【原子力資料情報室声明】MOX燃料輸送に抗議する
2021年11月17日
NPO法人 原子力資料情報室
本日、関西電力の高浜原発で使用するプルサーマル燃料(MOX燃料)が高浜原発専用港に接岸した。再処理−プルサーマル利用に強く反対し、抗議する。
1.輸送に伴う危険
輸送には常にプルトニウムの奪取の危険が伴う。なぜなら、核兵器転用可能な物質だからだ。2艘の輸送船で、武装警備員を乗せている上、どちらの船にMOX燃料が積まれているかは非公開だ。狭い運河や海峡を避けて、喜望峰を回り、オーストラリアの南を通過して、北上する、実に地球の3分の2を回っての輸送だ。輸送量は現時点では非公開で、接岸後に公表される。
2.プルサーマル利用に伴う危険
炉心総量の3分の1程度ならMOX燃料に置き換えることが可能だとの評価があり、原子力規制委員会はプルサーマル炉特有の審査を行なっていないが、MOX燃料利用に伴い原子炉の安全余裕は削られ、炉心溶融に至る事故のリスクが高まる。炉心溶融事故によりプルトニウムが環境に放出される事態に至れば、その影響は福島原発事故を遥かに超えて、深刻になるだろう。
3.破綻している使用済MOX燃料の扱い
全量再処理を方針とする日本のプルトニウム利用政策だが、使用済MOX燃料の再処理施設はなく、扱いが未定のまま見切り発車しているのだ。せいぜい貯蔵し続けるしかないが、この点からもMOX利用は破綻している。
プルサーマルをすすめるのではなく、再処理プルトニウム利用政策から撤退することこそが賢明な選択である。
以上