再処理工場・ガラス溶融炉:耐火レンガ脱落!

六ヶ所再処理工場
ガラス溶融炉:耐火レンガ脱落

 六ヶ所再処理工場のガラス溶融炉で、内部の耐火レンガの脱落が確認された。報道等によれば、日本原燃は攪拌棒の挿入窓をはずして曲った撹拌棒を12月22日に取り出し、カメラを溶融炉内にいれて炉の損傷等の調査を行ったという。
その結果、ガラス溶融炉の中で溶融炉上部(天井部分)から耐火レンガの一部が割れて脱落、炉の底部に落下していることが22日夕刻確認された。脱落の原因は分っていない。

ガラス溶融炉は、高温のため外側からケーシング、耐熱ボード、キャスタブル、耐火レンガで構成され、加熱のための電極が取り付けられている。溶融ガラスを流下させるノズル(外径60ミリ、肉厚15ミリ)はインコネル製で、ケーシングと溶接されている。

脱落事故があったのは天井部分で、他の耐火レンガを支えるアンカーレンガ(日本原燃のプレスリリース「天井レンガ構造」の図参照)だ。このアンカーレンガの下部が落下している模様で、まさに天井のレンガを支持している重要な箇所だ。このアンカーレンガは、約24cmx約14cmx約24cmの大きさ。脱落した部分は、約24cmx約7cmx約24cm、重さ約6kgとされている。

日本原燃のプレスリリースや兒島社長の発言では、「天井レンガの一部が損傷している状態について、天井レンガの必要な断熱機能と構造的強度が維持できていることを確認している」としている。これば安全性をまったく無視した発言で、スケジュール優先の判断だ。なぜなら原燃は今後、ガラス溶融炉内に残っている約900リットルの溶融ガラスを抜き出すため、約2週間かけて炉を加熱し、固まっている高レベル廃液の混ざったガラスを溶かし、ガラスの抜き取りを行う予定だ。脱落したレンガの補修を行わずに、ガラスの抜き取り作業を優先させようというのだ。

レンガ脱落の原因も不明のまま安易に炉の加熱を行えば、新たなトラブルを発生させる可能性がある。レンガの脱落が仮に撹拌棒による脱落、または熱疲労による脱落の場合でも、炉の再加熱により、脱落部分からさらに亀裂・損傷が広がる可能性があり、アンカーレンガ自体の破壊や他の天井レンガの脱落も懸念される。

原燃は十分にこれらの問題を検討したのであろうか。原燃は「安全」という言葉だけを強調しているが、天井レンガの断熱機能や構造的強度が維持できる根拠は何も示されず、十分な説明も行なわれていない。明らかに、「再加熱ありき」、安全無視、説明責任放棄で、事故の深刻さを覆い隠そうとする姑息な対応である。

*写真「観察結果」の白く見えている場所が脱落した部分。
(以下の図は日本原燃プレスリリースより)
www.jnfl.co.jp/press/pressj2008/pr081224-a.html



*日本原燃プレスリリース
再処理施設 高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉(A系列)におけるガ
ラス溶融炉内の観察結果について
www.jnfl.co.jp/press/pressj2008/pr081224-a.html

 *関連報道

【河北新報】
www.kahoku.co.jp/news/2008/12/20081225t23006.htm
【デーリー東北】
www.daily-tohoku.co.jp/tiiki_tokuho/kakunen/news/news2008/kn081225a.htm
【東奥日報】
www.toonippo.co.jp/news_too/nto2008/20081224130707.asp
【読売新聞:青森】
www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20081225-OYT8T00041.htm
【朝日新聞:青森】
mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000000812250002
【毎日新聞:青森】
mainichi.jp/area/aomori/news/20081225ddlk02040103000c.html