2018年度 茶葉の放射能測定結果

『原子力資料情報室通信』第532号(2018/10/1) より

2018年度 茶葉の放射能測定結果

福島原発事故後、継続しておこなっている流通品茶葉の放射能測定結果を報告する。2012年度に飲料水の基準値が1 kgあたり10 ベクレル(Bq)となり、お茶は乾燥茶葉の状態の濃度が基準でなく、飲用に抽出した状態(液体)で測定することとなった。飲用状態にすると重量あたりのセシウム濃度は約2%に減少する(1)。本調査の動機は、茶葉での測定なら汚染が把握できる程度のものでも、新基準の下で飲用状態に薄められて測定されれば検出限界以下となってしまい、汚染実態が分からなくなることに危機感を抱いたことである。公的機関でほとんど測定されなくなった茶葉の状態で放射性セシウム濃度を継続して測定し、情報を共有したい。
産地は、茨城、埼玉、静岡を本調査の対象としている。静岡産の茶は15年と16年の2年連続で放射性セシウムが不検出だったため、17年からは調査対象外とした。本年度は埼玉産を2種類と茨城産を1種類測定した。これまでの測定結果を図に示す。放射性セシウム137の濃度は、埼玉産が3.8 および5.4 Bq/kg、茨城産が3.1 Bq/kgだった(20%程度の測定誤差を含む)。セシウム134の検出限界値はおよそ0.9 Bq/kgで全て不検出だった。全体に右下がりの減少傾向がみられるが、昨年と今年でほとんど変わらない結果となっている。

図:茶葉に含まれるセシウム137濃度(当室測定) 測定機:NaIシンチレーション検出器(EMF211)、測定時間は24時間、試料は900 mlでおよそ500g。15年、16年の静岡産は不検出のため検出限界値を示す。

政府の公表データをみると

厚生労働省取りまとめの12年度以降の飲用茶のデータを表にまとめた(2)。基準値超過は12年度を最後に現在まで発生していない。検出が少なくなるにつれ検査規模も小さくなり、12年度(867件)と17年度(85件)で検査規模は1/10にまでなっている。
また、17年度の検出数は2件で濃度は0.35および1.1 Bq/kgだった。一方、不検出だった残り83件の検出下限値は0.63から2 Bq/kgであり、例えば、実際の濃度が0.5 Bq/kgだったとしても測定結果は「不検出」となる。つまり検出された値(0.35と1.1)と「不検出」の83件の間に真の濃度の違いがあったかは分からない。飲用に薄めることで質量あたりの濃度が約2 %になり、詳細な汚染分布の把握が困難となっているといえる。

表:飲用茶(液体)の放射性セシウム検査結果 (厚生労働省データをもとに筆者がまとめた)

 

(1) 24生産第271号、お茶の放射性物質の検査に係る留意事項について、生産局農産部地域作物課長、平成24年4月18日
(2) www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/

(谷村暢子)