【原子力資料情報室声明】辻褄合わせのフランスでの再処理をやめ、核燃料サイクルからの撤退を進めよ

2023年6月27日
NPO法人原子力資料情報室

 5月19日に電気事業連合会は使用済みMOX燃料をフランスで再処理する方針を示し、6月12日に電事連、使用済燃料再処理機構(NuRO)、関西電力などがやや具体的な情報を公表した。
 それらによれば、使用済みMOX燃料の再処理は実証研究と位置付けられている。電気事業者が同実証研究を日本原燃と日本原子力研究開発機構(JAEA)に委託する。両者はフランス・オラノ社に実証研究を委託する方針としている。一方、実際の再処理等はNuROがオラノ社に委託する方針。燃料輸送は2020年代後半に、再処理実証は30年代初頭に実施するとしている。また、再処理して回収したプルトニウムはプルサーマル燃料に加工して日本へ返送、搬出元の原子力事業者が使用する。
 輸送及び再処理量は使用済み燃料200トンで、うち10トンが使用済みMOX燃料、190トンが使用済みウラン燃料である。これらを混合して再処理する。公表された情報通りだとすれば、使用済みウラン燃料19トンに対して使用済みMOX燃料1トンの割合で再処理することになる。
 現在、プルサーマルを実施できている電力会社は九州電力、四国電力、そして関西電力の3社である。今回の200トンはすべて関電の使用済み燃料である。関電によれば、「2023年末を最終期限として取り組む」としていた福井県外への搬出候補地確定が達成され、「知事への約束はひとまず果たされた」という。そして、「今後、必要に応じて適切な規模に見直していく」と将来の拡大を視野においている。
関電が、福井県との約束の辻褄合わせのために、新たな海外再処理に進むとすれば、これ以上愚かなことはない。
 他方、電事連は第6次エネルギー基本計画に言及されていることを海外再処理の理由に上げている。その内容は、「使用済MOX燃料の処理・処分の方策については、使用済MOX燃料の発生状況とその保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き2030年代後半の技術確立を目途に研究開発に取り組みつつ、検討を進める」である。しかし、技術動向や意向を踏まえた検討が行われた形跡は全くない。
 上記のエネルギー基本計画には国際協力による使用済みMOXの再処理には触れていないことから、西村経済産業大臣と仏国・パニエ=リュナシェ・エネルギー移行大臣とのトップ会談で決まったと考えられる。してみると、これはオラノ社の救済のための取引だとの疑念がわく。
疑念はさらにコストにも及ぶ。輸送費用は日本側が持つとしても、再処理費用とMOX燃料加工費用は大盤振る舞いになるのではないか。契約はこれからのようだが、全量再処理政策の辻褄合わせに投じられる無駄な費用が消費者に転嫁されることに憤りを覚える。
 加えて、余剰プルトニウムの問題もある。フランスには約14トンの抽出済のプルトニウムが貯蔵されている。この問題を棚上げにして、さらに再処理契約でプルトニウムを増やすことは余剰プルトニウムを保有しないとする国際公約に反する行為である。
 電事連はフランスでの実証により「原子力事業者として、将来の日本の再処理技術確立に大きく寄与できるものと考える」と正当化しているが、そもそも六ヶ所再処理工場が27回目の延期となり、原子力規制委員会の審査からは日本原燃が描く竣工はとうてい望めない。
 屋上屋を重ねる辻褄合わせはやめるべきである。この政策は、再処理技術の観点、コストの観点、余剰プルトニウムの観点などどの観点から見ても、合理的で正当な理由がない。日本の全量再処理政策の見直しに真摯に着手することこそが賢明な選択である。

以上

原子力資料情報室通信とNuke Info Tokyo 原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつくられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行なっています。
毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費などに支えられて私たちは活動しています。
どちらの方にも、原子力資料情報室通信(月刊)とパンフレットを発行のつどお届けしています。