『ついに放射能放出がはじまる-動かしちゃならない!六ヶ所プルトニウム生産工場』
『ついに放射能放出がはじまる-動かしちゃならない!六ヶ所プルトニウム生産工場』
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止めよう再処理!全国実行委員会
A5×19頁
100円
参考
田窪雅文『六ヶ所再処理工場と核拡散』原水爆禁止日本国民会議発行
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※原子力資料情報室正会員・賛助会員の皆様には次回(2005年11月初)の『原子力資料情報室通信』とともに1部お送りいたします
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「ついに放射能放出がはじまる-動かしちゃならない!六ヶ所プルトニウム生産工場」のところに必要冊数を記してください
・原爆の材料プルトニウム生産中止を!
・1.使用済み燃料プールで再び漏えい事故が発生
・2.六ヶ所再処理工場のおもな工程と危険性
・3.ウラン試験とアクティブ試験
・4.イギリス・ソープ再処理工場-大規模漏えい事故で施設閉鎖か?
・5.核燃料はリサイクルできない
・6.原子力は温暖化対策にはならない
・7.再処理工場は核兵器材料生産工場
・8.虚妄の核燃料サイクル政策
■止めよう再処理!2005共同行動(事務局:止めよう再処理!全国実行委員会)
原水爆禁止日本国民会議 TEL. 03-5289-8224 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2-11 総評会館1F
原子力資料情報室 TEL. 03-5330-9520 〒164-0003 東京都中野区東中野1-58-15 寿ビル3F
グリーンピース・ジャパンTEL.03-5338-9800 〒160-0023 東京都新宿区西新宿 8-13-11 N・Fビル2F
止めよう再処理!青森県実行委員会 TEL.017-775-7242 〒030-0811 青森市青柳1-3-14 社会文化センター内
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以下、本文(テキストのみ)
ついに放射能放出がはじまる
動かしちゃならない!六ヶ所プルトニウム生産工場
止めよう再処理2005共同行動
■原爆の材料プルトニウム生産中止を!
青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場で、早ければ今年の年末から使用済み核燃料を使った本格的な稼働実験(アクティブ試験)が、行われようとしています。
この実験が行われれば、再処理工場からは大量の放射能が垂れ流しとなり、工場内は放射能で汚染され、使い道のないプルトニウムが生産されることになります。
また、事業者や国が絶対安全と述べながら、使用済み核燃料貯蔵プールから水漏れ事故が発生したように、施設の安全性に大きな不安と不信があり、そのうえ、稼働することにより19兆円という莫大な経費がかかり、経済的にも大きな負担が国民に押し付けられます。
一方、プルトニウムを燃料とする高速増殖炉の実用化は、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故で頓挫し、プルサーマル計画もデータ捏造事件やトラブル隠しの発覚、美浜原発事故で中止されたままです。
さらに、高レベル核廃棄物処分場は、住民の反対が強く、候補地すら決まらない状態が続いています。
そして、国際的には、原爆の材料となるプルトニウムを、使い道のないまま生産し、溜め続ける日本に対し、核不拡散の立場から、六ヶ所再処理工場の稼働中止を求める声が大きくなっています。
国内でも、経済産業省や電力業界内、推進の学者、自民党国会議員などからも、再処理中止を求める動きが強まっています。
しかし、政府と原子力委員会は、なぜか強引に再処理を推し進めようとしています。
私たちは、危険で、採算が取れず、廃棄物の処分に困る、プルトニウムの生産を中止させるため、東京で大集会を開催いたします。みなさまのご協力をお願い致します。
■使用済み燃料プールで再び漏えい事故が発生
六ヶ所再処理工場は、1993年から建設が進められ、最初に完成したのは使用済み燃料貯蔵プールです。プールといっても11×13メートルの小学校にあるようなサイズのプールが3つならび、約100メートルの水路で全体がつながっている巨大なものです。(図参照)。1つのプールで約1000トンの使用済み燃料を貯蔵し、全体で3000トンです。使用済み燃料を常に水の中で扱わなければならないため、プールの深さは最大約13メートルもあります。コンクリートの内側には冷却水が漏れないようにステンレスライナーが全面内張されています。
この燃料プールの一つで、2001年の春、漏えいが発見されました。ステンレスライナーの内張り工事は短期間での完成が要求されたため、工事の下請業者は寸法の足りないステンレス鋼材があると、テンレス板を継ぎ足すというような不正工事を行ったのです。さらにこのような不正工事が、再処理工場本体のタンク等でも行われていた事実もわかりました。工場全体では、総計291カ所もの補修工事が必要となりました。同時に日本原燃は工事のすべてを元請けに任せ、立ち会いや検査もきちんと行っていなかったことも発覚しました。再処理工場が設計通りできているのか、日本原燃の品質保証体制に批判が集まり、燃料の輸送をやめて2004年春まで施設の総点検が実施されました。
燃料プールの不正工事による漏えい問題によって、ウラン試験の計画は約1年のび、2004年12月から始まりました。ところが2005年6月、燃料プールのバーナブルポイズン取扱ピットという小さいプールで、再び漏えいが発見されたのです。この漏えいの原因は、施設建設時の不正工事と、そしてこの地点がいわゆる「総点検」で見逃されていたこと、さらに漏えい発見の直前に行われた同ピットの機械調整工事によって貫通穴が2カ所できたことが判明しました。「総点検」への信頼は崩壊したのです。
本来なら工場全体で「総点検」を全面的にやり直すべきです。ところが日本原燃は逆に「保安規定」を変更して、今後は毎時10リットル以下の漏えいはたとえ発見しても漏えい箇所の特定や補修工事は行わないと言い出したのです。そして漏えいを発見しても1日1回の監視体制を3回にするだけで誤魔化そうとしているのに、逆に「監視を強化」すると宣伝する有り様です。今後は漏えい箇所の修理がまったく行われないまま、プールの運転が継続される可能性もあります。なぜならば補修の方法は現在開発中であり、それも原子炉用の技術で、燃料プールに適応できるかわからないのです。
■六ヶ所再処理工場のおもな工程と危険性
再処理工場は、使用済み核燃料を化学的に処理して、プルトニウムとウラン、死の灰(高レベル廃棄物)に分離する施設です。
おもな工程は次の図のようになっています。
貯蔵・冷却=使用済み燃料を燃料プールで貯蔵・冷却
剪断・溶解=使用済み燃料を数センチの長さに切断、切断した使用済み燃料を濃硝酸で溶かす
分離 =硝酸溶液の中から死の灰(核分裂生成物)を分離、さらにウランとプルトニウムを化学的に分離
精製 =分離した溶液から不純物を取り除く
プルトニウムは、一度分離したウランと1対1の割合で混合され、硝酸を抜いて粉状で貯蔵されます。
脱硝・貯蔵=ウランは硝酸を抜き、乾燥し粉状で貯蔵
ガラス固化=死の灰の部分は高温のガラス原料と混ぜ、ステンレスの容器にいれて冷やし固められます。これが高レベルガラス固化体で、人間が近づけば即死してしまうような非常に強力な放射線と熱を出します。
再処理工場はたとえ事故が起きなくても、日常的に大量の放射能を放出しなければ運転できません。工場敷地内にある150メートルの排気筒からは、クリプトン、トリチウム、ヨウ素、炭素などの気体状放射能が吐きだされます。また六ヶ所村の沖合3キロメートルの海中まで引かれた海洋放出管からは、トリチウム、ヨウ素、コバルト、ストロンチウム、そしてプルトニウムなど、多様な種類の放射能が廃液として海に捨てられます。再処理工場は「原発1年分の放射能を1日で出す」といわれ、最悪の原子力施設です。
さらに再処理工場は、死の灰の塊である使用済み燃料を扱うので、核施設として臨界や被曝の危険性を持っています。一方大量の化学薬品を利用するため、化学工場として火災・爆発などの危険性もあわせ持っています。1999年に茨城県東海村で起きたJCO事故のような臨界事故や、1997年にロシアのトムスク再処理工場で起きた火災爆発事故の可能性から逃れることはできません。
■ウラン試験とアクティブ試験
六ヶ所再処理工場では、本格稼働に向けた施設の試験運転が続いています。工場には建屋と呼ばれる非常に大きなビルが30以上立ち並び、建屋と建屋の間は地下トンネル(トレンチ)で結ばれています。建屋の中は放射能の漏えいに備えて、機器やタンクなどは密封されたセルと呼ばれる小部屋に設置されています。このような建屋とトレンチの中を、プルトニウムやウラン、高レベル廃液、濃硝酸を流す配管が所狭しと走っています。配管の総延長は、約1300キロメート、配管のつなぎ目は約40万箇所といわれています。
再処理工場では最初から使用済み燃料を使った試験は危険過ぎてできないので、水や蒸気を使って(通水作動試験)、次は硝酸などの化学薬品(化学試験)、そしてウラン(ウラン試験)、最後に実際の使用済み燃料を使用してたアクティブ試験(総合試験)と、段階的に行なわれます。
2004年12月から開始されたウラン試験は、核分裂しにくい劣化ウラン約53トンを使って行なわれています。試験が各建屋ごとに行われるため試験中のウランの流れは実際の再処理の工程とは違い、特別な配管等が設置されています。この試験ですべての機器類が試験されるわけではないので、なかには使用済み燃料での試験ではじめて使用される機器類もあります。
ウラン試験は約1年間の予定で、2005年6月までの進捗率で一番進んでいる前処理建屋が59.3%、総合進捗率で37.4%となっており、試験はこれから本格化する状態です。今までに公表されたウラン試験のトラブルは、法律で報告が義務づけられているものが2件(前処理建屋での硝酸性溶液の漏えい)などで、それ以外に14件となっています。しかしこれ以外の機器停止等は、ウラン試験中で120件、化学試験終了後(2004年12月~2005年4月)としてウラン試験を行っていない高レベルガラス固化建屋などで97件ものトラブルが発生し、明らかにウラン試験への移行条件が整っていなかった事実を示すものです。
ウラン試験では劣化ウランを使用しているため、事故やトラブルは大事には至っていませんが、アクティブ試験で実際の使用済み燃料を使えば、被ばく事故、放射能放出事故をはじめ、臨界事故、火災爆発事故など、あらゆる危険な事故発生の可能性が出てきます。日本原燃の予定では約430トンの使用済み燃料が処理され、設計上の年間処理能力800トンに比べても、少ない量ではありません。アクティブ試験は、事実上の操業開始です。試験運転がこの段階に入れば工場全体が放射能で汚染され、また大量の放射能が排気筒や海洋放水管から吐き出されるようになります。汚染は工場内に留まらず、工場周辺の環境を汚染する事になります。六ヶ所や青森県で生産される農産物に風評被害が発生する可能性も否定できないでしょう。
■イギリス・ソープ再処理工場 大規模漏えい事故で施設閉鎖か?
イギリス中西部・カンブリア地方は湖水地方と呼ばれるのどかな田園地帯です。ここに「セラフィールド」と呼ばれる巨大な原子力センターがあり、原発や再処理工場、MOX燃料加工工場などが運転中です。施設内にあるソープ(THORP)再処理工場では、日本やドイツの原発の使用済み燃料からプルトニウムの分離が行われれています。このソープ工場で2005年4月、大規模な漏えい事故が確認され、今も施設全体の運転がとまっています。
漏えい事故が発生したのは、ソープ工場の溶解工程と分離工程の間の計量タンクという機器です(図参照)。4月18日運転員が異常に気づき、すぐに施設の運転は停止されました。しかしタンクの設置されたセルは非常に放射線の強い場所です。翌19日リモートカメラによる調査によって、計量タンクの上部に接続されている配管が「破断」しており、この部分からプルトニウム・ウラン・高レベル放射能(死の灰)がまざった溶液が83立方メートルも漏れ出していたのです。これは学校プールの3分の1の量にあたるもので、巨大な量の放射能溶液がセルの床に貯まっていたのです。
その後施設を運転するBNFL(イギリス核燃料公社)の内部調査によって、配管からの漏えいは事故の9カ月も前の2004年7月から発生しており、さらに今年の1月にはすでに配管が破断していたことがわかりました。破断の原因は金属疲労と考えられています。この間、モニターや警報によって漏えいや破断を発見できる契機が何度もあったのに、運転員は何も対応を取らなかったのです。その理由は、ソープ再処理工場は最新技術でつくられており漏えいなど起こるハズがないという「新プラント信仰」とでも呼ぶべき観念を、ソープ再処理工場のほとんどの運転員が持っていたというのです。再処理工場という `超危険施設 aの運転員たちが、安全性の確認を怠り、通算100回も発した警報を無視し続けていたのです。これがソープ再処理工場の安全確保の実態です。すでにイギリス政府内部からも工場の閉鎖を求める議論が出てきました。
六ヶ所再処理工場の同様のセルでも、漏えい事故をはじめとして、臨界、発熱、放射能の揮発、水素爆発など数々の事故が想定されています。これらの異常事態に対し、迅速な対応と安全確認が日常的に行われていなければ、六ヶ所でもソープ再処理工場のような事故が起こる可能性は高いのです。
■核燃料はリサイクルできない
原発で使い終わったウラン燃料は約95~97パーセントがリサイクルできると、政府や電力会社は宣伝をしています。そのために再処理をするのだと言うのです。「リサイクル」と言えば聞こえはよいのですが、ほんとうなのでしょうか?
原発で燃料を使い終わるというのはどういうことか。まず、そこから考えてみます。原発の燃料は、たった数パーセントを燃やしただけで使い終わってしまいます。燃え残りのウランやプルトニウムがあるといっても、それを使うには、原子炉から取り出し、再処理を行なってウランとプルトニウムを分離し、改めて燃料をつくり直します。その際には、よそから新たなウランを持ってきて加えたりもします。原発で燃やされた分は、やっかいな高レベル放射性廃棄物になります。
そうしてようやくつくり直した燃料も、数パーセント燃やせば使い終わってしまいます。燃え残りのウランやプルトニウムを使うには、原子炉から取り出し、再処理を行なってと、またまた繰り返さなくてはなりません。おまけに、つくり直しをすればするほどプルトニウムやウランの燃料としての品質は悪くなります。
これは、「リサイクルできる」のではなくて、むしろ「欠陥商品」と呼ぶべきだと思います。
現実を見れば、ほぼまったくつくり直しはできていません。約95~97パーセントがリサイクルできると言ううち、プルトニウムが約1パーセント、残りは燃え残りのウランです。このウランは、申し訳のようにごくわずかが使われているだけで、本格的な利用は計画すらありません。仮に使うとしても、濃縮をする必要がありますから大部分は「劣化ウラン」となり、けっきょく利用できません。リサイクルできるのは、せいぜい1~2パーセントなのです。
リサイクルできるとされているプルトニウムの利用にしたところで、高速増殖炉計画は破綻し、プルサーマルも、危険性が増すことへの不安などから反対が強く、実施はくいとめられています。「核燃料はリサイクルできない」というほうが実際的でしょう。
■原子力は温暖化対策にはならない
「地球温暖化対策に役立つのだから、もっと原発を増やそう」と、推進者たちは主張します。地球温暖化とは、人間活動に伴って発生する温室効果ガス、つまり二酸化炭素(CO2)やフロンなどの大気中の量が増えることによって、地球全体の地表および大気の温度を上昇させ、自然の生態系および人類に深刻な影響を及ぼすものです。
確かに原発は、発電時には石炭や石油と比較して二酸化炭素を排出しないため、温暖化対策に有効だと、うっかり賛同してしまいそうです。しかし原子力発電を温暖化対策に利用するにはさまざまな問題があります。
出力を変動することが難しい原発は、動いている間はフル出力で使うしかありません。1日の電力需要の最低ラインを割り込んで運転することは、電気の捨て場がない限りできないのです。電力需要の伸びがとまっている現状では、原子力発電はすでに限界まで使っていると考えられます。原発を増やすには、電力需要を何とか増やして他の発電所も増やさないと無理なのです。これは省エネルギーと逆行するもので、二酸化炭素の排出をむしろ増やしてしまいます。
そんな原発が有効だとして数字上の辻つま合わせに使うことは、本来行なうべき対策を遅らせてしまう点でも、地球温暖化をすすめてしまいます。二酸化炭素はさまざまな原因によって排出されています。図はそれを示しています。各部門で省エネルギーをすすめる、運輸部門での自家用車のエネルギー利用の仕方を見直す、産業部門の化石燃料の使い方を改良する等、さまざまな対策があります。これらはすべて、原発をつくるより安価で早い効果が期待できます。
他方、原発を運転する限り発生する高レベルの放射性廃棄物については、超長期間の管理をしなければいけないのに、その処分・管理方法は確立しておらず、処分・管理の場所も決定していません。管理をしっかりすればするほど、二酸化炭素の排出量は大きくなります。
原発に頼った架空の温暖化対策は、効果はなく、コストも高く、事故や核拡散、放射性廃棄物という別の大きな問題を抱え込みます。そのうえ、再処理をしてプルトニウムを利用しようとしたら、問題をよりやっかいにすることになるのです。
■再処理工場は核兵器材料生産工場
六ヶ所再処理工場は、設計上、年間8トンのプルトニウムを取り出す能力があります。長崎型原爆は、製造時のロスをふくめて8キログラムで1発がつくれるとされていますから、1000発分ということになります。そこで1000分の1たりとも核兵器に転用されることのないよう、IAEA(国際原子力機関)では厳しい管理を行ないます。
とはいえIAEAにも、こんなに大量のプルトニウムを扱う工場の保障措置(核兵器に転用されていないことを検認する措置)の経験は、まったくありません。イギリスやフランスの再処理工場は、核兵器国の施設のため、IAEAの保障措置は行なわれていないのです。
このためIAEAでは、当事者の日本原燃や日本政府もふくめて国際的な検討を行ない、さまざまな対応策を組み合わせることで核兵器に転用されていないことを検認できるとしました。それでも、どうしても計算上は行方不明になってしまうプルトニウムの量が、日本原燃の甘い評価ですら年間に20~30キログラムになるといいます。仮にそれが数発の核兵器に転用されても、IAEAの査察で検知できないのです。
カメラで監視をしたり、運転状況の確認手段などを追加導入したりすることで転用は防げるとしていますが、そうした追加的手段も行方不明となる量を直接減らせるわけではなく、複雑な計算に依拠することなどからさまざまな不確かさがあります。日本原燃自身が「性能確認試験及び運転開始後初期において検討及び対策を行っていく必要がある」というように、未だ十分な対策は立っていないのが実情です。
取り出される年間8トンのプルトニウムは、ウランと混ぜて取り出すので核兵器には使えない、と日本政府は言います。しかし、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)からプルトニウムを分離することは、再処理に比べればはるかに容易です。使いみちもないまま核兵器1000発分のプルトニウムを毎年取り出そうというのが、六ヶ所再処理工場の計画です。そんな工場を強引に操業させようとすることに、世界の目が厳しくなるのは当然でしょう。また、日本で再処理ができるなら、他の国の再処理が許されない道理はないことになります。六ヶ所再処理工場を動かすことは、他の国にも再処理という核兵器への抜け道をひろげていく役割を果たすのです。
■虚妄の核燃料サイクル政策
日本の核燃料サイクル路線は50年も前に定められました。1956年につくられた最初の原子力基本計画に「国産増殖炉の開発を目指す」ことがうたわれたときから、この路線を目指して進んできました。
原発の使用済み燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して高速増殖炉で利用する。高速増殖炉では消費した以上のプルトニウムが生産されるので、再び再処理してこのプルトニウムを取り出すようにすれば、ウラン資源が有効に利用できるようになる「夢の原子炉」と呼ばれて欧米諸国を中心に、開発が熱心に進められました。
しかし時間が経つにつれ、高速増殖炉開発の危険性と困難さが明らかになりました。大事故を起こしやすいうえにコストが高すぎるのです。反対の声が強まり、欧米諸国は撤退を始めるようになりました。
日本では、実験炉「常陽」を稼動させ原型炉「もんじゅ」を建設して開発を進めてきましたが、95年に「もんじゅ」で冷却材のナトリウムが漏れて火災を起こす事故に見舞われました。この事故により、実証炉以降の開発計画は白紙に戻されました。
ただし、高速増殖炉開発を放棄してしまうと、原発の燃料はリサイクルできるという建て前が崩れてしまいます。再処理で取り出されるウランは、高速増殖炉ができて初めて使いみちが生まれるのです。そこで表向きはあくまで高速増殖炉開発の旗を降ろすことはできず、将来の「有力な選択肢の一つ」とされました。
また、もともと高速増殖炉の開発と一体にすすめられてきた再処理の計画は、変更されませんでした。高速増殖炉に替わるプルトニウム利用の方法としては、プルサーマル計画が前面に出てきます。このことこそ「はじめに再処理ありき」なのだということを示しています。しかも再処理そのものが目的ではなく、再処理計画がすすまないと使用済み燃料の行き場がなくなり原発をとめざるをえなくなるというのが、推進のほんとうの理由なのです。
高速増殖炉にしろプルサーマルにしろ再処理にしろ、電力会社も経済産業省も、本音ではやりたくないということが指摘されています。それなのに誰も責任をもって中止を言い出せる人がいないから、ずるずると続いているだけなのです。
やめるにやめられない核燃料サイクル。本当にとめられるのは、私たちしかありません。