六ヶ所再処理工場アクティブ試験の状況(2006年10月)

六ヶ所再処理工場アクティブ試験の状況(2006年10月)

六ヶ所再処理工場のアクティブ試験は、第1ステップ(3/31?6/26)の後半で発生した内部被曝事故の再発防止対策で第2ステップの開始が遅れました。第2ステップは8月18日に使用済み燃料のせん断を開始しましたが、翌19日にはせん断機にトラブルが発生し、その後1ヶ月以上運転を停止していました。9月末に日本原燃が公表した「アクティブ試験の不適合情報」等によると、せん断機内部に固着物が詰まり、従来の方法では除去できず新たな方法を『運転手順書』に追加し、10月2日運転が再開されました。ところが日本原燃はこのトラブルについて一切きちんとした説明を行わず、トラブルの詳細な状況(固着物とは? どのように詰まったのか?2台あるせん断機のどちらか又は両者か?新たな方法とはどんなものか?等々)はいまだに分かりません。

第2ステップは全体で約60トンの使用済み燃料を処理し、予定どおりならば約3ヶ月程度10月末までに終了するものです。ところがせん断機のトラブルによる運転停止のため、日本原燃のホームページの情報でも9月末までにPWR燃料6体(約3トン)の使用済み燃料しかせん断されていません。予定の大幅な遅れは確実です。そのため10月2日の再開以降、非常に急ピッチな作業が行われている模様です。本格稼働時の工場の1日当りの最大処理量が約4.8トンとされていますが、それと同等の量のせん断が行われている日(10/4:約4.5トン)もあります。現在は試験中であり、「処理量は段階的に上げて行くこと、各種試験を行い安全性を確認しながら進める」ことがアクティブ試験計画書にも記されているわけですが、原燃は明らかに遅れを取り戻そうと焦っているようです。

運転停止があったのなら、その分の遅れがあるのは当然です。日本原燃は試験期間を延期し本来の日程で慎重に試験を実施するべきで、その経過もきちんと公表し説明する必要があります。試験内容の消化と日程にばかりに捕らわれた試験の進め方は異常です。工場本格稼働のためのスケジュールを優先した試験の進め方では、現場の労働者に過剰な負担をかけ、過度の緊張や疲労、ストレスを与えることになります。これがさらにあらたな事故・トラブルを招くことを私たちは懸念しています。

●せん断機の概要(日本原燃URL)から(図はせん断刃の噛み込み異常の場合)
www.jnfl.co.jp/cycle-recycle/re_siken-tandt/pdf/3-06.pdf