タニムラボレター No.034 2015年度 茶葉の放射能調査結果
2015年産の流通品の茶葉に含まれる放射性セシウムを調査したので報告します。
2012年4月に新しくなった食品に含まれる放射性セシウムの基準では、お茶は煎れた液体の状態で1キログラム当たり10ベクレル(Bq/kg)以下となりました。それ以降、茶の公的な測定方法も茶葉そのものでなく抽出液の状態でおこなうこととなっています。
本調査では、乾燥した茶葉そのものに含まれる放射性セシウム濃度を測定しています。抽出状態では濃度が薄まってしまい、低濃度では検出が難しくなるためです。以前おこなった我々の調査では、茶葉の状態の放射性セシウム濃度が重量あたり100のとき、抽出液の濃度は重量あたり2になりました。
測定した茶葉の産地は、埼玉(2件)、静岡(1件)、茨城(1件)の3県です。今年の測定では、静岡産の茶葉が初めて不検出(セシウム137が1.5 Bq/kg以下)となりました。埼玉産の茶葉は、ひとつが約40 Bq/kg(セシウム137と134の合計)、もうひとつが約7 Bq/kg(セシウム137のみ検出)、茨城産の茶葉は約4 Bq/kg(セシウム137のみ検出)でした。原発事故から4年以上がたち、半減期が2年のセシウム134が不検出になるケースも多くなってきました。
2012年から継続測定している流通茶葉の放射性セシウム濃度を産地別にプロットしたものが下図です。2014年までは、全体として放射性セシウム濃度が順調に減衰しているように見えましたが、今年の測定では1点が前年の倍の値に大きく跳ね上がっていました。同じ生産者から購入した商品にこのような振る舞いが見られたということは、茶畑の中の茶の木の放射能汚染が場所によって濃度にばらつきがあること、または天候や収穫などの条件の違いによって葉へのセシウムの移行率が異なることを示唆します。
この結果には、食品の放射能汚染は単純ではなく測定が重要だと、身が引き締まる思いがしました。
(谷村暢子)