六ヶ所・海外返還廃棄物貯蔵管理センター 建屋下部の部材でサビ発生、半年かけて調査実施
海外返還廃棄物貯蔵管理センターは、六ヶ所再処理工場の敷地内にあり、実際、同工場の一部のような配置になっている。日本の10電力会社の海外委託再処理によって発生したガラス固化体の貯蔵施設で、EB建屋(第1~4貯蔵区域)、とEB2建屋がある。現在EB建屋に1574本が貯蔵中(フランス分:1310本、イギリス分264本)だ。日本原燃によれば、EB建屋の第1貯蔵区域下部プレナムの位置決め部材2本にサビが確認された。そのため第1貯蔵区域に貯蔵中のガラス固化体711本を現在使用されていない第4貯蔵区域に移動し、調査を行うことが7月9日公表された。
施設は、ガラス固化体を収納管に9段積みで貯蔵している(概要図参照)。収納管は天井スラブに固定され、支持架構に支持されながら吊られている。建屋の冷却空気入口から取り入れられた外気は、建屋の下部プレナム(建屋の一番低い箇所:収納管の底)に導かれ、ガラス固化体の発熱によって収納管の外側の通風管を上昇し、シャフトを通って冷却空気出口から排出される自然冷却の構造だ。支持架構はEB建屋全体では100ヶ所程度ある。
サビが確認された「位置決め部材」は支持架構の位置決めに使用したもので、高さ3メートル、直径20センチメートルの円柱状で鉄製。部材が残されたのは撤去にコストがかかるためで、部材にはアルミニウム・亜鉛溶射メッキがほどこされている。サビは4月から実施された自主点検(白黒カメラ)で発見された。カメラをカラーに改造し、2本の異常がサビであること、ほとんどの部材の「変色」が6月までに確認されている。サビは、大きさ5センチメートル四方の茶褐色と報告されている。
調査は下部プレナムに人が立ち入って部材の切り出し等を行い、変色・サビの状況を確認する予定だ。現場は現在500μSv/h以上の線量だが、ガラス固化体を移送することによって1μSv/h程度まで下がる、と日本原燃は言っている。ガラス固化体711本の移動に約2ヶ月、調査に約4ヶ月、都合約6ヶ月かかる模様だ。このように大量のガラス固化体の移動は初めてで、十分な安全対策が求められる。サビ対策、原因究明がきちんと行われないと、建屋全体の劣化に繋がる懸念もある。
(澤井正子)