調査レポート「原発の定期点検長期化が卸電力市場価格高騰の原因か ―巨大電源の隠れたリスク―」
2020 年 12 月~2021 年 1 月にかけて電力市場のスポット価格が高騰しました。この原因としては、寒波による需要増、LNG供給ひっ迫などが挙げられています。しかし、当時の関西電力の再稼働済みの4基の原発の稼働状況を調べたところ、関西電力の原発定期点検の長期化が、関西電力のLNG調達計画に影響を与えた可能性が見えてきました。
詳細は下記をご覧ください。
タイトル |
原発の定期点検長期化が卸電力市場価格高騰の原因か ―巨大電源の隠れたリスク― |
概要 |
- 2020 年 12 月~2021 年 1 月にかけて発生した電力市場のスポット価格の高騰について、関西電力の 4 基の原発の定期点検状況との関係性を検討した。
- 関西電力の 12 月分の LNG 調達は 9 月~10 月の発電計画に基づき実施しているところ、特に、高浜原発 3 号機と大飯原発 3 号機の定期点検の完了予定が 9 月~10月の発電計画に大きな影響を与えていた可能性が高いことが分かった。
- 高浜原発 3 号機は 12 月 22 日に稼働する予定だったが、12 月 15 日に延期を発表したことが、市場価格に影響を与えた可能性がある。
- 政府の需給ひっ迫・市場価格高騰に向けた対応策には原発などの大型電源の想定外の停止や停止の長期化といった課題への対策は盛り込まれていない。
- 需給ひっ迫の背景として稼働中原発基数の減少が挙げられているが、的外れな議論だ。大型電源の想定外の停止や停止の長期化による需給ひっ迫事例は複数存在するが、これまで、そうした経験から教訓をくみ取ってこなかった。今回の供給ひっ迫・市場価格高騰も本質的な問題は同じである。大型電源の想定外の停止や停止の長期化リスク対策を講じるべきだ。
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