【原子力資料情報室声明】美浜原発3号機の40年超の再稼働に抗議する

2021年6月23日

NPO法人 原子力資料情報室

 

 6月23日、関西電力が美浜原発3号機を再稼働したことに強く抗議する。

 東京電力福島第一原発事故後、原発の運転期間を原則40年と制限したルールのもとで、40年超の原発が再稼働するのは初めてとなる。ただし、「特定重大事故等対処施設」は、設置期限の10月25日に間に合わない見通しで、この日以降は運転を止める必要があるため、稼働期間は長くて約4カ月間になる見込みだ。

 

 21日、福井・滋賀・京都3府県の住民9人が、美浜原発3号機の運転差し止めを求める仮処分を大阪地裁に申し立てた。運転開始から40年以上が経過した原発の設備は劣化しており、想定外のトラブルが考えられること、美浜原発の周辺には多くの活断層があり、大地震が起きる可能性があることなどを主張している。

 

 美浜原発3号機は、1976年12月の運転開始から44年が経過した老朽炉であり、2011年5月に停止して以来、10年間停止していた。とりわけ、劣化した圧力容器が非常用炉心冷却装置(ECCS)の起動などで急激に冷やされると、瞬時に破壊される恐れがある。圧力容器の破壊は福島原発事故を超える放射能災害をもたらす恐れがある。このような事故が起きれば、関西電力は経営破綻し、事故の責任を取れないことは明白だ。また、過酷事故の際には、実効性のある避難ができないことも明らかで、住民の深刻な被ばくが避けられない。

 

 関西電力は2011年の福島原発事故から学ぶ必要がある。10年を経たいまも、福島では原子力災害が続いている。福島原発事故の教訓に基づく「原則40年」ルールがなし崩しになってはならない。関西電力は、本格運転に入らずに速やかに美浜原発3号機を廃炉にすべきだ。

 

以上

関西電力美浜原発・左から1号機,2号機,3号機(2015年12月撮影)

敦賀半島(2017年撮影)