放射性廃棄物WG奮闘記⑤ 対話の場の総括の方法が おぼろげながら見えた第40回WG

『原子力資料情報室通信』第590号(2023/8/1)より

 2023年6月22日に開催された第40回放射性廃棄物ワーキンググループ(WG)は、前回に引き続き対話の場の総括が議題に上がった。まず経済産業省から、総括の方法の大まかな内容が提示された。
 総括にあたって、北海道寿都町と神恵内村の両町村の役場、対話の場のファシリテーター、対話の場
や「町の将来に向けた勉強会」(寿都町にのみ設置)に参加した住民を中心に意見聴取を実施する。さらに、NUMOの自己評価に完結させず、客観性を確保するために、両自治体とは直接の関係性のない、
地域対話の専門家などの意見も聞くとした。総括の状況については、国とNUMOがこのWGに報告し、
意見を受け付けながら、透明なプロセスで進めていくと表明した。
 この説明を受け、筆者はいくつか提案を行った。まず住民の意見聴取について、実質的な客観性と透
明性の確保を要求した。名前は公開せずとも、聴取した意見はすべて公開し、公正な聞き取りだったか
チェックするために第三者、例えばこのWGの委員を同行させるべきだと提案した。
 また、地域対話の専門家の意見聴取についても注文を付けた。専門家からの意見聴取を、地域対話の
分野に限定するのは不十分だと指摘した。ファシリテーションがうまくいったか、対話が円滑に進んだ
かなど狭い範囲での評価しか行われない懸念があると述べた。公開性は十分だったのか、住民参加のや
り方に問題はなかったのか、運営は公正だったのか、情報提供はバランスがとれていたのか、議題は多様だったのかなどを考慮した総合的な総括の必要性に言及しつつ、具体的に、環境社会学会や環境法政策学会などから、公論形成の専門家を推薦してもらう方法を提示した。合わせて、このWGの委員から推
薦を複数人募るという方法の検討も要請した。
 これらの私の提案に対する経産省の回答は、以下の通りだ。まずWGの委員を意見聴取に同行させる
ことについては、その方がいいという住民からの要望があれば、相談させて頂ければと述べた。専門家
からの意見聴取については、WG委員からの紹介、推薦を受け付けるというのも一案であり、それも含
めて聴取のやり方を検討したいとした。
 続いて、経産省は今後の概要調査までの流れを説明した。しかし説明資料には対話の場の総括の結果
をどのように政策に反映するのか、表記されていなかった。そこで筆者は、対話の場の総括が今後の文
献調査の進行の中で、どういう位置づけか不明だと不満を表明した。対話の場の総括で最も重要な点は、特に寿都町で地域の分断が起こり、強い精神的苦痛を感じた住民がいるという事実だ。この分断がなぜ生まれたのか、どうすれば修復できるのかということをしっかり検証せずに、地域の分断が続いている状況では、概要調査に進むべきではないと主張した。
 それに対し経産省は、仮に概要調査に進んだ場合でも、対話の場は続いていくものなので、適時・適
切に改善していく。したがって総括の結果を待って、文献調査の進行を止めるということは難しいと回答した。
 時間の関係上、反論できなかったのが悔やまれるが、この無責任な発言に憤りを感じた。筆者は
2022年4月に開催された第36回WGでも、対話の場の不公正な運営について、問題提起をした。1年
以上経つが、まったく改善されていない。経産省やNUMOの自浄作用を期待していては、対話の場の
改善は見込めず、地域分断の解消や修復は不可能だろう。WG委員として、今後も対話の場の総括への
厳しい監視を行う必要性をますます感じた。

(高野 聡)

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