【原子力資料情報室声明】ドイツが脱原発達成! 歴史の転換点だ
2023年4月15日
NPO法人原子力資料情報室
2023年4月15日、ついにドイツ連邦共和国が脱原発を実現させた。世界に向けて原子力時代の終焉を告げる出来事である。そして世界中の脱原発を目指す人々に湧き上がる勇気を与えている。
かつては商業原発37基を運転させていたドイツだったが、98年に電力業界と脱原発合意に漕ぎ着け、脱原発法を制定させた。その後、一時、運転延長の議論もあったが、福島第一原発事故が、その議論を吹き飛ばした。ロシアのウクライナ侵略への反対から、ガス供給を止められたが、原発停止の路線を変えることはなかった。
それを可能にしたのは、ドイツが再生可能エネルギーの分野で、世界をリードする国となっているからだ。エネルギー危機のさなかにあっても、安易な原発回帰に戻らなかったことは、将来の世界の趨勢を見据えたドイツの政治選択だった。
一方、かつては再生可能エネルギー分野で優れた技術を誇っていた日本だったが、原子力産業界がこれを枯れさせてしまった。
福島第一原発事故から12年、GX推進に名を借りた日本政府の原子力回帰政策は、市民の生命と安全よりも原子力産業の利益を代弁し、維持するものというほかない。しかし、国会で議論されている原子力基本法改悪や原子炉等規制法の改悪、電気事業法の改悪は、沈みゆく原子力産業界の必死の抵抗と見ることができる。日本の原子力政策のあらゆる部分が原子力の継続を前提に組み立てられていることから、どこか一ヶ所でもほころびれば、総崩れとなるだろう。
7割に達する脱原発世論をなぎ倒して原発回帰することはあり得ない。
世界の流れを見据えたドイツの戦略展開を日本もおおいに見習い、再生可能エネルギー100%の社会を目指すべきだ。
以上