【原子力資料情報室声明】東海第二原発は新規制基準適合性審査合格でなく廃炉にすべきだ
東海第二原発は、新規制基準適合性審査合格でなく廃炉にすべきだ。
2018年9月26日
NPO法人原子力資料情報室
9月26日、原子力規制委員会は日本原子力発電㈱の東海第二原発が新規制基準に適合するとの審査書案を承認、2011年に東日本大震災で被災した原発では初めての適合性審査合格となった。この審査書案については7月5日~8月3日にかけてパブリックコメントが実施され、計1,184件の意見と、14,560筆の署名が提出された。東海第二原発は、今年11月に営業運転開始から40年を迎える老朽炉であり、沸騰水型炉では、先に合格した改良型沸騰水型炉である柏崎刈羽原発6・7号機に続いて3基目、また、採用されている格納容器は廃炉となった福島第一原発6号機と同型のMark2型である。
東海第二原発の周辺自治体では、例えば、那珂市長が再稼働に反対の姿勢を示し、水戸市議会が現時点での再稼働に反対する意見書を採択するなど、複数自治体で再稼働や20年間稼働延長に反対する声が上がっている[i]。住民も繰り返し不安の声を上げてきたが、そうした声に原子力規制委員会や日本原電は真剣に向き合ってこなかった。
周辺30km圏内に96万人が居住している老朽化した被災炉である東海第二原発は、万が一の際のリスクを考えれば、再稼働は到底考えられない原発だ。これを再稼働させる理由はひとえに、東海第二原発を所有する日本原電の経営問題に他ならない。日本原電は原子力発電専業会社だが、2012年以降、1kWhも発電できず、所有する原発の再稼働が急務だったからだ。
東海第二原発がなくとも、東京電力・東北電力管内での電力不足が発生していないことは、この7年間の実績から明らかだ。また、同原発の発電コストは、安全対策費などから、卸電力市場価格などと比較しても大幅に高くなる恐れがある。
一民間企業である日本原電の存続のために、100万人もの住民をリスクにさらすことは許されない。原子力規制委員会と日本原電は住民の声に耳を傾け、東海第二原発を廃炉にすべきだ。
以上
[i]茨城県:33市町村、埼玉県:11市町、栃木県:7市町、千葉県:5市町、東京都:1市(2018年9月25日現在),とめよう!東海第二原発 首都圏連絡会ウェブサイトより
日本原子力発電株式会社の東海第二原発の再稼働について、コスト面から再検討を行った結果、東海第二原発の売電単価は、卸電力市場の2018年平均スポット価格や過去の原発発電コスト試算の2倍になる恐れがあることがわかりました。詳細は以下をご覧ください。
調査レポート「東海第二原発の再稼働は電力消費者に資するか ー東海第二の売電単価は卸電力市場価格や過去の原発発電コスト試算の2倍になる恐れもー」