CNICブリーフ「122円 過大評価される原発再稼働」

第211回国会で審議中の「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」では、GX(グリーントランスフォーメーション)の名のもと、原発の活用が謳われています。この法改正の根拠となる「GX 実現に向けた基本方針」では原発の再稼働が進まないことが電力高騰の一因だとされています。つまり原発再稼働は電力価格引き下げ効果を持つという説明です。

資源価格高騰などをうけて、昨年来、旧一般電気事業者7社が規制料金の値上げ申請を行っています。このなかで、一部の事業者は原発再稼働により、電気料金値下げができるとしています。そこで、実際にそのように申請した東京電力エナジーパートナー(東京電力EP)を例に原発再稼働の電力価格引き下げ効果を検証しました。

Key Takeaways

  • 122円
    • 東京電力EPの申請した規制料金の値上げ申請によれば、原発再稼働によるkWhあたりの削減効果は0.47円/kWh。原発再稼働による一般家庭1世帯当たりの電気代削減効果は月額122円、年額だと1,464円。
  • 679円
    • 東京電力EPの申請では、原子力購入電力料は4,961億円、販売電力量は1,902億kWh。販売電力1kWhに占める原子力購入電力料は2.61円/kWhとなる。一般家庭1世帯当たりの原子力負担は月額679円、年額だと8,148円。
  • 41.69円/kWh
    • 東京電力EPの申請によれば、原子力購入電力料は4,961億円。原子力購入電力量は柏崎刈羽原発6・7号機からの発電電力量119億kWhのみ。原発からの電力購入単価は41.69円/kWhとなる。電力市場での調達価格は20.97円/kWhと見込むので、原発の電力購入単価は市場価格の約2倍


詳細は下記をご覧ください。

原子力資料情報室通信とNuke Info Tokyo 原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつくられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行なっています。
毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費などに支えられて私たちは活動しています。
どちらの方にも、原子力資料情報室通信(月刊)とパンフレットを発行のつどお届けしています。