関電美浜3号タービン建屋で2次系復水管破断事故(1)

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【終】
原子力資料情報室
第53回公開研究会
美浜原発3号炉配管破断事故
何が起ったのか?なぜ防げなかったのか?

※配布資料を掲載しました(PDF10MB)

関西電力美浜原発3号炉タービン建屋内で、10気圧、
140度の蒸気を浴びせられた下請け作業員4名が亡く
なった。タービン建屋で何が起ったのか。何故こんな
大事故が起ったのか?追及します。

2004年8月26日(木)18:30~
全水道会館4F大会議室(JR水道橋駅下車)

報告:
上澤千尋=何が起ったのか?+事故現場を見て
藤野聡=なぜ防げなかったのか?
田中三彦・井野博満・武本和幸・海渡雄一(予定)

資料代:¥500(予約不要)

原子力資料情報室
〒164-0003
東京都中野区東中野1-58-15
寿ビル3F
TEL03-5330-9520
FAX03-5330-9530

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■美浜原発事故緊急抗議デモ【終】
2004年8月18日(水)
18:30社会文化会館(永田町1-8-1)前集合
www.syabunkaikan.org/map.html
18:45集会
19:00出発(~経済産業省前~)
20:00解散(日比谷公園)
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■第二回原子力安全・保安院交渉(2004/8/25)参加者による申し入れ。保安院による報告徴収に対して一部の事業者は点検例を示しているが、全体として検証可能なものにはなっていない。データを提出させ公開することが必要である。報告徴収は対象選定の面で自主指針を前提とした限定的なものであるほか、美浜1・高浜4・敦賀2・泊1のように長年にわたって点検リスト漏れが存在し最近ようやく点検されたに過ぎないものが点検リスト漏れとしてカウントされていないなどの欠点がある。

原子力安全・保安院院長殿

美浜3号事故が明らかにした原発の
実態への検証を徹底してください

2004年8月24日
参加者一同

 多くの犠牲を伴った関西電力美浜3号事故のあと、保安院は報告徴収を行いました。その結果は関電以外には検査漏れはなかったというものでした。その関電すら全原発の停止を行っておらず、他社の原発は特に検査漏れがなかったということで動き続けています。しかし調査指示の対象は事業者の指針を前提とした限定的なものであり、事業者からの報告にも検証可能性が不十分です。保安院は報告徴収の結果をどのようにチェックしているのでしょうか。
 実際には関電の美浜3号のみならず美浜1号・高浜4号や日本原子力発電の敦賀2号においても最近まで復水管オリフィス下流部が検査リストから欠落し、大飯1号の主給水管についても検査ミスにより過剰減肉が発見されるなど、美浜3号の前兆というべき数々の検査ミスの存在も見えてきました。減肉が予測通りに進むとは限らないこと、指針が対象としていない、オリフィス等からかなり離れた直流部等でも減肉が進みうることも考慮するなら、配管の健全性の実態はまだの一端しか明らかになっていないと考えるべきであり、同様の事故が再発しないという保証はありません。
 品質管理はもちろんのこと、探傷技術や減肉予測そのものが信頼するに足りないことがわかっているいま、関電やPWR事業者のみならずBWR事業者も含めて、この簡単な報告徴収だけで依然として複数の原発を動かし続けることの根拠は薄弱です。
 少なくとも、各原子炉ごとに状態を検証するための網羅的かつ定量的な根拠が不可欠です。保安院として、余寿命を計算するため不可欠なデータ(以下の項目を含む)を電力会社にすべて提出・公表させてください。
・配管の公称厚と負の公差(あるいはこの2つの代わりに公称の最小厚み)
・最初の減肉率としてどういう値を選んだか
・運転開始年月日と検査をした定検開始年月日
・検査したときの最大厚みと最小厚み。
・計算した結果の減肉率と余寿命(各検査ごとに、検査部位すべてについて)
そのうえで指針対象に限らず対象範囲を広げ、停止のうえの実測も含めて点検させなければ安全は保証されません。安全を第一とせず運転を優先するようでは原子力安全・保安院の存在意義も問われます。美浜事故の教訓と背景を十分に受け止め、厳格な対処を進めてくださいますようお願いいたします。

■三菱重工
関西電力美浜発電所3号機 原子力二次系配管減肉管理について
www.mhi.co.jp/mihama_nu/main.html

■美浜原発で死傷事故・防げたはずの人災
『週刊金曜日』520号
2004年08月20日
www.kinyobi.co.jp/KTools/antena_pt?v=vol520
 福井県美浜町の関西電力美浜原発3号炉で9日、2次冷却系配管が破断し大量の高温蒸気がタービン建屋に噴出した。破断箇所近くにいた下請企業「木内計測」の社員11人が蒸気を浴びて熱傷を負い、うち4人が死亡し複数が重態の大事故だ。
 同炉は28年前の1976年運転開始だが、破断箇所は関電の自主検査にゆだねられて一度も肉厚検査されておらず、配管が極度に薄く減肉しながら放置されていた。
 減肉の原因として、腐食しやすい炭素鋼製であるほか、水流を絞るオリフィスという部品が破断箇所の直前にあり、水流が変化して破断箇所の付近を削り続けていたことが考えられる。
 同炉のような加圧水型原発では、原子炉の熱を蒸気発生器で1次冷却水から2次冷却水へと伝え、蒸気となった2次冷却水でタービンをまわして発電を行なう。破断した箇所は、タービンを通過した蒸気がいったん冷やされたあと再び蒸気発生器へ戻される途中にあった。
 関電は90年に「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針」を定めた。破断箇所はオリフィスの影響を受けるため検査対象となるべきところ、検査委託先の三菱重工が検査システムへの登録を失敗した。96年から検査委託先が関電の関連企業日本アームに変わったが、三菱重工―日本アーム―関電のあいだで情報共有が行なわれないままになっていた。ところが刑事訴追を恐れる関電は、基本的経緯についてすら口を閉ざし始めている。
 これは関西電力の品質管理と国の規制の失敗がもたらした人災と言える。原発の老朽化が進むなか、形式的な安全管理しか存在しないのはこの炉に限らない。すべての原発について全面的なチェックと制度見直しを図らねば事故の再発は必至だ。(原子力資料情報室 藤野聡)

■未検査箇所を次々に発見
8月12日、関西電力は美浜3、高浜1、大飯3、4のスチームコンバータに未検査箇所があったことを発表した。また8月18日、高浜3、4と大飯3に未検査箇所があったことを発表した。美浜3では事故箇所のほか、他のオリフィス下流部でも未検査箇所があったことがわかっている。関西電力は高浜3も停止させる。これで定検中をふくめ11基中8基の停止となるが、「走りながら確かめる」のではなくただちに全原発を停止して検査すべきである。検査対象の選定も狭すぎる。
美浜1(運)
美浜2[停]
美浜3[停]定検
高浜1(運)
高浜2[停]
高浜3[停]
高浜4[停]定検
大飯1(運)
大飯2(運)
大飯3[停]定検
大飯4[停]

■火力発電所不正事件時の関電の対応
「火力部門の意識風土は原子力ほど法令順守の精神が徹底していなかった」(諸岡謙修支配人)。記者会見で「この部門では常態化していたと考えざるを得ないが、原子力には一切ない」(藤洋作社長)。株主総会で「火力発電所だけの体質とは思えない。原発は大丈夫か」の声が出たが、「原発は問題ない」(岸田哲二副社長)。[各紙より]

■美浜発電所3号機定期安全レビュー報告書

「プラントを停止し、電気事業法に基づいて定期検査を実施しているが、この期間中に並行して各設備については計画的に定期点検(点検・手入れ、検査等の整備)を行い、設備の健全性の確保に努めている。特に設備の定期的な使用によって発生する経年変化に対しては、定期検査及び定期点検時にその徴候を把握、評価し、経年変化の傾向を把握することにより、設備の性能・機能が基準値を下回る前に計画的な取替・補修を実施している」[3.2-1]。

[サリー事故について]「著しい減肉の原因は、サリー発電所2号機では初期の運転期間中に塩分濃度が高くなるなど、十分な水質管理がなされていなかったこと及び当該給水・復水配管については、肉厚測定が行われていなかったことによるものである。我が国では、減肉の予想される蒸気・水の二相流配管はもとより、給水・復水配管についても、曲管部、合流・分岐部を中心に昭和60年頃からPWR点検計画として計画的な肉厚測定が行われており、当時、特に異常な減肉を示している部分は認められなかった。また、我が国では徹底した水質管理が行われているため、サリー発電所2号機のような事象は発生しないと考えられたが、念のため、当面の間はPWR点検計画を継続することとした。PWR点検計画は、各ユニット膨大な箇所の肉厚測定を数年間で実施するものであり、その後、各配管の減肉傾向が把握できたため、現在は、より合理的な点検基準を策定し運用している」[3.6-24]。

(要約版) www.kepco.co.jp/pressre/2000/0529-1j.html
「これまでの定期検査の結果、設備の改善・取替状況及び保守管理体制等について調査を行い、定期点検・検査の結果を反映した点検計画に基づき適切に予防保全対策等が実施されており、蒸気発生器取替工事等の計画的改造・取替による設備の信頼性の維持向上が図られてきています。」

■資源エネルギー庁「関西電力美浜発電所3号機定期安全レビューの評価について」
nsc.tokyo.jst.go.jp/anzen/shidai/genan2000/genan036/siryo33.htm
「評価過程で意見を聴いた通商産業省原子力発電技術顧問は、以下のとおりである。阿部清治(日本原子力研究所)、石川迪夫((財)原子力発電技術機構)、岸上守孝((財)発電設備技術検査協会)、近藤駿介(東京大学教授)、斯波正誼((財)原子力発電技術機構)、平野光将((財)原子力発電技術機構)、廣田隼人((財)電気安全環境研究所)、古田照夫((財)原子力発電技術機構)、宮健三(東京大学教授[引用注・総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会美浜発電所3号機2次系配管破損事故調査委員会委員])、宮崎慶次(大阪大学名誉教授)、吉川榮和(京都大学教授)」

第36回原子力安全委員会定例会議資料
www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2000/genan036/genan-si036.htm
第36回原子力安全委員会速記録
www.nsc.go.jp/anzen/soki/soki2000/genan_so36.htm
※当時の原子力安全委員:松浦祥次郎・青木芳朗・松原純子・金川昭・須田信英

■関西電力(株)の原子力発電所における定期検査後の補修工事に係る申告について
www.nisa.meti.go.jp/4_inquiry/shinkoku_kouhyou.html

■福井県原子力安全対策課
www.atom.pref.fukui.jp/
の掲載資料では、作業箇所は下記3件
の工事エリアと表記されている。
・現地[?]制御装置定期点検工事
・2次系制御弁定期点検工事
・1次系制御弁定期点検工事(計装)

■美浜3号設置許可(1972年)当時
・原子力委員会[委員長木内四郎・委員有沢広巳・北川一栄・武藤俊之助・松井明・武田栄一・山田太三郎]
・原子炉安全専門審査会[部会長内田秀雄]
・80部会[審査委員:高島洋一(部会長)、大崎順彦(東京大学)、木村耕三(気象庁)、左合正雄(東京都立大学)、吹田徳雄(大阪大学)、竹越尹(動力炉・核燃料開発事業団)、武谷清昭(日本原子力研究所)、渡辺博信(放射線医学総合研究所)。調査委員:石田泰一(動力炉・核燃料開発事業団)、伊藤直次(日本原子力研究所)、藤村理人(日本原子力研究所)、森島淳好(日本原子力研究所)。
・原子力発電技術顧問会
aec.jst.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V17/N03/197206V17N03.html
aec.jst.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V17/N05/197221V17N05.html
「2次側給水設備等の故障または誤作動……があっても、いずれも十分な対策がなされている。」

■参考:美浜サイト全体の放射能日常放出量(気体)はおよそ希ガス10^10~10^12ベクレル/年、ヨウ素10^5~10^7ベクレル/年の桁

■NRC Information Noticeピックアップ
www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/info-notices/1988/in88017.html
www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/bulletins/1987/bl87001.html
www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/info-notices/1987/in87036.html
www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/info-notices/1986/in86106.html
www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/info-notices/1982/in82022.html
www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/info-notices/2001/in01009.html
※ www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/ から多数の情報がたどれます

■第57回原子力安全委員会臨時会議資料に事故時プラントデータ、関西電力の管理指針などあり。
www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2004/genan057/genan-si057.htm

■総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会美浜発電所3号機2次系配管破損事故調査委員会の資料1-3-1( www.meti.go.jp/committee/materials/g40811aj.html )で、「当該破損箇所には、「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」において、「発電用火力設備に関する技術基準を定める省令」が準用(具体的には、「発電用火力設備の技術基準の解釈」が適用)されている。同解釈に規定されている日本工業規格JIS B 8201(1995)「陸用鋼製ボイラー構造」の計算式により求められる当該配管の必要肉厚は4.7mmとなる。」と説明されている。「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」「発電用火力設備に関する技術基準を定める省令」は law.e-gov.go.jp/ で、また「陸用鋼製ボイラー構造」は www.jisc.go.jp で閲覧できる。

■情報を出さない関西電力
刑事捜査を恐れてか関西電力が情報を制限し始めた。プレス発表も出なくなっている。

■追及されていない二次系漏洩量と補助給水問題
美浜3号の破断事故では大量の二次冷却水が流出し蒸気発生器水位が低下した。関西電力は流出量を800トンとしているがその根拠が明らかでない。また補助給水ポンプが事故時は作動したが、その後いったん停止させたあと弁3台のうち2台が開放に失敗している。「タービン動補助給水ポンプ停止後、同ポンプを待機状態にするため、タービン動補助給水ポンプ出口流量調整弁を約60%まで開放しようとしたところ、3台ある弁のうち2台(AおよびC)が開放できなかった。今後、開放できなかった原因について調査を行います」(www.kepco.co.jp/pressre/2004/0809-4j.html )。何トンのうち何トンが流出し何トンが注水されたのか。弁はなぜ開放失敗したのか。二次系トラブルから一次系に波及したスリーマイルと類似したシーケンスをたどる可能性があった(スリーマイルの一因は補助給水ポンプ出口弁閉)。これらの点の調査報道がない。

■サリー原発2号事故後の当時の対応
・通産省資源エネルギー庁(当時)が87年3月12日にサリー事故に関する報告書。「エネ庁では、わが国の原子力プラントでは同様の二次系配管の給水・復水配管について電力会社が自主的に肉厚測定を行っており、水質管理も徹底していることから、特段の対策を改めて行う必要はないと見ている。」(87年3月13日電気新聞「日本ではありえぬミス、米サリー原子力事故、ずさんな水質管理)「通産省では「この種の事故がわが国で起こるとは考えられない」としている」(87年3月1日原子力産業新聞「「日本では起こりえない」通産省が調査報告、米国サリー原発事故)
・原子力安全委員会が『原子力安全年報』平成元年版47頁でサリー事故に言及。「定期検査は通常約3ヶ月を要しており、外国の例から見ると期間が長いが、原子力発電所の安全性・信頼性を高め、故障・異常事象・事故の発生防止に役立っているばかりでなく、機器等の欠陥・劣化状況とその前兆を把握できることから、この定期検査制度は原子力発電所の経年劣化に対する重要な対策ともなっている」(49頁)

■沸騰水型炉でもオリフィス問題
・1983年10月3日、福島第一6号で、タービン駆動給水ポンプAシール水戻り水配管のオリフィス下流エルボ出口部から漏洩。
・2004年1月15日、福島第二3号炉で、金属片が、グランド蒸気化器のブローラインに設置されたオリフィスに詰まる事故発生。

■8月11日の原子力安全・保安院交渉で参加者が提出した申入書

原子力安全・保安院院長殿

関西電力美浜原発3号配管破断事故を受けて
徹底的な原因解明と安全点検を求めます

2004年8月11日
参加者一同

 8月9日午後、関西電力美浜3号で二次系復水管が破断し二次冷却材が大量噴出する事故が起きました。これにより11人もの作業員の死傷を招いたほか、蒸気発生器内の水位が大きく低下し原子炉の緊急停止を引き起こしました。
 破断箇所は建設以来いちども検査されていなかったこと、作業員は8月14日から予定されていた定期検査の準備をしていたことが明らかになっています。
 まず復水管破断の原因とそれが見過ごされた背景について徹底的な調査が行われるべきです。この事故は不可抗力でなく、検査システムの的確な運用と業者間の情報共有、内外の類似トラブルの教訓反映、労働安全に配慮した検査進行が行われていれば防げたはずの事故です。関西電力のみならず原子力安全・保安院が当該箇所を含む原発配管の問題点についてどのような対応をとってきたのかも問題です。
 またこの事故では推定800トンという大量の二次冷却水が流出しました。補助給水系が作動したものの弁の作動には問題が確認されています。冷却水喪失事故としても深刻な事故であり、蒸気発生器や炉心の状態をふくめて事故の全体像の解明がなされるべきです。
 今回の事故で定期検査と自主検査の限界、そして電力会社も検査会社も原子力安全・保安院も、原発の実態を把握できていないことが改めて明らかになりました。
 原発の寿命延長や定期検査の簡素化、維持基準の導入などが進められようとするなか、この事故はおこりました。日本の原発の安全管理の実態を明るみに出したとともに、安全に反する昨今の動きへの警告となりました。
 原子力安全・保安院はその職責を果たし、安全を第一として徹底的な安全点検、再発防止を図るべきです。私たちは以下のとおり求めます。

・事故調査を慎重かつ公正におこなうとともに、証拠保存と情報公開を徹底すること
・破断自体の原因について詳細な分析を行うこと。
・破断箇所が検査されていなかった経緯について国のかかわりを含めて明らかにすること
・冷却水漏洩の進行と量、一次系への影響、安全装置の動作などについて解明すること。
・関電の原発をふくめ多発していた類似事故の教訓をなぜ反映できなかったのか解明すること。
・過去の検査と規制のあり方の問題を洗い出し教訓を制度に反映すること
・炭素鋼やオリフィスなど類似した要素をもつ箇所の安全性について網羅的な調査をすること。
・他の原発での対策状況について整理公開すること。
・寿命延長や定検簡素化、維持基準など運転優先の措置を見直すこと。
・ただちに炉型にかかわらず全原発の配管について全面的な点検と対策を行うこと。

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■総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会美浜発電所3号機2次系配管破損事故調査委員会(第1回) 
日時 平成16年8月11日(水) 17:00~19:00 
場所 経済産業省国際会議室(本館17階西2) 
美浜発電所3号機2次系配管破損事故の概要について 
現地調査の結果について 
配管破損部位に対する点検の考え方、点検の状況について 
その他 
www.meti.go.jp/committee/notice/0002450/

■関電は90年に自主的な管理基準「2次系配管肉厚の管理指針」を作成しており、その基準でも当該箇所はオリフィス下流部であることから検査対象に含めていなければならなかった。現時点での情報では、関電は87年から96年は検査を三菱重工業に委託し96年からは日本アームに委託していた。90年の指針作成時、点検システムに三菱は事故現場となる場所を登録しわすれた。その後99年と2000年に三菱はその問題に気づいて日本アームに連絡した。しかし日本アームが関電に点検の必要を連絡したのは2003年だった。いずれにしても検査が電力会社の自主的な基準にゆだねられており、検査外注のなかで情報共有の失敗があったことが問題だ。さらには美浜3号の他の部位(追記:2系統ある復水管の、破断箇所と対応するもう一本のオリフィス下流部――同様の箇所の片方だけ登録されるのは不自然なのでありうること――)や、関電の美浜1号と高浜4号でも検査すべきところが対象リストに入っていないミスがあった。一方で他の原発ではオリフィス下流部の配管が交換されていた。事業者と国が原発の状況をよく把握していなければ安全は保証できず維持基準導入にも問題があるが、実際には把握できていないと繰り返し主張してきた。それがまた証明された。

■日本アームが関電に点検漏れを指摘し検査を提案した際、美浜発電所機械保修課の点検担当者が大丈夫と判断し対策しなかったとの情報あり( www.yomiuri.co.jp )

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■原子力安全・保安院が美浜発電所3号機2次系配管破損事故調査委員会を設置
朝田泰英・小林英男・柴田勝之・辻川茂男・班目春樹・宮健三
www.meti.go.jp/press/0005484/

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■関電は8/10、二次系漏洩量は800トンと発表(根拠と精度不明)。1990年12月31日、米ミルストーン3号(PWR)でタービン建屋に870トン漏洩した事故に匹敵。
www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/gen-comm/info-notices/1991/in91018.html
(他のWALL THINNING情報-orifice含む-もあり)

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■関電は90年、管理指針を決め検査対象を定めた。破断箇所も対象となるべきところ、三菱重工が点検台帳に入れ忘れていた。関電によると03年4月、下請企業が見落としに気づいたが、関電への連絡は同11月だった。前回定検では対象とならず、今回定検で検査することになっていたという。しかしその下請企業(日本アーム)によると、03年4月の時点で関電に伝えた( www.asahi.com )。とすれば前回定検での検査が可能であったことになる。⇒続報:三菱重工は99年4月と2000年8月に日本アームに点検の必要を文書連絡。しかし日本アームは関電に連絡せず(朝日)。
■破断箇所の上流側にオリフィスがあり径が34cmになっていた。その影響で水流に変化がおき減肉を招いた可能性がある。

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参考・美浜2号化学体積制御系抽出水配管での
オリフィスによる減肉と亀裂(2000年4月発見)
www.kepco.co.jp/pressre/2000/0424-2_3j.html

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■関西電力美浜3号(PWR・82.6万kW)で8月9日午後、2次系配管破断、噴出した高温蒸気による死傷事故が発生した。2次系は1次系の熱を蒸気発生器で受け取ってタービンをまわし、復水器を経て再度蒸気発生器にいたる。破断箇所は復水器を経て低圧加熱給水器と脱気器のあいだ、主給水ポンプの手前である。配管が破れ蒸気が大量に噴出したため、蒸気発生器内の水位が大きく低下し原子炉の緊急停止を引き起こしたのである。
■死傷した労働者は8月14日から予定されていた定期検査の準備をしていた221人(追記・建屋周辺にいた人を含む数で、建屋内にいたのは104人)のうち11人であった。危険性の高い通常運転中に建屋に大量の労働者がいて作業をしていた背景には、定期検査の短縮圧力がある。検査対象の限定のため当該箇所は建設以来28年間無検査だった。放置せず検査していれば防げた可能性がある。二重の意味で検査コスト圧縮の弊害が出たと見るべきだろう。
■関電が発表した時系列によれば15:28は原子炉停止の時刻であり破断発生は15:22ではないか。2次冷却材流出により蒸気発生器水位低下が検知されてから15:28に原子炉が自動停止、タービンも自動停止した。SG水位は各約33%。原発では冷却能力維持が大前提である。原子炉の冷却不能にもつながりかねなかった事故であり、蒸気発生器の健全性や炉心への影響をふくめ関連する運転データが全面公開されるべきだ。漏洩総量と補助給水系からの注水量も特定される必要がある。破断箇所は主給水ポンプの手前だが、米スリーマイル島原発事故では主給水ポンプ停止から補助給水ポンプの給水失敗、そして一次系の過熱から圧力逃し弁開固着へと進んだ。今回は、補助給水ポンプが作動したが、タービン動補助給水ポンプは停止後、待機状態に入ろうとして出口流量調整弁の開放に失敗している。配管のみならずポンプにも保守不良がある可能性を示している。
■2次系なので外界への放射能放出は無いことが早々と発表されたが、2次系とはいえ放射能が皆無ではない。放射能放出との関連では建屋外への流出量が特定するのが先決である。厚さ10mmの炭素鋼を採用したうえ、建設以来まったく超音波検査していなかった背景にも、1次系より軽視して甘すぎる基準を設定してきたことがある。
■破断原因が精密な分析により特定されるべきである。本来肉厚10mmであるが、破断後もっとも薄い箇所は1.4mmになっていた(追記・保安院の立ち入りでは2箇所で0.6mm)。現時点では減肉による延性破壊とされているが、それがなぜ起きたのか、破断箇所前後の配管の形状と水流の関係をふくめ慎重に調査されるべきだ。LBB(破断前漏洩)思想の破綻はいうまでもないが、今回の破断箇所よりもさらに高温高圧の箇所も多い以上、他原発を含め類似箇所の再点検が急務だ。まず、炭素鋼の蒸気系、復水系などの配管と関連する機器の状態を把握することだ。そして蒸気がタービンをまわす構造はどの型の原発も共通であり、加圧水型炉のみの問題ととらえず沸騰水型炉をかかえる他社も原発停止をふくめて徹底的な点検を行わなければ安全は保証されない。
■美浜3号は76年運転開始でかなり老朽化している。運転再開は当面認められず、廃炉も視野に入れるべきだ。美浜3号より古い原発も10基以上存在する。検査を受けないまま放置されている箇所も多数にのぼるであろう。もちろん古い原発だけが問題なのではなく新しい原発でも深刻な問題が多発している。関電常務は「きちんとした管理ができていればこのような事故は起こらなかった」という。関電は火力発電所において大規模な検査情報偽造を起こしているが、原発において「きちんとした管理ができて」いる保証があるのか。関電の原発すべてのみならず他社の原発も総点検すべきであり、さもなければ事故の再発は必至だろう。もちろんプルサーマルは論外である。
■検査の範囲と頻度をできるだけ抑えてきたことが無検査と事故を招いたが、さらに最近はコスト圧力のなかで検査の簡素化・間隔延長をはじめとする安全コスト切り詰めが進んでいる。運転中に定検準備をすることが労働安全にもたらす影響の再検討はもちろんだが、寿命延長や維持基準に代表される欠陥容認制度に対しても今回の事故は再考を迫っている。原子力長期計画改訂の議論においても安全性を議題として位置づけなおすことが不可欠だろう。
■最後に原子力そのものへの反省も必要である。電力会社も、規制当事者である原子力安全・保安院も、運転・管理する原子力発電所の真の状態を把握していないということが、再び明らかになった。原発は放射能生成にともなう発熱をもとに高温高圧の蒸気を用いるため、労働安全および放射能放出防止による公衆安全が大きな課題となる。しかしそれを達成する十分な仕組みが担保されているとはいいがたく、下請け労働者への皺寄せと重要機器の劣化が進行してきた。関電は社長が電気事業連合会会長として六ヶ所再処理工場計画推進の旗を振るなど、合理性を喪った事業への固執を示してきたが、今回の事故も原子力という極限技術と社会との間の巨大な矛盾を示している。美浜3号で極限まで薄くなって破断した配管は、原子力安全管理の底の薄さと破綻を象徴している。安全を犠牲にし正当性を喪っても自己目的化して進められてきた原子力政策への警鐘であると受け止めるべきだろう。

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他の例
□1971年12月1日、福島第一1号(BWR)で一次冷却水が噴出し作業員が被曝・転落。
□1975年11月7日、独グンドレミンゲン原発(BWR)で冷却材浄化システムのバルブを修理する際、パッキング押えが取り外された時、バルブのおおいの中の熱水が噴出し、パッキングが吹き飛んだ。2人死亡(「原子力ポケットブック77」)。
□1982年6月28日、米オコニー原発2号(PWR)で配管から蒸気が漏れ2人火傷。
□1983年10月15日、米サリー原発1号(PWR)で二次冷却系配管接合部から水蒸気噴出、1人死亡。
□1986年12月9日、米サリー原発2号(PWR)で配管から高温蒸気が噴出して8人が蒸気を浴び、4人死亡。(日本原子力学会誌1987/11号)
□1990年12月31日、米ミルストーン3号(PWR)で二次配管破断。熱水870トン噴出。
□1992年3月24日、ロシアのレニングラード原発3号(RBMK)で圧力管破裂、蒸気放出。
□1992年9月24日、米オコニー原発2号(PWR)で蒸気ドレン配管から蒸気が噴出し、7人が火傷、4人が重態。
□1993年2月22日、福島第二原発廃棄物処理建屋2F補助ボイラー室で、蒸気が噴出して一人死亡、二人火傷。
□1996年7月24日、ウクライナのフメリニツキ1号(VVER)で水圧試験中に蒸気管が破裂して高熱蒸気が噴出、1人死亡。

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原子力安全委員会の決定
www.nsc.go.jp/anzen/sonota/kettei/20040809.pdf

経済産業省の発表
www.meti.go.jp/press/0005483/

関西電力による現場写真
www.kepco.co.jp/pressre/2004/images/0809-4j_10300_1_21_04.08.09_4pic.pdf

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報道
www.shimbun.denki.or.jp/topics/mihama.html
www.yomiuri.co.jp/features/mihama/
www.fukuishimbun.co.jp/
www.asahi.com/special/mihama/
news.goo.ne.jp/news/topics/index/20663/1.html
dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/mihama_nuclear_power_station/

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原子力安全委員会臨時会議資料
※現場写真あり
www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2004/genan055/siryo1.pdf
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関電による時系列
※15:28は不一致警報発信で、それ以前に警報・蒸気が出て、緊急負荷降下開始している
※タービン動補助給水ポンプ出口流量調整弁の開放に失敗している
※事故時に建屋にいたのは211名でなく221名

「3A-SG給水<蒸気不一致による原子炉自動停止について 時系列
www.kepco.co.jp/pressre/2004/0809-4j.html

時刻
15:22  「火災報知器動作」警報発信
15:23  「A系直流接地」警報発信
15:25  運転員がタービン建屋を確認した結果蒸気が充満していた。
15:26  緊急負荷降下開始
15:28  A-S/G給水<蒸気不一致トリップ 
      「3A SG給水<蒸気流量不一致トリップ」ファーストアウト警報発信
       (プラントトリップ状態良好)
15:30  タービン建屋からの退避放送を1分毎に約10回程度実施
15:35  プラント高温停止状態安定確認
15:45  脱気器の水位が低下していることを確認
15:58  RCSボレーション開始
16:05  主蒸気隔離(タービンバイパス弁から主蒸気逃がし弁に切替)
16:26  主給水隔離弁閉止
16:41  タービンターニング開始
16:55  S/G水位 各約33%(電動/タービン動補助給水ポンプ運転中)
17:12  タービン動補助給水ポンプ停止、同ポンプ出口流量調整弁手動閉止
18:04  4ヒータ出口弁 CW-016A・B・C 閉止
18:05  1ヒータ入口弁 CW-015A・B・C 閉止

 また、タービン動補助給水ポンプ停止後、同ポンプを待機状態にするため、タービン動補助給水ポンプ出口流量調整弁を約60%まで開放しようとしたところ、3台ある弁のうち2台(AおよびC)が開放できなかった。今後、開放できなかった原因について調査を行います。」

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2004年8月9日午後3時28分頃、関電美浜3号タービン建屋で蒸気が漏れ、原子炉自動停止・タービン自動停止。補助給水ポンプ起動し蒸気発生器に給水。

建屋2階(3階建)
2次系復水管(2本のうち1本)
材質・炭素鋼
外径56cm、厚さ10mm
(破断箇所近傍に計器・くびれあり)
10気圧・約140度

11人が病院に搬送され4人死亡。

警報は「3ASG給水<蒸気流量不一致トリップ」

現時点での疑問:
・漏洩総量(SG水位低を検知)⇒800トン?(関電8/10)
・補助給水ポンプと原子炉の状態

美浜原発3号
82.6万kW(熱出力244.0万kW)
1976年12月1日運転開始
※美浜2号では1991年2月9日、蒸気発生器細管破断事故が起きている。
※大飯1号二次系主給水配管の減肉
www.kepco.co.jp/pressre/2004/0705-1j.html
www.kepco.co.jp/pressre/2004/0727-1j.html

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関電の発表
www.kepco.co.jp/pressre/2004/0809-J.html
「2004年8月9日 
関西電力株式会社 
美浜発電所3号機の原子炉自動停止について 
 美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット、定格熱出力244万キロワット)は、定格熱出力一定運転中、本日15時28分、「3ASG給水<蒸気流量不一致トリップ」の警報が発信、原子炉が自動停止し、引き続きタービンが自動停止しました。
 原子炉自動停止後、タービン動補助給水ポンプおよび、電動補助給水ポンプが自動起動し、蒸気発生器に給水を継続しており、プラント状態に異常はありません。
 発生直後、タービン建屋内に蒸気が充満し、負傷者が発生したため、救急車で病院へ搬送しました。
 原因については、現在調査中です。
 なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はありません。
以 上」

www.kepco.co.jp/pressre/2004/0809-2j.html
 負傷者11名のうち、8名については、救急車にて敦賀市民病院に搬送しました。(4名は死亡、1名は県立福井病院へへリコプターにて転送、1名は国立福井大学医学部付属病院へ救急車にて転送、2名は同病院にて治療中)、他の3名については国立福井病院に搬送しました。(内1名については、ヘリコプターにて県立福井病院へ転送しました。)  
 なお、プラントは安全に停止しています。 
以 上

www.kepco.co.jp/pressre/2004/0809-3j.html
被災者11名のうち、8名については、救急車にて敦賀市民病院に搬送しました。(4名は死亡、1名は県立福井病院へへリコプターにて転送(同病院で治療中)、1名は国立福井大学医学部付属病院へ救急車にて転送、2名は同病院にて治療中)、他の3名については国立福井病院に搬送しました。(内1名については、ヘリコプターにて国立福井大学医学部付属病院※へ転送しました。) 
※ 【訂正】18時50分お知らせ時には「県立福井病院」と記載していましたが、訂正します。 
 その後の確認結果、被災者は合計11名であることを確認しました。なお、事象発生当時、タービン建屋内では、美浜3号機定期検査の準備作業(床の養生、作業エリア区画、工具類の搬入等)等を行っており、合計211名がタービン建屋内に入っていました。 
 美浜3号機について、タービン建屋の現地確認を実施したところ、タービン建屋2階の天井付近にある復水配管(第4低圧給水加熱器~脱気器間の復水配管)に破口を確認しました。 
 なお、当該部は前後にある弁により、隔離状態としており、漏れは停止しています。また、プラントは安全に停止しています。 

www.kepco.co.jp/pressre/2004/0809-4j.html
【18:50分ごろに発表しました内容を以下のとおり訂正します。】
 被災者11名のうち、8名については、救急車にて市立敦賀病院※に搬送しました。(4名は死亡、1名は県立福井病院へへリコプターにて転送(同病院で治療中)、1名は国立福井大学医学部付属病院へ救急車にて転送、2名は同病院にて治療中)、他の3名については国立福井病院に搬送しました。(内1名については、ヘリコプターにて国立福井大学医学部付属病院へ転送しました。)
※ 【訂正】18時50分お知らせ時には「敦賀市民病院」と記載していましたが、訂正します。
※その後の確認結果、被災者は合計11名であることを確認しました。なお、事象発生当時、タービン建屋内では、美浜3号機定期検査の準備作業(床の養生、作業エリア区画、工具類の搬入等)等を行っており、合計221名※がタービン建屋内に入っていました。
※ 【訂正】20時50分お知らせ時には「211名」と記載していましたが、訂正します。

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www.kepco.co.jp/pressre/2004/0810-1j.html

<被災者発生等の経緯>
 事象発生当時、タービン建屋内では、美浜3号機第21回定期検査の準備作業(床の養生、作業エリア区画、工具類の搬入等)を行っており、合計221名がタービン建屋内に入域していました。その状況下でタービン建屋2階面の天井付近で復水配管の破口が発生し、高温水が噴出、蒸気となって同建屋2階面が蒸気で充満しました。この時、火災報知器が発報し(15時22分)、プラントパラメータが変動したため、緊急負荷降下を開始(15時26分)するとともに、当直運転員が現場で倒れている被災者を発見(15時27分)し、中央制御室を経由して所長室長は救急車の出動を要請しました。(第1回目15時30分)なお、この時、当社社員および協力会社で倒れている被災者を順次タービン建屋から建屋外へ運び出しました。なお、その後、消防署とともに建屋内に残っている人の有無を確認するため、建屋内の点検を行い、確認を完了しました(19時00分)。 
 被災者11名のうち、8名については、救急車にて市立敦賀病院に搬送しました。(4名は死亡、2名は市立敦賀病院にて治療中、1名は福井県立病院へ、へリコプターにて転送(同病院で治療中)、1名は国立福井大学医学部付属病院へ救急車にて転送(同病院で治療中))、他の3名については国立福井病院に搬送しました。(内1名については、ヘリコプターにて国立福井大学医学部付属病院へ転送しました。(同病院で治療中)) 

<タービン建屋の状況>  
 本日、警察等の現場検証が行われる予定です。(時間は未定です。) 
<プラントの状況>  
 破口部が生じた配管については、前後にある弁により隔離状態としており、漏れは停止しています。9日23時30分からクールダウン操作を開始しており、本日8時現在の、1次冷却材温度は約168℃(圧力2.7MPa)です。なお、本日16時頃には低温停止状態(1次冷却材温度93℃以下)となる予定です。 
<開放操作できなかった2台の弁の点検状況>  
 タービン動補助給水ポンプ停止後、同ポンプを待機状態にするため、タービン動補助給水ポンプ出口流量調整弁を約60%まで開放しようとしたところ、3台ある弁のうち2台(AおよびC)が開放できませんでした。その後、当社社員立会いのもとで再度「開」操作を8月10日1時20分ころから実施した結果、弁は動作しました。このため、動作しなかった原因は別途調査することとし、念のため、電動補助給水ポンプのバックアップとして、タービン動補助給水ポンプからの給水を確保するため、1時53分に2台の弁を通常の待機状態開度(約60%)としました。なお、開放できなかった原因および今回の事象の因果関係等について調査を継続中です。 
<破口が確認された配管について>  
 破口が確認された配管については、2次系配管の管理指針では「主要点検系統(余寿命を管理し、計画的に点検を行う系統)」に分類されますが、当該部位の前後の配管曲がり部については、健全性を確認しているものの、当該部位については、管理システムに登録されていなかったことから、過去に点検を実施した実績はありませんでした。なお、平成15年4月ごろ、協力会社が管理システムの登録状況を確認したところ、当該部位が登録されていないことに気づき、平成16年8月14日からの第21回定期検査時に点検することとしていました。
<他プラントの対応について>  
 美浜3号機の事象に関連し、他プラントの点検について以下のとおり計画しています。
・ 今回、当該部位の肉厚を確認したところ、大幅な減肉が認められました。従いまして、他のプラントの減肉状況について、点検記録により調査を実施中です。 
・ 同一発電所内にある美浜1,2号機、同型ユニットである高浜1,2号機、さらにはユニットタイプは異なるものの、同じような位置にオリフィスを有する、高浜3,4号機ならびに大飯1,2号機において、今回漏えいした箇所と概ね同じ位置関係(低圧給水加熱器出口)にある箇所については、過去に点検を実施済みであり、適切に評価していることを確認しています。(大飯3,4号機は同じ様な位置にオリフィスが設置されていません) 
・ 他プラントの同じ様な位置以外の給水系統、復水系統などの、管理指針上の主要点検系統内の主要弁、および、オリフィス※の下流側等などの主要箇所については、点検記録により、これまでに点検を実施したことがない箇所の有無を至急確認し、これまでに点検を実施していないことが確認された場合は、直ちに安全点検を実施いたします。 
・ なお、これらの確認・点検作業の間、これまでに点検を実施したことがない箇所にやむを得ず近づく場合は、耐火服を着用する等の危険防止策を施すこととします。 
※オリフィス: 通水流量を制限したり、差圧を設けることにより、通水流量を計測するために、流体の流れている管路の断面を絞って狭めるもの。

美浜発電所3号機における被災者の状況および原子炉自動停止の調査状況について(18時00分現在) 

www.kepco.co.jp/pressre/2004/0810-2j.html
 本日18時時点での、美浜発電所3号機における被災者の状況は、〔別紙〕のとおりです。  
 現在も引き続き、入院先において治療を受けられております。 
<プラントの状況>   
 破口部が生じた配管については、前後にある弁により隔離状態としており、漏れは停止しています。9日23時30分からクールダウン操作を開始しており、本日18時現在の、1次冷却材温度は約114℃(圧力2.7MPa)です。なお、本日20時頃には低温停止状態(1次冷却材温度93℃以下)となる予定です。