タニムラボレター No.030 2014年の農産物放射性セシウム検査結果

 『原子力資料情報室通信』第489号(2015/3/1)より

 

 2014年の農産物の放射性セシウム検査結果についてまとめました。食品に含まれる放射性セシウム濃度の基準値は、一般食品は100、乳児用食品は50、牛乳は50、飲料水は10(単位はベクレル/kg)に定められています。
 下表に2014年1月から12月までの農産物における、放射性セシウムの検査数、その検出数、25ベクレル/kg以上の数、100 ベクレル/kgを超える数とその内訳を記載しました。検査数は月あたり2,000~4,500で、そのうち基準値である100ベクレル/kg を超える数は30以下(1%以下)でした。基準値を越えた品目の大部分が野生の山菜やキノコに偏っていましたが、産地は東日本の広い範囲にまたがっていました。福島県から遠い地域では、半減期が約2年である放射性セシウム134の比率が小さい傾向があり、福島原発事故以前の放射能汚染の影響が含まれていると考えられます。その他、福島県産の大豆から基準値超えの放射性セシウムが検出されました。
 表では、放射性セシウム濃度が「25ベクレル/kg以上」のまとめ方をしました。この理由は検出下限が25ベクレル/kgの検査がある一方、検出された検査でも1ベクレル以下のものがあったので、25ベクレル/kg以下では定量的に判断できないからです。25~100ベクレル/kgの品目には、ユズ、クリ、レンコンなどの食材も含まれていました。
 通常の食品の放射能検査の対象核種は放射性セシウムですが、数は少ないながらも、国は放射性ストロンチウムおよびプルトニウムの検査も行っています。最新のものは、2013年9月から10月に購入した流通食品について、2014年8月に検査結果を公表したものです。210 試料のうち0.5ベクレル/kg以上の放射性セシウムが検出されたのは10試料。そのうち放射性ストロンチウムは7試料から検出され、濃度は0.023~0.11 ベクレル/kgでした。いずれも福島原発事故以前の範囲内(不検出~0.7ベクレル/kg程度)と説明されています。プルトニウムは10試料全てで検出限界(0.0003~0.0007)未満でした1)。セシウム以外の核種の検査が充実されることを望みます。

 

 

 

 

 

 

2014年の農産物の放射性セシウム検査結果
(上)月ごとの検出濃度分布 (下)検査数、検出数および内訳

 

 

 

 

 

 

 

(谷村暢子)

1)http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11134000-Shokuhinanzenbu-Kijunshinsaka/20140822.pdf

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