【原子力資料情報室声明】東電は海洋放出工事を即時中止せよ
2022年4月26日
NPO法人 原子力資料情報室
報道によれば東京電力は汚染水(処理水)の海洋放出に向けた排出口の設備工事を開始した。トンネル掘削のためのボーリングマシーンの搬入を行ない、29日にも掘り始めるという。
しかしながら、東電が約束している漁業者団体との合意は得られていない。合意を得られないままの工事突入である。東電はあくまでも合意がなければ放出しないとの立場を強調しているが、工事強行は約束を反古にする行為に他ならない。
東電が対策を怠ることで起きた福島原発事故、その結果、東電は数十万の住民の生活を奪い、農林漁業を破壊した。その東電が、今また漁民たちを裏切ろうとしている。
東電は、放射能影響評価に対するIAEAの評価、原子力規制委員会の許可など所定の手続きすら蔑ろにし、さらに、地下水の建屋への流入を止める作業を怠ったまま、ひたすら、海洋放出へ向けた作業を強行している。
東電は工事に入る前にタンク毎に放射性物質の組成と量を調査して公表すべきである。64核種以外の核種について生成量が少ないとして検討対象から外しているが、それらの測定結果も示すべきだ。放射性物質の種類と量を公表しないのは、極めて不誠実な態度と言える。
東電のこうした行為は、到底許されることではない。即刻、工事をやめ、漁業者団体の懸念や反対の声を率直に受け止め、海洋放出方針を撤回し、貯蔵継続あるいはコンクリート固化へと対応を転換するべきである。
以上