ロシアの放射性金属処理施設で爆発事故(「ロシアの原発で事故」の情報について)

ロシアの放射性金属処理施設で爆発事故(「ロシアの原発で事故」の情報について)

その後、残る2人も亡くなった(3人とも亡くなった)。

=================================

ソスノヴィ・ボルの環境NGOグリーン・ワールドによる報告の簡訳

BALTIC NEWSLETTER OF THE GREEN WORLD
№89
2005年12月20日
GREEN WORLD
www.greenworld.org.ru
www.decomatom.org.ru

 エコメット-Sの熔解炉で起きた爆発事故は、頻繁な逸脱(この逸脱は国の規制機関によって伝統的に黙殺されてきた)と、この放射線学的に危険な施設における低水準の安全文化の論理的な帰結である。
 12月15日午前3時頃、電熱炉で爆発が起きた。エコメット-Sにある炉の1つである。エコメット-Sはレニングラード原発の敷地にあり汚染スクラップ金属を熔解し再生することを専門とする民間企業である。
 1200℃の溶融金属が炉から飛び出て、製造ユニットに居た3人の労働者を直撃した。
 エコメット-Sプラントは、放射性金属を再生処理するが、レニングラード原発の近傍に立地し、原発の発電炉から500メートルの距離にある。
 エコメット-Sの建屋の右に、100メートルの高さの換気筒が見える。RBMK-1000型の発電炉2つを擁するレニングラード原発第2ステージのものである。
 距離は、サンクトペテルブルグのセンターから80km、エストニアに70km、フィンランドに100kmである。
 マキシム・クズミン(22歳)、ヴィタリ・ランボゾ(33歳)、ヴィタリ・オグニョフ(32歳)が、溶融金属に直撃され非常に深刻な火傷を負った。彼らの身体の表面の70~90%が焼かれた。
 前二者はソスノヴィ・ボル病院No.38集中治療施設に運ばれたが大変重態であった。およそ24時間後にヴィタリ・ランボゾが亡くなった。ヴィタリ・オグニョフは事故の場所から80kmのサンクトペテルブルグ陸軍医科大学火傷専科に移送された。
 ありうる事故原因としては、ガスを含んだ容器(タンク)が存在したからかもしれない。事故時、炉の中には2トン以上の溶鋼があった。タンクが爆発し、何百キログラムもの溶融金属が作業領域に飛散した。
 この要因および他のありうる事故原因は、特別調査委員会によって調査されており、サンクトペテルブルグとソスノヴィ・ボルからの公務員を含んでいる。
 この事故はエコメット-Sにおける最初の事故ではない。同様の事件が2002年8月17日~18日の夜に起きている。
2人の労働者が負傷した。他の事故も複数起きており、労働者に重傷を負わせている。
 ECOMET-Sの広報担当ドミトリー・ボイツォフによると、今回の爆発事故は電熱炉や換気フィルタ(放射性パーティクルを蓄積するもので故障すれば放射能放出につながる)に損傷をもたらさなかった。低ないし中レベルの金属廃棄物を溶かすのに使用される炉は今回、非放射性金属を溶かしていた。
 エコメット-S近傍のバックグラウンドガンマ線量を事故の36時間後にグリーンワールドが測定したが、毎時15~18マイクロレントゲンで、バックグラウンドレベルに一致していた。事故を起こした炉が中にある建屋には損傷は見あたらなかった。
 注意すべきは、環境主義者と遺伝学者による長期間の研究が明らかにしてきたことだが、ソスノヴィ・ボル[”松林の街”]原子力施設群近辺の松の樹は、ソスノヴィ・ボルからサンクトペテルブルク方向に30km地点の松の樹より2.8倍の遺伝的異常があった。そしてそのレベルは統計的相関があった(“Baltic Newsletter of the GREEN WORLD”. №80 of 17 July 2004 www.greenworld.org.ru/eng/periodik/vestnik/index.htm )。研究者の見解では、これは低・中レベル放射性廃棄物の貯蔵・処理がさらなる環境汚染をもたらすという事実の指標である。
 エコメット-Sに操業を開始させると同時に、原子力省(ミナトム)は環境放射能測定を行う環境施設の予算を停止した。これによってソスノヴィ・ボル原子力施設群が位置しているエリアでの環境モニタリングはなくなった。環境施設は閉鎖された。
 エコメット-Sの設置と操業は、儲かる放射能ビジネスを始めるために行われた、ロシアの法律に対する数多くの違反( www.greenworld.org.ru/eng/news/ecomet/index.htm )、不正行為およびごまかしを伴っていた。
 ・違法なことに、国家による環境審査なしに、エコメット-Sは放射性廃棄物処理施設Lenspetskombinat RADON(Sosnovy Bor)の敷地で、放射性スクラップ金属の実験的熔解を何年間も実施してきた。
 ・違法なことに、ヨーロッパ最大級だが設計が環境影響評価にかけられていないプラントのために用地が提供された。そしてこの私営プロジェクトのための用地は国営企業レニングラード原発の用地内に設けられた。レニングラード原発は特別なセキュリティを伴う核災害施設である。エコメット-Sは原発から出た放射性廃液の貯蔵施設の横にあるのだ。
 ・国家環境審査による認可を受けていない放射能災害施設であるエコメット-Sの建設に対して、違法な資金提供がガスプロム銀行から行われた。
 ・違法なことに、Gosatomnadzor(国の原子力規制機関)はエコメット-Sが国の環境審査の許可を持っていないにもかかわらず操業に許可を与えた。
 ・違法なことに、国の環境審査による正式な許可がないのに、RF Minatomはエコメット-Sを操業開始させた。その年間処理能力は5000tである。2002年2月19日のことである。
 ・エコメット-Sは、ロシア国内の他地域からの放射性金属を、受け入れないと言っていたにもかかわらず、受け入れた。かくして、500万人の人口をもつサンクトペテルブルグに近いフィンランド湾南岸は、全ロシアの放射性廃棄物が集中する土地と化した。
 ・ドイツとリトアニアからの放射性金属廃棄物の輸送についても交渉が進行中で議論されている。
 ロシアの法律は国内への放射性廃棄物輸入を禁止している。しかし実際にはエコメット-Sは利益のあがる事業のためにはどんな障害も克服できるユニークな器量があるらしい。ロシア市民の生活と生活環境の質はそのために犠牲にされる。
 NGO、市民、ソスノヴィ・ボル市議会の委員会代表たちはエコメット-Sが法令を守るようあらゆる尽力をしてきたのだが、今のところ目的を達していない。複数のレベルの検察官事務所、地方仲裁裁判所、ソスノヴィ・ボル市裁判所と地方裁判所、ロシア連邦原子力大臣、環境保護規制機関、そしてロシア大統領に働きかけてきたのだが、すべて功を奏さなかった。裁判所では、実質的議論に入らなかった。
 原告はエコメット-Sに操業開始させることの正当性に異議を申し立てる機会を与えられなかった。検察官は策を講じる根拠をなぜか見出そうとしなかった。法廷は公式の回答を出したが、どうもエコメット-Sの意見を聞いて書かれたもののようだった。
 同時に、数年間ECOMET-Sに雇われている労働者Хは、エコメット-Sの安全文化がどういう水準にあるかを経験した。彼が明らかにしたところでは、「どのシフトでも私たちは産業安全条件に違反し、健康を危険にさらさねばならなかった。違反しながら自分たちで欠陥品の設備や機器を直さねばならないのだ。[炉で熔解するための大きな汚染部材を裁断する]破砕ユニットはまともに設備が整備されていなかった。ガスや放射性核種を含んだパーティクル[プラズマ切断で発生する]を抜きとるための通気口がなかった。そんな状態で一時間も働けばもうそれ以上現場にとどまって息をしたりなんてできなかった。眼からは涙が出て、吐き気と頭痛におそわれる……保護服はぼろぼろでスパークを浴びたら火がつきそうだった。金属を運搬するトラックは、放射能の処理も線量管理もなく、上限を超える頻度でユニットを出入りしていた。私は個人線量計のチェックを絶対信じなかった。線量計はすべて建屋でボスたちによってチェックされた。食料券は不規則かつ大きな遅れをもって配布された。私たちは家から持参した食事を、[汚染金属を扱う]仕事の合間の休憩時間に、製造現場のさなかで食べなければならなかった。シフトのあと私たちは時々冷水のシャワーを浴びねばならなかった。衛生チェックポイントは閉鎖になっていた。線量管理者は私がどのくらいの放射性塵を家へ持ち帰っているかをチェックしなかった」。
 4年間の違法操業の間、エコメット-Sはレニングラード原発からの放射性スクラップ金属7000トンを再生処理した。そのほとんどは、国内のみならず国外にも、きれいな金属として販売され、その用途に制限はない。
(オレグ・ボドロフ……グリーン・ワールド)

=================================

 2005年12月16日午後、ロシアの原発で事故かという情報が伝わりました。当初の情報はレニングラード原発の溶融炉で事故ということだけでしたが、調べてみると同原発に近接して金属スクラップのリサイクル施設があることがわかりました。そのため、金属を溶解作業中の事故ではないかと思われました。
 この施設はエコメット-Sといい、レニングラード原発の敷地にあって、放射能汚染されたものを含む金属スクラップを原発の内外から集めて再熔解し、一般用の金属に再生する事業をしています。
 ロシアの核・原子力問題にとりくむノルウェーのNGOベローナ・ファウンデーションのサイトではこの事故以前から、エコメット-Sの問題点が報じられており、まもなく同サイトに今回の事故に関する情報も掲載されました
 事故が発生したのは12月15日。現時点の情報では労働者3人が被災し、うち1人が亡くなり、2人も重傷である模様です。
 事故の具体的な経緯はまだ不明ですが、溶けた金属が何らかの原因で噴出して労働者がそれを浴びたとされています(2.5トンの金属を溶かしていて数百kgが噴出……Japan Times)。空気の混入が関係しているという情報もあります。エコメット-Sは2002年にも同様の事故を起こしています。
 工場内の事故であり工場外への放射能放出は起きていないと考えられます(日常操業による放出は不明ですが、ベローナによればスクラップはMn-54, Co-60, Zn-65, Ru-106, Cs-134, Cs-137, Ce-144, Sr-90などに汚染されており、除染作業に用いた水は海に排出されているそうです)。しかし何かあったときのためにモニタリングは常に機能していなければなりません。しかしモニタリング施設はお金が足りないという理由で止まっていたというのです(Japan Times)。
 ベローナが報じているとおり、エコメット-Sに関しては公式の環境影響評価が実施されていませんでした。地元の市民がエコメット-Sの操業停止を求める裁判を起こしてもいました。「プラントを停止してほしい、そうすれば事故も防げるだろう」と提訴者は述べていました。しかし裁判所はその訴えを退けたのであり、司法のあり方も事故と無縁ではありません。
 放射化スクラップの管理の実状も、この事故を通じて見えてきます。日本でも12月からクリアランスの関連法制が施行されましたが、エコメット-Sではどんな金属が再生用の原料として搬入されているのか(原発の廃材以外に原子力潜水艦やパイプラインという情報もあります……Japan Times)、そしてどのような形で一般社会に出て行っているのか、責任ある管理はなされていないようで、消費者への表示義務もないとのことです。エコメット-Sへの放射能汚染金属搬入は必ずしも地元自治体にも通知されていないようです。
 どの産業施設にも災害の潜在的可能性があり、その操業や製品が、労働者の安全や公衆の生活、そして環境などへにもたらしうる影響をライフサイクルにわたって公正にアセスメントするとともに、情報の透明性を高める必要があります。事故の直接的な引き金の解明は今後に待つとしても、そのような社会的制度の整備が今回の施設に関してなされていなかったことは注意しておいてよいでしょう。それは事故の可能性を高め、事故後の状況把握と対策をも阻害する潜在的要因です。
 内部告発をしてレニングラード原発を解雇された労働者が、レニングラード原発はロシアの原子力産業の実態をあらわす鏡であるというタイトルの報告書を書いてもいます。今回の事故は直接は原発自体の事故ではありませんでしたが、問題は原発にも連続していると考えるべきでしょう。
 この事故を通じてレニングラード原発のかかえる問題点、ひいてはロシアの原子力や社会制度の実態が透けて見えます。日本では原子力施設の災害ポテンシャルが公正に評価され周知されているでしょうか。労働者と周辺住民の置かれた状況はどうでしょうか。異議申し立ての制度は機能しているでしょうか。JCO事故や美浜原発事故を顧みるまでもなく、対岸の火事では済まないでしょう。(スタッフ・藤野)
=================================

www.minatom.ru にも関連記事が掲載されている。

現場周辺の衛星写真(Googleによる) 下記ベローナの記事にある敷地図と照合してください

ベローナの一連の記事によると、エコメット-Sは年間処理能力5000トンまたは8000トンで、取り扱う放射性スクラップにはMn-54, Co-60, Zn-65, Ru-106, Cs-134, Cs-137, Ce-144, Sr-90などが含まれている。

プラウダ
english.pravda.ru/accidents/21/97/384/16629_explosion.html
「Violations of safety levels, the report said, made a certain amount of air penetrate inside the equipment. The air subsequently caused the explosion, which splashed the liquid metal out of the oven」

====================================
レニングラード原発
www.laes.ru/

元職員によるレニングラード原発に関するレポート(ベローナ)
www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/
www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/37119.html
www.bellona.no/data/f/0/37/02/0_9811_1/lnpp.pdf
エコメット-Sの写真
www.bellona.no/data/f/0/37/02/0_9811_1/lnpp.pdf#page=7
エコメット-Sに関する記述
www.bellona.no/data/f/0/37/02/0_9811_1/lnpp.pdf#page=9
(粗訳)「非公開株式会社であるエコメット-Sは再生金属を製造しておりそれを買うのは家庭用品を大量生産するメーカーである。公式には、エコメット-Sは2002年2月に操業開始したというが、実際には2001年のはじめから稼働していた。エコメット-Sはレニングラード原発の敷地で操業しており、原料物質として、使用済み燃料や放射性廃棄物とみなすほどには放射性でないという放射化原子炉部品を扱っているが、得られる限りの情報によれば、依然として安全に取り扱うには放射性が高すぎる。このプラントは環境影響評価を受けずに操業を開始し、現在も受けていないが、その放射能除染工程によって、放射化した金属は完全に非放射性の状態に戻ると主張している。独立の環境影響調査がない以上、これはまだ確証されていない話である。同様に、法規制の欠落のため、エコメット-Sから金属を購入する金属製品メーカーは、最終製品が放射化金属から生産されたものだと消費者に告知するよう義務づけられていない。また、エコメット-Sの除染プロセスからの廃水はフィンランド湾に放流されている。」
====================================

エコメット-Sのサイト?
www.ecomet-s.ru/
写真ギャラリーあり
www.ecomet-s.ru/i.sql?num_sel=03
www.ecomet-s.ru/e.sql?num_sel=04

======================
ベローナ・ファウンデーションのサイトにこの事故に関する記事が掲載された。
www.bellona.no/en/
www.bellona.no/ru/international/russia/npps/leningrad/41254.html
www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/41254.html

(英語版の日本時間2005/12/17深夜のバージョンに基づく粗訳-必ず原文に当ってください)

(アップデート)
ソスノヴィ・ボルのエコメット-Sプラントで爆発

ラシド・アリモフ、チャールズ・ディグス、ヴェラ・ポノマレヴァ12/16

サンクトペテルブルクより――3人が95%の火傷を負って集中治療施設に運ばれ、うち一人が亡くなった。サンクトペテルブルクの西70kmのソスノヴィ・ボルにあるレニングラード原発の敷地にあるエコメット-S社での溶解キルンの爆発事故による。

事故に遭ったのはマキシム・クズミン(22歳)、ヴィタリ・オグニョフ(オニョフ)(32歳)、ヴィタリ・ランボゾ(33歳)。ソスノヴィ・ボルからの昨日の情報によると、三人のうち一人が病院で亡くなったらしいとのことだったが、今朝のロシアのニュースからしても、爆発で死者が出たかどうかは依然定かでなかった。

労働者たちのうち亡くなったのが誰であるかは金曜日の朝になっても明らかでなく、当局はその名前を公表することを拒否した。しかし2つの別々のロシアの通信社によると、爆発で亡くなったのは32歳。レグヌムニュースエージェンシーによる。ガゼタは亡くなったのは33歳だと伝えている。従って亡くなった労働者はオグニョフ(オニョフ)かランボゾということになる。

昨日の爆発事故はこのプラントが過去3年間に起こした3つの事故のうち2番目に相当する。2002年には、熔解され沸騰した金属が吹きこぼれて労働者二人に激しい火傷を負わせた。

Ekomet-Sプラントは低レベル放射性金属を熔解して家庭用品に適した金属にするが、エコロジストたちは何年ものあいだ、その閉鎖を要求してきた。エコロジストが主張し、そしてEkomet-S自身が認めてきたことだが、ロシア国内法で義務づけられている国家環境影響評価調査なしで操業してきた。

しかしエコメット-Sは操業を続けてきた。ロシア政府の原子力規制当局が大目に見てきたからである。規制上のライセンスによれば、エコメット-Sは緊急時対策と、大気中への放出量に関するガイドライン、異常状況に関する規定などを定めるよう義務づけられているはずであった。しかしグリーンピースとベローナが入手した文書によって示されたのは、そんな緊急時対策など作られていないということだった。

爆発は木曜日の3:20に起き、その原因は施設の操業に関する技術的手順の違反のように思われる。ソスノヴィ・ボルの中心的なエコロジストであるナタリー・マレヴァナヤによると、エラーが起きたのは、金属を溶解する前の準備中であった。すなわち金属は、オーブンに入れる前に、加熱中に爆発しうる気泡が残らないように破砕される。

マレヴァナヤによると、このエラーによって、熱い金属がキルンの覗き窓から噴出し、労働者に火傷を負わせた。労働者たちの容態は不明のままである。

しかし、高官たちは金曜日、躍起になって、そんな事故など全く起らなかったと否定した。「安定した開発へのエネルギー-達成・傾向・問題」というジュネーブでの国連の会議に参加しているロシア外務省代表スタニスラフ・ポコルキーは、エコメット-Sでの事故など起きていないと宣言した。「無責任なNGOたちが広めた噂など信じなくていい」と彼はフォーラムの本会議の間に言った。

レニングラード原子力発電所によると、エコメット-Sおよびソスノヴィ・ボルにおける放射線レベルは1時間あたり16マイクロレントゲンと通常の水準を安定して維持していた。

しかし放射能の危険の噂はすでにソスノヴィ・ボルに漏れ伝わっている。マレヴァナヤによれば、このパニックは誤っていると思われる。

■爆発に関するエコメット-Sからのコメント

ソスノヴィ・ボル市民のパニックは、何が起きたのかに関して独立の情報がまったくないことも原因である。ソスノヴィ・ボルの環境団体グリーンワールド[ www.greenworld.org.ru ]の議長オレグ・ボドロフによると「残念ながら、プラントの敷地には独立の線量計が全くない」。昨夜までは、グリーン・ワールドが独自の測定を行うことができるのではと期待されていた。

北東ロシアの非常事態省のアレクサンデル・クプリンによると、金属が飛散したのは工場でのエラーの結果である。しかしドミトリ・ボイツォフ(Ekomet-Sの代表)は金曜日、この説に反論した。「MChSには実状が分かっていないだけだ」。

ボイツォフが言うには事故の背後にある原因は調査によって明らかにされねばならないが調査はまだ完了していない。たとえば作業員に対する適切な監督が欠けていたために起きたのかもしれないと。現在、エコメット-Sの操業は全て停止しており、検察官事務所が事故の背後にある原因について調査を行なっている。

■エコメット-Sでの他の事故
「これはエコメット-Sで起きた初めての事故ではない」とマレヴァナヤはBellona Webに対して述べた。2002年、沸騰した金属がオーブンpavilionから噴出して二人の労働者が重い火傷を負った。2003年、測定設備の欠陥の結果としてまた別の事故が起きた。

■エコメット-Sプラントは何をする施設か

エコメット-Sはレニングラード原発の敷地にあり、1994年以来、レニングラード原発から得られた低レベル放射性金属を再生する作業をしている。金属部材のほとんどは原発の修理から出てきた金属や他の由来の金属で、低線量である。エコメット-Sは市場で売るための金属を年間約5トン生産する。放射性金属廃棄物(MRW)を再処理したり解体したりするこの施設の中には3つの基本セクションがある。放射性金属廃棄物を受け入れるセクション、金属の断片の放射能を除くセクション、熔解し精錬するセクション。

ソスノヴィ・ボル行政に提出された文書では、エコメット-Sは「レニングラード原発から発生した放射性金属廃棄物の再処理」のための施設であることになっている。しかしエコメット-Sの実際の目的は異なるということが明らかになっている。レニングラード原発以外の地域から発生した放射性金属廃棄物がすでに運び込まれているのであって、エコメット-Sはそうした金属をも熔解し販売することによってすでに利益を稼ぎ続けているのだ。そのうえ、エコメット-Sの代表ピョトル・チェレミチンが11月18日にソスノヴィ・ボルのエコロジカルセミナーで説明したのだが、再熔解された金属から将来どんな製品が生産されるのかは誰の制御下にもないのだ。

■必要な環境影響評価なくして建設されたエコメット-S

エコメット-Sプラントは社会に対して秘密裏に、そして国家環境影響評価なしに建設された。「環境影響評価」に関する1995年のロシア国内法によって、環境影響評価の予備的結論が義務づけられている。そればかりか、エコメット-Sがレニングラード原発の敷地内に建設されているということ自体が、ロシア国内法に違反していると考えねばならない。

エコメット-Sの建設の主契約者はミナトム(ロスアトムの後継)そして燃料独占企業たちであり、将来はこれ以外のロシアの核燃料サイクル施設での放射性金属廃棄物の商用レベルでの再処理も当て込んでいたのである。ガスプロム銀行はロシアの石油・天然ガスの独占企業ガスプロムと関係がありエコメット-Sの建設に5000万ドルを投資している。

2002年2月19日、原子力副大臣ヴァレリ・レベジェフは、政府の環境影響評価が存在しないのを知悉していながら、エコメット-Sを操業開始させる書面にサインした。Bellona Webが以前電話インタビューしたときもエコメット-Sの経営者は、エコメット-Sが政府の環境影響評価をこれから受けねばならないのだということを認めていた。「私たちの法律専門家が文書の作成作業を進めていて、2003年末までには必要な結論がすべて整いますよ」と、当時のエコメット-Sのディレクターであるミカイル・ヴォロンコフは2003年に言っていた。しかしそのような文書はまだ受領されていない。

「レニングラード原発の管理主義的・秘密主義的コントロールという翼に守られたエコメット-Sの経営者たちは明らかに、ロシア法の要求を満たすことなど義務ではないと考えているのです」とサンクトペテルブルクのグリーンピースの幹部ドミトリ・アルタモノフは述べた。

エコロジストたちは長い間、危険かつ違法なエコメット-Sの閉鎖を求め続けてきた。2002年5月、自治体としてのソスノヴィ・ボル市の代表と、グリーン・ワールドとベローナを代表したソスノヴィ・ボルの住民ふたり、ボドロフとセルゲイ・ハリトノフ(レニングラード原発で安全違反を告発して解雇された)が、エコメット-Sの閉鎖を求めて裁判を起こした。しかし2004年12月20日、裁判所はそれを退けた。

1年半前、グリーンピースはエコメット-Sの違法な操業の停止をソスノヴィ・ボルの検察官事務所に求めた。しかし市検察官代理は、国家環境影響評価調査が実施されていないことを認識しているにもかかわらず、検察官が動くに足りる根拠が足りないと答えた。その頃はエコロジストがエコメット-Sについて懸念しているのはラディカルに見えたが、時間の経過に伴って、エコメット-Sの閉鎖こそが唯一の適切な方策であることが明確になったのである。

(この記事の筆者ポノマレヴァはサンクトペテルブルグ、ディグスとアリモフはオスロにいてこの報告を作成した)

※敷地見取り図も追加されています。
======================

以下は収集途上の情報や参考サイトを随時記録したものです。

原発でないかもしれないという情報もあり注意が必要。
en.rian.ru/russia/20051216/42513166.html

==========================
ベローナのサイトにMetal Smelting Plant(レニングラード原発の敷地)に関する記事がある。
Ecomet-SないしEkomet-S
放射性廃棄物を溶解する施設か
立地をめぐって裁判にもなっている。
放射性スクラップ(金属など)を集めて溶かしていて事故になった可能性はないか。
2002年にも事故を起こしている。
「On August 18th, at 4.15 am, there was an accident with an emission of melted metal. One worker was burned up to 16% of the body, and was hospitalized」 www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/25529.html

www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/19381.html
www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/22691.html
www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/24546.html
www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/24950.html
www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/25529.html
他に
www.greenworld.org.ru/eng/news/ecomet/
english.pravda.ru/society/2002/05/31/29571.html
==========================

初報の内容(共同通信 www.kyodo.co.jp )
S.サンクトペテルブルク近郊の原発にある溶解炉?で爆発事故。周辺の放射線量は通常。
ロシア非常事態省によると、原発の中枢で起きたものではない

外国語のニュースを総合すると
・ロシアの原子力エネルギー省によると、放射線は放出されていない
・金属を溶解していて3人が重傷、うち2人は90%以上の火傷
・12月15日12:00a.m.GMT発生?

news.yahoo.com/s/ap/20051216/ap_on_re_eu/russia_nuclear_plant_blast

ロスエネルゴアトムのサイト
www.rosatom.ru/

S.サンクトペテルブルク近郊にはレニングラード原発(1~4号)がある。
RBMK型グロス100万kW×4
発電所のサイト www.laes.ru
事故の箇所と態様の特定が必要

レニングラード原発
www.insc.anl.gov/neisb/neisb4/NEISB_3.2.A6.html
www.insc.anl.gov/dbfiles/plant_info/oper_hist/Leningrad.html
www.bellona.no/imaker?sub=1&id=12666
www.bellona.no/imaker?sub=1&id=12668
www.bellona.no/en/international/russia/npps/leningrad/37119.html

Sosnovy Bor
www.sbor.ru

「ロシアの原子力開発体制」(ATOMICA)
mext-atm.jst.go.jp/atomica/14060103_1.html

ロシアのメディア
pravda.ru
www.izvestia.ru
en.rian.ru

NGOのサイト
www.antiatom.ru/
www.bellona.no/