『老朽化する原発 技術を問う』

『老朽化する原発 技術を問う』

原発老朽化問題研究会著
原子力資料情報室2005年3月発行
B5版124ページ 

2007/9再版しました。正誤表の内容を本文に反映しました。

【正誤表】

参考
原子力資料情報室第55回公開研究会「老朽化する原発」(終)

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※原子力資料情報室会員の皆様には原子力資料情報室通信とともにお送りいたしました。

 シュラウドや再循環系配管などの応力腐食割れが、”高経年化”のすすむ日本の原発で大問題になってきた。東電のトラブル隠し、関電の美浜原発事故は、原発を技術的に制御することは結局のところ不可能なのではないか、と思わせる。
 本書は、高木仁三郎市民科学基金の助成金をうけた当資料室主催の原発老朽化問題研究会の研究成果報告書である。第1章「老朽化すすむ原発」(上澤千尋)には外国の原発もふくめて、日本の軽水炉のどこで、どんな故障が起きたか、丁寧な解説と紹介がある。次はどの原発が危ない状態にあるか、読者には自ずと明らかになってくるだろう。
 第2章「原子炉材料の劣化」(井野博満)は、原発で使われている金属材料の種類と性質、金属疲労、腐食、放射線損傷を解説し、超音波探傷のあいまいさを指摘した。第3章「高経年化という虚構」(田中三彦)、第4章「設計技術からみた維持基準の意味」(柴田宏行)、第5章「近代技術の性格と事故」(湯浅欽史)、第6章「柏崎刈羽からの現地報告」(武本和幸)と豊富な内容である。

【もくじ】

はじめに――いま、なぜ原発老朽化問題なのか

1 老朽化すすむ原発(上澤千尋)

§1.1 原発の老朽化
§1.2 蒸気発生器の損傷と交換
§1.3 再生熱交換器連絡管の高サイクル熱疲労割れ
§1.4 余熱除去系配管の水素爆発
§1.5 制御棒駆動装置案内管スタブチューブのひび割れ
§1.6 炉心シュラウドのひび割れ
§1.7 再循環系配管のひび割れ
§1.8 原子炉上ぶた損傷と交換
◇デビスベッセ原発
◇大飯3号炉
§1.9 PWRの原子炉本体にかかわる損傷
◇高浜1号炉
◇サウステキサス1号炉
◇伊方1号炉
§1.10加圧器逃し弁配管用ノズルのひび割れ
§1.11配管の減肉問題
◇PWRのエロージョン・コロージョンによる減肉
◇BWRのエロージョンに寄る減肉
§1.12規制当局や電力会社・メーカーの動き
§1.13″維持基準”とは

2 原子炉材料の劣化(井野博満)

§2.1 原発にはどういう材料が使われているか
◇主な材料は炭素鋼・低合金鋼とステンレス鋼・ニッケル合金
◇どこに何が使われているか
§2.2 材料はどう劣化するか
◇材料の劣化原因
◇金属疲労
◇腐食
◇放射線損傷
§2.3 再循環系配管とシュラウドのひび割れは大丈夫か
◇ひび割れ隠しに至る経過
◇新しいひび割れの原因は?
◇応力腐食割れ(SCC)進展線図の問題点
◇超音波検査の信頼性
§2.4 圧力容器の照射脆化
◇照射脆化予測式の問題点
◇日本の原発の脆化状況

3 高経年化対策という虚構(田中三彦)

◇「原発であって原発でない」原発
◇「高経年化対策」という名の原発60年酷使作戦
◇その前に、まずUCCとは何か
◇国も電力会社も長い間UCC問題を知らなかった?
◇高経年化技術報告書とUCC
◇かなぐり捨てられた「一貫性」
◇原発には個性がある

4 設計技術からみた維持基準の意味(柴田宏行)

◇設計ということ
◇構造設計とはなにか
◇ものの様々な壊れ方
◇破壊力学の功罪
◇原子力プラントの検査――建前と現実のギャップ
◇欠陥だらけの原子力プラント
◇安全性の考え方と大事故のリスク

5 近代技術の性格と事故(湯浅欽史)
◇複雑な実物を単純なモデルに
◇安全率でカバーする
◇安全率とコストミニマム
◇二つのモデル
◇技術にとっての立場の違い
◇再現性と事故
◇原子力には適用し難い
◇コストミニマムと立場性

6 老朽化問題 現地から見ると(武本和幸)

◇柏崎刈羽原発現地の動き
◇定期点検での過酷な被曝実態
◇低い検査精度
◇中越地震と柏崎刈羽原発

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【正誤表】2007/9再版しました。正誤表の内容を本文に反映しました。

3ページ 1行目
【誤】04年9月
【正】04年8月主尋問と10月反対尋問

17ページ 3行目
【誤】「円周方向に約7センチ」
【正】「軸方向に約5センチ」

17ページ 15行目以降の記述について
その後,表面の付着物を取り除いて調べた結果ひび割れではないことを確認した,と東京電力は発表しました(2005年4月6日).

17ページ 下から12行目の「ニオブを添加して粒界腐食が生じ難い」のあとに次を追加.
「とされていたが1994年にひび割れが見つかっている」

30ページ 下から5行目
【誤】1991年
【正】1990年

61ページ 1行目の表2. 10のタイトル中
【誤】PWR
【正】BWR

62ページ 図2.11および図2.12
【誤】縦軸単位が欠落
【正】延性脆性遷移温度上昇量(℃)

66ページ 2行目
【誤】(2000年8月)通産省
【正】(2004年3月)経済産業省

67ページ 13行目
【誤】日本最古の沸騰水型原発、関電美浜1号 
【正】日本最古の加圧水型原発、関電美浜1号

67ページ 下から9行目
【誤】「たとえば、敦賀1号や美浜2号…」
【正】「たとえば、敦賀1号や美浜1号…」

70ページ 図3.1
【誤】厚さ1?2インチ
【正】厚さ1/4?1/2インチ

72ページ 上から9行目
【誤】厚さ(1?2インチ)
【正】厚さ(1/4?1/2インチ)

87ページ 17行目
【誤】従来に
【正】従来の

91ページ 17行目
【誤】パッシブセーフタィ
【正】パッシブセーフティ

103ページ 20行目
【誤】発砲
【正】発泡

105ページ 29行目
【誤】ステンレ
【正】ステンレス

奥付中のURLの表記
http//cnic.jp

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