【連載】水道水のセシウム濃度調査 第4回 水道水と河川水に含まれるセシウム濃度の測定結果

『原子力資料情報室通信』第524号(2018/2/1)より

【連載】水道水のセシウム濃度調査 第4回水道水と河川水に含まれるセシウム濃度の測定結果

リンモリブデン酸アンモニウム法を用いて、東京の水道水と河川水の放射能測定をおこなっています。2017年9月に実施した初回の採取試料の結果を報告します。
採取地点を図に示します。①~④が水道水、⑤~⑦が河川水です。水道の原水が主に、多摩川、利根川・荒川、江戸川由来になるように選定しました(通信521号参照)。
セシウム137濃度の測定結果および測定限界値を表に示します。セシウム134はすべて不検出でした。単位がミリベクレル(1000分の1ベクレル)であることに注意してください。
水道水からセシウム137が検出されたのは、金町・三郷系の水道のみで、水1キログラム(kg)あたり3.9ミリベクレルでした。東村山系、小作系、地下水由来の水道水からは検出されませんでした。
河川水からの検出は、江戸川で4.0ミリベクレル/kg、荒川で0.7ミリベクレル/kgでした。多摩川の河川水からは検出されませんでした。
調査のきっかけとなった原子力規制庁公表のセシウム137の値は、2016年1~3月の新宿区の水道水から1.7ミリベクレル/kg、2016年6月の葛飾区の水道水から7.3ミリベクレル/kgでした。私たちの調査でも、東京の東側地域の水(①⑤)に含まれるセシウム137濃度は他の地域と比較して高い結果が得られ、上記公表値の違いの由来は測定のバラつきではなく地域的な偏りであることが示唆されました。
なお、浄水場で浄化されたはずの水道水(①)から放射性セシウムが検出されたことは、原水に含まれているセシウムは浄水場で除ききれない形態が主である可能性を示しています。しかし、この調査法で形態は分かりません。
汚染の季節変動も考えられることから、継続して調査を進めていきます。

 

図: 水道水および河川水の 採取地点(東京都水道局ホームページの図に加筆)

 


表: 水道水および河川水のセシウム137濃度
2017年9月に20リットルずつ採取し、リンモリブデン酸アンモニウム法で濃縮した後、ゲルマニウム半導体検出器でガンマ線測定した

(谷村暢子)