【原子力資料情報室声明】応募・申し入れ制度を根本的に見直せ

【声明】応募・申し入れ制度を根本的に見直せ

2020年10月13日

NPO法人 原子力資料情報室

  10月9日に北海道寿都町と神恵内村がそれぞれ高レベル放射性廃棄物の地層処分地の選定第一段階である文献調査を受け入れることを正式に決めた。寿都町は片岡春雄町長が単独で応募を決め、NUMOに応募書類を提出した。神恵内村は商工団体からの請願を議会が採択し、高橋昌幸村長は経産大臣からの調査申し入れの受け入れを表明した。鈴木直道北海道知事は両町村に対して応募を思いとどまるように要請していたが、これも無視された。

寿都町では、片岡町長が全員協議会を開催しただけで、議会も開かず、また住民たちによる住民投票を求める声を無視した独断応募である。

神恵内村では国の申し入れを村が受諾する形をとった。二つの方式の成果を示すという経産省の介入が見え見えの構図であり、単なる実績づくりに他ならない。議会の応募請願採択があったとはいえ、申し入れを即時に受け入れるという実績をつくってしまったことは、申し入れ方式もまた住民の意思を尊重しない方式であることを教えている。

文献調査の次の段階である概要調査に入る時点では知事の意見も求められ、これに反対すれば「選定プロセスから外れる」と経済産業省は説明している。そして、知事は再三にわたり反対の意見を表明している。2年後には選定プロセスから外れることが分かっていながら、町村長が知事の意見に関係なく独断で応募し、経産省は申し入れをしている。このような仕組み自体に大きな欠陥があると言わざるを得ない。

さらに、文献調査期間中は最大で20億円の交付金がでる。この場合、その先へ進まないことが明らかにもかかわらず、交付金が支給されることになる。国税のこのようなムダ使いも許されるものではない。

しかも、どちらの地域も行政区域の地下に処分場としての十分な敷地を確保できる見通しがほとんどない場所である。特に神恵内村では政府が申し入れた形になっているが、申し入れるに相応しい適切な場所であると、どのように判断したのか、極めて疑わしい。経産省には、その説明が求められる。

以上

原子力資料情報室通信とNuke Info Tokyo 原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつくられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行なっています。
毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費などに支えられて私たちは活動しています。
どちらの方にも、原子力資料情報室通信(月刊)とパンフレットを発行のつどお届けしています。