NUMO意見交換会に謝礼で大学生を動員

『原子力資料情報室通信』第522号(2017/12/1)より

NUMO意見交換会に謝礼で大学生を動員

11月6日、原子力発電環境整備機構(NUMO)主催の「科学的特性マップに関する意見交換会in埼玉」がさいたま市で開かれ、当室スタッフも参加した。第2部の意見交換は、24人(大学生12人)、傍聴席は約50人。大学生2人が、「日当1万円をもらえるから来た(20歳学生)」、「神奈川から来た。お金をもらえなければ平日昼間には来ない(21歳学生)」などと発言。これに対してNUMO職員は、「事実だとしたら問題だ」と話した。その後14日になって、共同通信などの調べで実態が明らかになった。

意見交換会の運営は「地域力活性化研究室」(代表取締役・鰀目(えのめ)清一朗)が受注し、学生への広報は「(株)オーシャナイズ」(代表取締役・菅澤聡)に委託していた。オーシャナイズは日当1万円の謝礼を支払う約束をして、埼玉で12人の学生を参加させていた。東京、愛知、大阪、兵庫では、1人当たり5千円相当のサークルへの謝礼を約束して27人の学生を集めていた。このほか栃木、群馬、静岡、和歌山、奈良でも同様の呼びかけをしていたという。

NUMOは14日夜に記者会見で謝罪した上で、「学生への声かけだけで、金銭を支払う形での募集は行わないはずだった。オーシャナイズ社の担当役員の独断だった。委託先の社内管理に不徹底があった」などと説明した。また17日には、昨年夏のセミナーでも、複数の参加学生が数千円の現金を受け取ったことが明らかになった。大学生を謝礼により動員する行為は常態化していたとみられる。これを受けて、世耕経済産業大臣は17日の会見で、事実関係の調査を指示したと述べた。

『私たちは、社会から信頼される組織を目指します』というNUMOの経営理念は、根底から崩れた。不透明な運営が明らかとなり、処分場選定の手続きは大きくつまずいた。