新規制基準パブリックコメントへの応募意見

原子力規制委員会は2013年4月11日から5月10日にかけて、「原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則(案)等に対する意見募集ついて」及び「原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則(案)等に関連する内規に対する意見募集について」と題したパブリックコメントを行った。

このパブリックコメントに対して、情報室が提出した意見を以下でご紹介する。

 前文

●1.防災指針との関わり
原子力防災指針では、原発から概ね5km圏内のPAZ、30km圏内のUPZ、概ね50km圏内のPPAの3つの区域を設定し、区域ごとに原発事故の段階に応じて避難・防護措置をとることとなっている。
原子力資料情報室は、原子力防災指針について、たとえばUPZの範囲設定が30kmでは狭すぎることや、市民参加の観点が欠如していることなど多くの問題点があると指摘してきたが、今回パブリックコメントにかけられた新規制基準案は、この問題含みの原子力防災指針との整合性すらとれていないと思われる。
た とえば、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」5条2項7号では原子炉の変更にかかる申請時に、原発から5km及び20kmの範囲の地図を申請書に添付して提出するよう事業者に義務付けしている。確かにPAZは5km圏内であるが、UPZは30km、PPAは50kmであり、齟齬が生じている。 他にも重大事故時の国や自治体との関係も記載が無いなど、問題は多い。
原子力防災指針との関係性を考慮した記載に新規制基準案は修正すべきである。

●2.原子力発電所稼働期間20年延長、特定安全設備5年猶予
原子力規制員会の田中俊一委員長は繰り返し、「世界最高水準」の規制を目指すと表明している。
しかし、新規制基準において原子力規制委員会は、三系統目の直流電源や第二制御室、加圧水型軽水炉のフィルタードベント装置などの「特定安全設備」については、5年間の設置猶予期間を認める方針としている。加えて大飯原発3・4号機については新規制基準導入直後の定期点検まで運転を認めた。また、当初40年 間にするとしていた原子力発電所の稼働期間を20年間延長することを一定の条件のもと認める方針も固めた。
たとえばフィルタードベントでも、全ての放射性物質を濾し取ることは出来ず、抜本的な問題解決を図ることは不可能である。しかし、原子力規制委員会が規則制定時点から猶予措置を取ると電気事業 者に伝えることによる規制の弛緩に関するアナウンスメント効果は大きい。また新規制基準に即しない大飯原発の稼働を、新規制基準施行後も許すことは、問題 が多い。加えて40年間稼働して老朽化した原発の稼働を更に20年間許すような規定を設けることは、明らかに「世界最高水準」の規制とは相反する。
原子力規制委員会はこのような猶予措置をとるべきではない。

●3.単一故障の仮定と重大事故対策設備
新規制基準案は、設計基準事故(DBA)については依然、「単一故障の仮定」(単一の原因によって1つの機器が安全機能を失うとする仮定)を維持しており、設計基準事故を超過する事象(B-DBA)に関しては、重大事故対策設備で対応するとしている。
しかし、「共通要因故障」(単一の要因によって、複数の機器が同時に安全機能を失うこと)は、確率が低いとしてもDBAとして想定すべきである。
また新規制基準案は「重大事故対策設備」については、DBAに対処するための「設計基準事故対処設備」よりも信頼性要求が緩められているが、この点も問題である。
かつて原子力安全委員会は「シビアアクシデントは工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分小さい」(1992年5月28日)と主張し てきたが、福島第一原発事故ではB-DBAが発生した。にも拘わらず、「重大事故対策設備」の信頼性要求を下げるということは、依然としてB-DBAは日本では起こり得ないとする前提を置くことに等しい。
「安全神話」の構築に規制当局が積極的に関与したことは原子力規制委員会発足当初の反省点ではなかったのか。
B-DBAが現実的なリスクである以上、信頼性要求を緩めることは許されない。

●4.計装系
福島第一原発事故では原子炉内の状況が把握できないことが大きな問題となった。また、今なお、溶融した燃料の位置や状態も不明である。
原子炉内の状況を把握することは原子炉制御に不可欠である。そのため、「実用発電用原子炉及びその附属施設に関する技術基準を定める規則」では計装系は安全上の機能別重要度が一般の産業施設と同程度の信頼性しか要求しないクラス3とされているところ、合理的に達成し得る最高度の信頼性が求められるクラス1に 分類しなおすべきだ。
また、健全性を維持するために必要なパラメータとして「実用発電用原子炉及びその附属施設に関する技術基準を定める規則」に列挙されている項目について、とりわけ水位計について、B-DBA時でも確実に推定できるよう整備するべきである。
さらに、全電源喪失の場合であっても確実に原子炉の状態を把握し、制御室、重要免震棟、その他関係各所に情報を送信できる機能がなければならない。

●5.曖昧な表現
原子力規制当局や電力業界は、安全設計審査指針類の表現を曖昧にして、規制の弛緩を図ってきたと指摘されてきた。これが、東京電力福島第一原子力発電所事故の原因の一部であった。たとえば、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告書は「今回の事故は、(中略)歴代の規制当局及び東電経営陣が、そ れぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま3.11を迎えたことで発生したもので あった」と指摘している。
にも拘わらず、世界最高水準の規制を目指したはずの新規制基準案においても、なお「おおむね」や「適切に」、「十分な裕度」等の記述が数多く見受けられる。
こういった文言は、事業者に都合の良い解釈や安全対策の先送り等を誘引し、安全文化の定着を妨げ、また規制の弛緩も招く。そのため、これらの文言は全て明確にするべきである。

●6.自然現象
日本列島は4つのプレート(北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート)の衝突部に位置し、世界有数の複雑な地殻上に位置している。そのため、日本及びその周辺には、世界で起こっている地震のほぼ10%、火山のほぼ7%が集中している。
このように不安定な地理的条件のなか、日本の原発では2005年から2011年の間だけでも4回の地震でのべ5回の設計基準超過が発生した。このことは、現行の設計基準地震動の設定には著しい問題があることを示唆している。
しかし、今回の新規制基準案においてもなお、以前のものと本質的には変わることのない設計基準地震動の設定がなされている。
福島第一原発事故を経て、原子力にはもう二度と「想定外」ということばは許されない。保守的に基準地震動を設定するべきだ。
また、日本ではいわゆる火山フロント上にすら原発を立地することを許容してきた。たとえば下北半島はまさに火山フロントの直上であるが、多数の原子力関連施設が立地している。
「想定外」がもはや許されない以上、火山フロントに位置する地域は火山活動がありうることを前提として規制基準をたてるべきである。

 


 

 本文

●実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則

5条7項
変更にかかる発電用原子炉設置地点から20km以内の地域を含む20万分の1の地図、5km以内を含む5万分の1の地図を提出することを要求しているが、UPZやPPAのことも考えて地図の範囲を定めるべき。

6条
許可を要しない変更点のリストが列挙されるが、事後チェック型の許認可ができるほど、原子力発電は悠長なものではない。福島第一原発2号機でさきごろあったように、事業者すら把握しない配管が発生している。基本的には全ての変更を規制庁に事前に申告させ、管理するべき。

35条
溶接事業者検査の対象となる溶接工事のリストが列挙されるが、なぜ限定列挙なのか。事後チェック型の許認可では原子力の安全は確保できないのではないか。

82条
40 年を超過した原発の稼働をさらに延長できる規定と読めるが、このような規定は盛り込むべきではない。廃炉コストも読めないなかで、事業者は伸ばせるものな ら稼働を延長させることで支出の発生をなるべく送らせたがっている。古い原発は当然、機器の老朽化やデザインとしても新しい原発に劣後し(BWRは使用済 燃料プールが原子炉建屋上部に位置するのに対し、ABWRでは地下に設置されるものもある)、安全性はより劣る。そのような原発を更に動かすことは許容で きない。40年廃炉と明記すべきだ。

85条
消防吏員がやってくるまで消火活動を行うとあるが、原発施設内は多くの重要施設で満ちていて、そのような施設を部外者である消防吏員に行わせて良いのか。事業者が自衛消防団で消火活動を行うべきだ。

89条
使用済み燃料が貯蔵の終了まで密封した容器で管理するとあるが、この貯蔵の終了までとは再処理が前提の記載だと思われる。現在、再処理について議論が行われているところであり、このような前提は置くべきではない。

91条
侵入に関するいくつかの記載があるが、これでテロ対策になっているとは到底思われない。米国では武装した防衛部隊が原発を警備している。日本でもそのような対策が必要である。

95条
原子炉主任技術者の選任は実務経験3年以上とあるが、原子炉は原子炉毎に特性がある。わずか3年の実務経験、しかも別の原子炉の経験で不足だ。当該原子炉での実務経験が3年以上あり、他の原発でも実務経験が複数年ある技術者が専任されるべきだ。

115条
原子炉廃止措置について、計画の認可、終了の認可等は記載されているが、その間の監督について規制庁は何を行うのか?

●研究開発段階における発電の用に供する原子炉の設置、運転等に関する規則

全体
もんじゅを想定しての規則とおもわれるが、約20年稼働していない老朽炉を本気で動かす気なのか。

全体
今回のパブリックコメントの行い様は、原子力規制委員会が安全文化を構築して行く気があるのか、また、真摯に市民の意見を聞く気があるのかについて強い疑念をもたせる。
国会事故調は福島第一原発事故は規制当局が事業者の虜になったことが原因であると指摘した。福島第一原発事故により、規制当局の信頼性は地に落ちたと考える べきだ。そして、規制を再構築するためには、規制当局もまた市民による規制の対象となるべきである。そのことを意識しているがために原子力規制委員会はす べての会議を原則公開としているのではないか。
原子力規制委員会では傍聴者は声を上げることはできるが、それに対する回答は静粛と議長が言う程度しか存在せず、市民が原子力規制委員会に声を届けることができるのはパブリックコメントの機会しかないのが実情だ。
市民の意見を、整理された状態で聞くことができるパブリックコメントという機会は、市民にとってはいうまでもなく、原子力規制委員会にとっても、大変貴重な場であるはずだ。
加えて、原子力規制委員会が長期間にわたって多数の人員と費用を投じて検討された規則を、わずか1ヶ月で市民に問うというのだから、真摯に市民の意見を聞くというのであれば聞く態度も問われる。
であるにもかかわらず、不要不急な研究炉に関する規則をまぜるというのは一体どういう意図を持ってのことなのか。
本当に規制を再構築していくつもりがあるなら、少なくとも研究炉に関する規則については撤回し、再度改めてパブリックコメントにかけるべきだ。

全体

実用発電用原子炉ならびに研究開発段階における発電の用に供する原子炉ともに、共通要因故障を定義に加え、安全保護系の項で、それが起きても安全保護機能を失わないことを求めるべき。

理由:東北地方太平洋沖地震が原発にもたらした影響・事故は共通要因故障によるものであり、これを加えることが事故の教訓を活かすことにつながる。

 

●東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護等に関する規則

全体
この規則は福島第一原発1~4号機に適応されるべき規則と思われるが、運転等に関する記載が見られる。これらは5・6号機の運転に備えた記載か。
もし仮に運転を想定するのであれば、5・6号機は他の原発同様の規則に即するべきであり、このような特殊な規則を作るべきではない。
福島第一原発のサイト状況で、5・6号機の運転を行う余地は存在しないことは明らかであり、そのようなことは想定していないことを明記頂きたい。

●実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準を定める規則(仮称)

2条
「極めて低い」「類似の頻度で」等、曖昧な記載が見られる。数値化していただきたい。

6条
地震及び津波を除く。を削除

12条
「特に重要な安全機能を有する系統は、当該系統を構成する機械器具の単一故障が生じた場合であって、外部電源が利用できない場合においても機能できるように… 多重性又は多様性、及び独立性を有するものでなければならない」とあるが、同一系統で機械器具が同時に複数箇所で故障が生じることは、確率論的には稀に見 えても、実際のシステム運用時にはよくあることだ。その上、たとえば地震等が発生した場合には故障の発生確率は上昇するから、単一故障のみならず複数故障 が生じた場合でも対応できるものでなければならない。

16条
リトアニアに納入される日立GEのABWRの設計では使用済燃料プー ルは地下に設置される。メーカーが危険性を認めて地下に設置しているのだから、規則は当然、使用済燃料プールの設置場所を現状のように原子炉建屋上部にす ることを許容することを止め、危険性の少しでも少ない場所に設置することを義務化するべきだ。

26条
シビアアクシデント時は一定期間いることを強要されるのから、原子炉制御室は少しでも居住性の高い空間にするべきであり、またWBCやその他の内部被ばくを測定するための機器の設置も必要だ。

26条
同一の工場や事業所内では、近すぎて事故の際に役に立たないのでは? 少なくとも○●kmはなれた場所に代用制御室を設置する事というように明確な距離を示した方がよい。

27条
放射性廃棄物処理施設の条件で気体状の放射性廃棄物を除外しているが、これは何を意図してのことか?

27条
福島原発事故では、海へ放出する事態となってしまったので、保管するのに充分な容量のあるタンクやメガフロートなどの設備を設置すること、という規則があるべきだ。

31条
単一故障でなく、複数故障が生じた場合でも安全機能が達成できるものにするべきだ。

32条
単一故障でなく、複数故障が生じた場合でも安全機能が達成できるものにするべきだ。

32条
「電路線の内少なくとも一回線は」他の回線と物理的に独立とあるが、「電路線は」他の回線と物理的に独立しているべきである。

40条
原子炉に大型航空機が衝突したときに、代替となる中央制御室のことだが。大型航空機が衝突しても安全性を失わない原子炉の設計にすることが第一に重要ではないだろうか?

50条
水蒸気爆発を予防するためのコアキャッチャーも必要である。

55条
事故時の運転・計測パラメータの記録の保存が必ずできるような装置を設置して、事故の推移を公開できるようにするべきだ。

●実用発電用原子炉及びその附属施設に関する技術基準を定める規則(仮称)

2条
原子炉冷却材圧力バウンダリーのみがクラス1となっているが、計測系、鉄塔及び変電所等の電力系統もクラス1とするべきだ。

21条
耐圧試験を0.9倍まで減じるという記載は削除すべき。

26条
リ トアニアに納入される日立GEのABWRの設計では使用済燃料プールは地下に設置される。メーカーが危険性を認めて地下に設置しているのだから、規則は当 然、使用済燃料プールの設置場所を現状のように原子炉建屋上部にすることを許容することを止め、危険性の少しでも少ない場所に設置することを義務化するべ きだ。

46条
「電路線の内少なくとも一回線は」他の回線と物理的に独立とあるが、「電路線は」他の回線と物理的に独立しているべきである。

50条
可搬の記載があるが、恒設設備を基本として、重大事故は対処すべきだ。また、設計基準事故での単一故障の仮定を維持せず、共通原因故障を想定するべきだ。
重大事故が発生した時に、台風がサイトを直撃している可能性もあり、そのようなときに可搬設備を設置できるのか。
福島第一原発事故でわかったのは高線量下での作業の危険性だ。どんなに簡便な接続を可能としたとしても、貴重な作業員を被ばくさせてしまい、結果的に事故収束作業の人員不足を招くことになりかねない。
コストよりもより安全性を重視すべきである。

62条
格納容器破損後の対策も記載するべき。

●実用発電用原子炉に燃料として使用する核燃料物質に関する技術基準を定める規則(仮称)

全体
「著しく」「有害な」等の記載が多く見られるが、数値化するべき

●実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示

12条
100mSvに制限しているが、福島第一原発事故時、作業員及び公務員の線量限度を250mSvに引き上げた。
今後は引き上げることが無いことを明記するべき。

●実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準を定める規則の解釈(仮称)

12条
「単一故障の発生の可能性が極めて小さいことが合理的に説明できる場合…当該機器に対する多重性の要求は適用しない」とあるが、この要求は特に重要な安全施設に対するものなのだから、安全性を重視し、合理的に説明できる場合であっても、多重性は要求するべき。

12条
運転中の試験可能性は発電用原子炉の運転に大きな影響を及ぼす場合は要求しないとあるが、大きな影響とはどういうことか。営業運転に支障が生じる場合は大きな影響とみなすのか?それとも、安全性に支障が生じる場合なのか。

12条
重 要安全施設でも安全運転の向上に資する場合は共用又は相互に接続を可能とするとあるが、福島第一原発でもツインプラントだったが、事故時に炉の状況を把握 して対処できていたとはとても言えない。たとえば制御室については、それぞれの炉に専念できるスタッフが制御するべきだ。重要安全施設について、このよう な逃げ道を設けるべきではない。

16条
乾式キャスクで閉じ込め機能が確保できても、事故や何らかの問題で放射性物質の閉じ込め機能が確保できなくなる恐れも当然ありうる。貯蔵施設においても当然、放射性物質の放出を低減する機能を用意するべきだ。

27条
ALARA は「合理的に達成できる」限りでしか、公衆の被ばくを下げなくてもよいとする考え方だ。事業者にとっては、安全性より合理性、すなわちコストを優先可能に することだ。福島第一原発事故のように大量の被ばく者を生み出して、なお、この考え方を維持することは、許されない。

42条
「可搬型代重大事故防止設備」は「可搬型重大事故防止設備」の誤字か?

42条
福島第一原発事故では高線量で作業員を緊急作業させることが容易でなかった。可搬型バッテリを用意することは問題ないが、このような機能は恒設の代替設備を前提として、そのバックアップ機能として可搬型を準備するべきだ。

42条
現場での人力による弁操作について、福島第一原発事故では高線量で作業員を緊急作業させることが容易でなかった。この記載では現場の作業員に決死隊を編成させて作業をさせるということになる。シビアアクシデント時においても人手を介さない弁操作ができることが必要だ。

47条
フィルタードベントを用 意することはよいことだが、ベントラインが破損した場合はどうなるのか。またフィルタでも希ガスは取り除くことはできず、公衆の被ばくを避ける事はできな い。格納容器の容積を大きくすることを要求するべきであり、それができないのであればその炉は廃炉にするべきだ。そのうえでフィルタードベントの要求をす るべきだ。

52条
放水設備は所内プラント基数の半分以上とあるが、所内プラント基数と同数であるべきではないか。

54条
共通要因で機能を失うこと無く少なくとも1系統は機能が維持できることとあるが、複数系統機能が維持できるべきだ。

55条
メルトダウン・メルトスルーした場合の燃料の状況の把握用計装設備も必要ではないか。

別記1 3条
活断層の活動性については、現在議論のあるところだ。そのような状況下では安全サイドに倒して40万年まで遡って確認するべきだ。

別記1 4条
「おおむね」という曖昧な表現は排除するべきだ。

別記1 4条 
「局部的に弾性限界を超える場合を容認しつつも施設全体としてはおおむね弾性状態に留まり得ること」とあるが、局部的に弾性限界を超えて局部的に破損することもありうるのだから、局部的にも弾性限界の超過は許容すべきではない。

別記1 4条
計測系、及びBクラスにされている施設の内、原子炉冷却材圧力バウンダリに接続し一次冷却材を内蔵する施設、放射性廃棄物を内蔵する施設、使用済み燃料冷却施設はSクラスにするべき。

別記1 4条
弾性設計用地震動は基準地震動との応答スペクトル比率が0.5を下回らないような値とするとあるが、事実上は三分の二程度になるように設定されているはずであり、そのように規則も修正するべきだ。

別記1 4条
設計基準地震動の超過は過去繰り返されてきた。このような問題は繰り返すべきではない。

●実用発電用原子炉及びその附属施設に関する技術基準を定める規則の解釈(仮称)

53条
地震後テロが発生する等は想定できることだ。それぞれの特定安全設備がテロ対策及び地震対策の条件をみたすべきだ。

56条
福島第一原発事故では高線量で作業員を緊急作業させることが容易でなかった。この記載では現場の作業員に決死隊を編成させて作業をさせるということになる。シビアアクシデント時においても人手を介さない弁操作ができることが必要だ

61条
フィ ルタードベントを用意することはよいことだが、ベントラインが破損した場合はどうなるのか。またフィルタでも希ガスは取り除くことはできず、公衆の被ばく を避ける事はできない。格納容器の容積を大きくすることを要求するべきであり、それができないのであればその炉は廃炉にするべきだ。そのうえでフィルター ドベントの要求をするべきだ。

66条
放水設備は所内プラント基数の半分以上とあるが、所内プラント基数と同数であるべきではないか。

69条
メルトダウン・メルトスルーした場合の燃料の状況の把握用計装設備も必要ではないか。

●実用発電用原子炉に係る発電用原子炉設置者の重大事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力に係る審査基準(仮称)

全体
事業者が国・自治体へ通報する連絡体制の手順は記載する必要がないか。

●実用発電用原子炉及びその附属施設における発電用原子炉施設保安規定の審査内規

92条
安全文化とALARAは相容れない。ALARAに関する記載を削除し、公衆の放射線被ばくを皆無とする旨を明記するべきだ。

●研究開発段階における発電の用に供する原子炉およびその附属設備の位置、構造及び設備の基準を定める規則

15条
正の反応度をもつナトリウム冷却型高速炉の特性を明記すること。

理由:「原子炉固有の出力抑制特定を有する」となっているが、「もんじゅ」は炉心の変化が必ず出力を増加させる方向に作用する正の反応度をもっている。これが「もんじゅ」という原子炉固有の特性であり、出力暴走事故の危険を内包している。この点を明記しておくことは規則上、非常に重要だと考える。

19条
ナトリウム冷却高速炉にも非常用炉心冷却設備を設けることを明記するべき(除外するべきでない)。

理由:「もんじゅ」の場合、配管の破損と同時にガードベッセルも破損した場合には、炉心の冷却は不能となる(二重管でも同様のことが言える)。その漏洩トラブルに電源喪失が重なっておきても冷却の継続が可能となる、非常用冷却設備が必要である。

●研究開発段階における発電の用に供する原子炉およびその附属設備に関する技術基準を定める規則

34条一三
ナトリウム化合物(例えばNaOH)濃度の計測を加えるべき。

理由:1995年の「もんじゅ」事故では排気ダクトから施設外へナトリウム化合物が漏れ出たが、大部分は再び吸気口から施設内へ取り込まれ、施設内で拡散した。しかし、大量のナトリウム化合物が大気中へ放出されて人(や家畜など)に吸入されれば、大惨事となる。この濃度測定は重要である。

●原子力発電所の火山影響評価ガイド(仮称) 

4条 
本ガイドは既往最大の活動を前提としているようだが、既往のものが最大の事象であることは証明できない。よって、既往最大を超えるものについても推計することを必須とするために「必要に応じて、」という文言を削除すべき。 

6.8条 
新たな火道の開通が原子炉敷地内にないことと記載されているが、どのようにして証明するのか。また火道の開通が炉直下に発生した場合は安全な運転は確保できない。 
よって、日本においては火山フロント上に原発や核関連施設を設置するようなことはあり得ないはずだ。 

●原子力発電所の竜巻影響評価ガイド(仮称) 

3.3条 
今後、地球温暖化の進展とともに、日本における台風や竜巻の規模の拡大、発生頻度の上昇が予測されている。これに応じた予測である必要がある。よって日本または検討地域における過去に発生した竜巻を前提条件とすることは妥当ではない。 

5条 
竜巻随伴事象のみならず、シビアアクシデント発生後、竜巻が発生した場合でも、対応可能となる設計である必要がある。 

●原子力発電所の内部溢水影響評価ガイド(仮称) 

1.1条 
妨害破壊行為等の想定できない意図的な活動による溢水についても当然ありうることであり、溢水による影響を評価するべきだ。 

●発電用軽水型原子炉施設における制御室及び緊急時対策所の居住性に係る被ばく標準評価手法(設計基準事故を超える事故)(審査ガイド)(仮称) 

4.4条 
線量評価については「福島第一原子力発電所事故並みを想定する」とあるが、これが最大というわけではない。福島第一原子力発電所事故以上の事故も想定するべきだ。

●敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(仮称) 

全体 
「適切」という表現が数多く用いられているが、何を持って適切とするのかが明確になっておらず、事業者の裁量に任されることになりかねない。また、同様に「可能な限り」、「できるだけ」といった記載があるが、これも不明確であり、事業者の裁量に任されることとなりかねない。 
事業者はコスト削減を安全文化より尊重する存在でありかねないということを原子力規制委員会は徹底して考慮すべきである。 

Ⅰ編3.1条 
露頭していない場合は断層と判断しないと読めるが、露頭のあるなしに拘わらず断層は断層である。敷地内及び敷地近傍における断層調査の厳密さを後退させる露頭という文言は削除し、敷地内・敷地近傍においてもトレンチ調査等が必要である旨を明記するべきだ。 

Ⅲ編1条 
断層の調査について、事業者の調査で、活断層ではないと言われていたものが、活断層であると判明することがいくつも発生している。事業者の調査に任せず、第三者による調査が必須であることを明記するべき。 
また、異論が提起された場合は真摯に対応するべきことも明記するべき。 

●基準津波及び耐津波設計方針に係る審査ガイド(仮称) 

Ⅰ編3.3.2条 
解説2に宮城県沖の日本海溝近傍で50m超の大すべりが発生したことから、この地域で同程度のすべりが発生する可能性は他地域に比べて少ないとあるが、「ただし、」以下の文章は不要な前提を事業者に与えるものであり削除するべき。 

Ⅱ編2.1条 
地震による施設の破損があっても、取水路・放水路などから津波が流入しないよう防止対策を測るべき。

●発電用原子炉の運転期間延長認可制度に係る実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定の解釈(仮称) 

2条 
沸騰水型軽水炉の母材および溶接部の調査対象は加圧水型軽水炉と同様、100%とするべき。 

2.2条 
試験片の試験については、事業者に行わせるのではなく第三者に試験を行わせることで中立性を担保すべきである。また、異論がある場合は安全サイドに倒した判断をおこなうべきである。