模様。
3)東北電力は、検査装置の改良工事の際、値の設定を誤った可能性があると説明しているようだ。この設定値というのは、検査装置の測定機能ではなく、管理区域外に搬出できないレベルの廃棄物を検出するための警報の設定値ではないのか? 六ケ所村低レベルセンターの許容基準以上の放射能が入った廃棄物が確認されている可能性もある。
4)問題の960本の低レベル廃棄物は、1997?99年にセメント固化されたが、品質保証期間が過ぎ、強度や安定性について再検査が必要だったが実施されていなかった。
5)六ヶ所低レベルセンターには1号施設(均質固化体用)と、2号施設(雑固化体用)がある。問題の廃棄物がどちらに埋設されるものか詳細は公表されていない。しかし現在1号施設への輸送は少なく、ほとんどが2号施設へ埋設される雑固化体である。均質固化体は、放射能を含む洗濯廃液などをセメントと混ぜて固化したものである。雑固化体には汚染された配管や機器類などがセメントと混ぜて封入されており、均質固化体より放射能の値も高い。水素など可燃性ガスが発生する可能性があり、セメントの強度や安定性について十分な品質が求められる。
■関連報道
【東北電力】
www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2007/02/07.html
【女川原子力発電所:放射性廃棄物】
www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/data/4_b.html
【日本原燃】
www.jnfl.co.jp/daily-stat/000000-month/low.html
【低レベル埋設センターの操業状況】
www.jnfl.co.jp/daily-stat/20070208/low2.html
【東奥日報】
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070208103816.asp
【デーリー東北】
www.daily-tohoku.co.jp/tiiki_tokuho/kakunen/news/news2007/kn070208a.htm