長計策定会議日誌(4)六ヶ所再処理工場のウラン試験入りの中止と制度措置の中止を再度訴える

長計策定会議日誌(4)六ヶ所再処理工場のウラン試験入りの中止と制度措置の中止を再度訴える

伴英幸

 六ヶ所再処理工場の建設を中止した場合には地元への補償を考慮しなければならないという意見が出されてきている。ウラン試験それに続くアクティブ試験と進めていけば、その費用は嵩んでいくことになる。その意味からも、試験入りの中止を訴える必要を痛感し、再度主張した。
 策定会議終盤でウラン試験に入ると後戻りできない、MOXの使用済み燃料は再処理できないと発言したが、事実誤認があるとの指摘が山名委員からあった。これは委員の聞き違いであると訂正した。間違いの指摘で言えば、勝俣委員から氏の発言の引用が間違っているとの指摘を受けた。校正前の議事録を引用したために間違いが起きてしまった。校正前の議事録はおそらくテープ起こしの段階での聞き違いによるのだろう。今後気をつけなければならない。再処理は法的に義務付けられていないが、電力各社は事実上義務付けられていたと最近になって声高である。原子力委員会がちゃんと応えるべきだとの点で藤委員と意見が一致した(隣同士なので)。原子力委員ではないが、福井の池野さんが詳しく調べてくださり、メールをいただいた。それによれば、国の内規では、原子力の開発利用の計画的な遂行に支障を及ぼす恐れがないことを許可の際に判断してきたとのことだ。新燃料を装荷する前に、その扱いを明記しなければならないが(法律で求められている)、もし、電力が再処理しないことを明記したとすれば、装荷の許可は得られなかっただろう。現在、中間貯蔵の計画があるが、もしこれが実現すれば、それにあわせてその部分の書き方が変わるだろう。

小委員会の委員に選任される

 7月29日に開催された第4回策定会議の焦点は小委員会の設置と委員の選任だった。果たして、8名の小委員会メンバーの一人に選任された。この委員会の役割は限定的で、策定会議によって付託された内容の審議であり、それは、核燃料サイクルに関して取りうる政策的選択肢について、その経済性を比較することである。
 実は、第3回策定会議には、委員の選任について公正な作業を求め、現策定会議メンバーでは、情報隠し問題もあり、不十分だと判断して、外部からの委員の選任を主張しつつ、自分も立候補することとした。それまでの発言から、小委員会は公開で開催されることを見通すことが出来たが、委員となると誰が選任されるのか分からなかった。
小委員会委員はすべて策定会議の中から選任された。その点からは、主張が退けられた。
 小委員会が選択肢に関する判断をするのではない限定的な作業を行なうことは、むしろ原則的であり、第3回策定会議への提出資料に書いた考えと同様である。作業の詳細はこれから決まっていく。とはいえ、予想されることは、経済性比較をするうえでの前提条件を定めることが大きな問題となるだろう。私にとっては、また、脱原発派としても不慣れなことであり、これはなかなか難儀な作業だ。

核燃料サイクルについての4つの政策的選択肢

 この日、事務局から4つの取りうる選択肢が提案された。建設中の六ヶ所再処理工場を目の前において、取りうる現実的な路線を考えると4つが出てくるので、ある意味ではただ、並べただけと言えるだろう。だが、私は3つに絞って提案した。簡単に言えば、進めるか、モラトリアムするか、やめるかである。事務局案は’進めるか’を二つに分けていた。つまり、全量再処理するか、六ヶ所分だけ再処理して後は直接処分にするか、である。これまでどおりの全量再処理政策は継続困難と考え選択肢から外したが、彼らは丁寧にも加えている。こうして、(1)全量再処理(2010年ころに判断する方針だったが、一足先にすることになる)、(2)六ヶ所能力分の再処理と残りは直接処分、(3)全量直接処分、(4)モラトリアムである。(2)以降は中間貯蔵が伴うことになる。ただ、集中的な中間貯蔵か各サイトでの貯蔵かは、原発からの撤退をどのように進めていくかによって決まってくるだろう。
 委員からの発言で興味深かったことは、(4)のモラトリアムに対する批判が予想外に強かったことである。モラトリアムという選択肢に批判が集中した。実に8名の委員が、長期計画に入る選択肢ではないとか、責任もって決める選択肢ではないなどなどの批判が相次いだ。事務局案が当面貯蔵といった言い方になっているので、当面という用語に受け取り方の幅がありすぎたのかもしれない。しかし、再処理が有利になるまで貯蔵すると言うのは、推進側にとっては現実的な選択肢であると思う。いずれにせよ、これらは、とりうる選択肢の総合的評価をすることが確認されているので、その段階で主張すればよいことだ。
 結論が先に主張されるケースはこれ以外にも多いのに驚いている。