原子力資料情報室声明 原子力規制委員会は高浜原発1、2号機の運転期間延長認可を取り消すべきである。
原子力規制委員会は高浜原発1、2号機の運転期間延長認可を取り消すべきである。
2016年6月23日
NPO法人 原子力資料情報室
原子力規制委員会は6月20日、高浜原発1、2号機の運転期間延長と、それに伴う保安規定変更を認可した。原子力資料情報室は16日に「政治的な配慮を排し、安全規制に徹すると言うなら、原子力規制委員会は、高浜原発1、2号機に係る運転期間申請の審査について、その言に恥じない審査を行なうことはもちろん、審査結果の案について広くパブリックコメントを求めるべきである」と声明を発したが、まさに政治的配慮によって認可が急がれ、パブリックコメントの機会が奪われたことに強く抗議したい。
運転期間の延長は、「例外中の例外」と説明されてきた。にもかかわらず「例外」を認めた制度自体が、初めから40年超運転の原発も特例として延長申請ができるものとしていた。そして、その特例により申請されたものが、最初からすんなり認可されるという事態は、明らかに法の精神に反している。
さらに、定められた期限内に認可をするために本件審査を優先し、その上、多くの項目で将来的な保守管理の方針が適切と確認することのみで良しとしているのは、審査の名に値しない。
蒸気発生器という加圧水型軽水炉においてきわめて重要な機器の耐震性の確認が、工事完了後に先送りされている。その時に、審査基準に適合することを確認できる保証もない。
電気ケーブルの防火については、交換できないものはシートで覆う対策を認めているが、実際にすべてのケーブルをカバーできるのか、シートで覆われることの影響をどう評価するのか、シートで覆ってしまって保守点検はどうするのかなど、さまざまな疑問が置き去りにされている。
とりわけ1号機ですでに赤信号と言うべき高い脆性遷移温度が観測されている圧力容器の中性子照射脆化については、試験片のデータで監視をするというが、照射脆化関連データも公開されておらず、脆性遷移温度の予測に実証的根拠のないことは原子力規制委員会自身も認めている(2015年度第32回会合)。認可の要件を満たしているとは、とうてい認められない。
原子力規制委員会は再度、設立時の初心に立ち返り、運転期間延長の認可を取り消すべきである。
以上